善福寺公園めぐり

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ノルウェーのミステリー カタリーナ・コード

ヨルン・リーエル・ホルスト「警部ヴィスティング カタリーナ・コード」(中谷友紀子訳、小学館文庫)を読む。

 

ノルウェーのミステリー。著者自身が警察官出身で、シリーズものの一冊らしい。

 

ノルウェー南部の小都市、ラルヴィク警察犯罪捜査部の警部ヴィリアム・ヴィスティングが、ナゾの失踪を遂げたカタリーナ・ハウゲンの行方を追い始めて24年がたっていた。

ヴィスティングは毎年、事件が起きた10月10日になると夫のマッティン・ハウゲンを訪ねていて、2人の付き合いも24年に及んでいた。

ちょうどそのころ、オスロの国家犯罪捜査局(クリポス)未解決事件班の捜査官アドリアン・スティレルが来訪する。スティレルは、カタリーナ事件の2年前に起きたナディア・クローグ誘拐事件の再捜査を始めていた。

事件は殺人事件と見なされ、その最重要被疑者として名前があがったのがマッティン・ハウゲンであり、スティレルは犯人追及のため新聞で事件を連載させることを計画。記者として名指ししたのが、ヴィスティングの娘で新聞記者のリーネだった・・・。

 

読みやすくてするすると読める。

ハデなアクションはなく、主として登場人物同士の会話とかのやりとりで話が進んでいく心理劇なんだが、これがけっこうスリリング。

特に、ヴィスティングとリーネの親子がそれぞれの立場から事件の真相に迫っていくところ、被疑者として名前のあがったマッティン・ハウゲンをヴィスティングが親しく語り合いながら次第に追い詰めていくところなど、今までのミステリーにはない展開。

それでついつい止まらずに読み進んでしまうが、ときどき本を閉じて、休み休みしながらナゾ解きを楽しむのがミステリーのおもしろさ。

 

ただし、新聞社が警察とかの権力機関の意のままに記事を載せるなんてジャーナリズムにあるまじき行為と思うが、ノルウェーでは問題ないのだろうか?

 

それとリーネは自分の家の家系調査にも凝っていて、余暇に家系図づくりを楽しんでいる様子。ノルウェーでは家系図づくりがブームなんだろうか?