善福寺公園めぐり

善福寺公園を散歩しての発見や、旅や観劇、ワインの話など

マイクル・コナリー「転落の街」

マイクル・コナリー「転落の街」(上下巻、古沢嘉通・訳、講談社文庫)を読む。

リンカーン弁護士」以来マイクル・コナリーを読み続けているが、どの作品もハズレがない。
今回の主人公は齢(よわい)60歳にして定年を迎えようとしているロス市警強盗殺人科未解決事件班の刑事ハリー・ボッシュ

原題は「The Drop」。今回、ボッシュが捜査する2つの事件、すなわちホテルからの転落(ドロップ)死事件と、被害者の体から滴下血痕(ドロップ・ブラッド)が採取された未解決事件、それに、ボッシュが定年を前にして悩むことになる定年延長選択制度(DROP、最長5年間までの延長が可能らしい)の意味が込められているようだ。

この3つの話がタテヨコナナメと入り組んで物語が進んでいく。
それに加えてティーンエージャーの娘の存在と、やもめのボッシュ自身の恋の行方。
正月の頭の体操にぴったりのハーバボイルド&サスペンスミステリーだった。

捜査の手続きに関連する話がとても詳しく描かれていて、参考になった。
といってもロサンゼルスの刑事捜査に詳しくなっても別にどうということはないんだが。

それともうひとつ、おいしそうなタコスの話が何カ所かで出てくる。
ウッドマン・アヴェニューとノードホフ・ストリートの角にある「タコス・ラ・ファミリア」という名の販売トラックで売っているタコス、とかいってたが、ホントにあるのだろうか。
ボッシュが食べたのと同じ「牛薄切りステーキ(カルネ・アサダ)入りタコス」をサルサソースをたっぷりかけて食べたくなった。