善福寺公園めぐり

善福寺公園を散歩しての発見や、旅や観劇、ワインの話など

#ミステリー

台湾発ミステリー 台北プライベートアイ

紀蔚然「台北プライベートアイ」(船山むつみ訳、文藝春秋)を読む。 台湾発のミステリーというので手にとる。 作家で大学教授でもある呉誠(ウ―・チェン)は若いころからパニック障害と鬱に悩まされてきた。ある日、日ごろの鬱憤が爆発して酒席で出席者全員…

本年度のエドガー賞受賞作 ブート・バザールの少年探偵

ディーパ・アーナパーラ「ブート・バザールの少年探偵」(坂本あおい訳、ハヤカワ・ミステリ文庫)を読む。 原題は「Djinn Patrol on the Purple Line」。 少年の目を通して描いたインド社会の闇。インドのスラム街の匂いや気配が伝わってくる小説。 先日は…

人は一人では助からない 天使と嘘

マイケル・ロボサム「天使と嘘」(越前敏弥訳、上下巻、ハヤカワ・ミステリ文庫)を読む。 2014年に発表した「生か、死か」に続き、19年に発表した本作で20年に2度目の英国推理作家協会最優秀長編賞(ゴールド・ダガー)を受賞。同年のアメリカ探偵作家クラ…

晴歩雨読 ラスト・トライアル

このところ朝は雨続きで散歩もままならず。なのできのう読了した本の紹介。 ロバート・ベイリー「ラスト・トライアル」( 吉野弘人訳、小学館文庫)。 アラバマ大学法学部の教授だったトムと教え子リックの弁護士コンビ、黒人弁護士ボーや検事パウエルらが活躍…

歴史ミステリー マハラジャの葬列

アビール・ムカジー「マハラジャの葬列」(訳・田村義進、ハヤカワ・ポケミス)を読む。 原題は「A NECESSARY EVIL」 イギリス人でインド帝国警察の警部サム・ウィンダムと、ウィンダムの部下でインド人の部長刑事サレンダーノット(サレンドラナート)・バ…

知らなかった言葉と出会う 「雪旅籠」

戸田義長「雪旅籠」(創元推理文庫)を読む。 江戸末期から明治へと移り変わる時代を舞台にした話に、現代風のミステリーの手法をほどこしての謎解き小説。 主人公は、若き日より“八丁堀の鷹”と謳われてきた北町奉行所定町廻り同心の戸田惣左衛門と、その跡…

敗れざる者 柳広司「アンブレイカブル」

柳広司「アンブレイカブル」(角川書店)を読む。 作者は「ジョーカー・ゲーム」などで知られるミステリー作家。ミステリー好きとしては新刊が出たというので手にとるが、ミステリーというよりサスペンスタッチの社会的メッセージを込めた小説で、なかなか読…

ナイジェリア発のミステリー「マイ・シスター、シリアルキラー」

オインカン・ブレイスウェイト「マイ・シスター、シリアルキラー」(栗飯原文子訳、ハヤカワ・ポケミス)を読む。 ナイジェリアのミステリー。 2019年のロサンゼルス・タイムズ賞(ミステリ部門)、アンソニー賞最優秀新人賞、アマゾン・パブリッシング・リ…

「ネヴァー・ゲーム」「素晴らしき世界」

2冊続けて海外ミステリーを読む。 1冊目はジェフリー・ディヴァー「ネヴァー・ゲーム」(訳・池田真紀子、文藝春秋)。 リンカーン・ライム、キャサリン・ダンスのシリーズに続く新シリーズの第1作。主人公は姿を消した人間を追跡する名人、コルター・ショウ…

「果てしなき輝きの果てに」「その手を離すのは、私」

女性作家によるミステリーを、2冊続けて読んだ。 1冊目はリズ・ムーアの「果てしなき輝きの果てに」(訳・竹内要江、ハヤカワ・ポケミス)。 舞台はアメリカ・フィラデルフィア郊外の街ケンジントン。薬物蔓延と連続殺人事件に揺れる街で、失踪した娼婦の妹…

圧倒的な自然と命の描写 ザリガニが鳴くところ

ディーリア・オーエンズ「ザリガニの鳴くところ」(訳・友廣純、早川書房)を読む。 作者はジョージア州出身の動物学者、小説家。ジョージア大学で動物学の学士号を、カリフォルニア大学ディヴィス校で動物行動学の博士号を取得し、動物にまつわるノンフィク…

ノルウェーのミステリー カタリーナ・コード

ヨルン・リーエル・ホルスト「警部ヴィスティング カタリーナ・コード」(中谷友紀子訳、小学館文庫)を読む。 ノルウェーのミステリー。著者自身が警察官出身で、シリーズものの一冊らしい。 ノルウェー南部の小都市、ラルヴィク警察犯罪捜査部の警部ヴィリ…

ボンベイ、マラバー・ヒルの未亡人たち

スジャータ・マッシー「ボンベイ、マラバー・ヒルの未亡人たち」(訳・林香織、小学館文庫)を読む。 今からほぼ100年前の、イギリス領下にあった1921年のインド・ボンベイ(今のムンバイ)を舞台にした歴史ミステリー。 ちっちゃな文字で、文庫本629ページ…

特捜部Q アサドの祈り

ユッシ・エーズラ・オールスン「特捜部Q アサドの祈り」(吉田奈保子訳、ハヤカワ・ポケット・ミステリー)を読む。 デンマークの警察を舞台にした特捜部Qシリーズ第8弾。 フィクションの世界を描いているが、そのときどきの社会問題に光をあてるジャーナリ…

ダン・フェスパーマン 隠れ家の女

ダン・フェスパーマン「隠れ家の女 」(訳・東野さやか、集英社文庫) 原題の「SAFE HOUSES」とは、直訳すれば「安全な家」だが、スパイなどが使う「隠れ家」を意味するんだとか。 まさしくスパイ小説とナゾ解きミステリを掛け合わせたような小説。文庫本660…

「黒と白のはざま」と「Black Lives Matter」

ロバート・ベイリー「黒と白のはざま」(吉野弘人訳、小学館文庫)を読む。 前作の「ザ・プロフェッサー」に続くリーガル・サスペンス。 続きが気になって一気読みしてしまった。 白人至上主義結社KKK(クー・クラックス・クラン)誕生の地、テネシー州プラ…

カナダ人は田舎者? 「ネプチューンの影」

フレッド・ヴァルガス「ネプチューンの影」(田中千春訳、東京創元社) フレッド・ヴァルガスは1957年パリ生まれ。シュールレアリスムの研究者を父に持つ二卵性双生児の姉妹の妹だという。パリ十三区警察署長アダムスベルグ・シリーズの1冊で、CWA賞受賞作と…

マイクル・コナリー レイトショー

マイクル・コナリー「レイトショー」(吉沢嘉通訳、講談社文庫)を読む。 マイクル・コナリーの30冊目の長編小説。 これまでリンカーン弁護士のミッキー・ハラーや、ロス市警の刑事ハリー・ボッシュ(たしか60代後半で引退年齢のはずだが)のシリーズを続け…

スウェーデンの歴史ミステリー「1793」

ニクラス・ナット・オ・ダーグ「1793」(ヘレンハルメ美穂訳、小学館)を読む。 スウェーデンを舞台にした歴史ミステリー。 おぞましい箇所が次々と出てくるのだが、文章は流麗で(訳者のヘレンハルメ美穂さんの功績大だと思うが)、史実もよく調べられてい…

最近読んだミステリー

去年の暮れから今年にかけて、気になったミステリー小説を立て続けに読む。 「流れは、いつか海へと」(ウオルター・モズリィ、田村義進訳、ハヤカワ・ポケミス) 「マーダーズ」(長浦京、講談社) 「メインテーマは殺人」(アンソニー・ホロヴィッツ、山田…

アレン・エスケンス 償いの雪が降る

アレン・エスケンス「償いの雪が降る」(務台夏子訳、創元推理文庫) 原題は「The Life We Bury」 新人作家のデビュー作。といっても複数の大学で学んだあと、25年間、刑事専門の弁護士として働き、現在は引退。2014年に発表したのが本作というから、決して…

ブルーバード、ブルーバード

アッティカ・ロック「ブルーバード、ブルーバード」(高山真由美訳・ハヤカワポケミス)を読む。 東テキサスの中心を南北に貫くハイウェイ59号沿いの田舎町で白人女性と黒人男性の死体が発見される。人種差別が根深く絡む事件に黒人のテキサス・レンジャーが…