善福寺公園めぐり

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マイクル・コナリー レイトショー

マイクル・コナリー「レイトショー」(吉沢嘉通訳、講談社文庫)を読む。

 

マイクル・コナリーの30冊目の長編小説。

これまでリンカーン弁護士のミッキー・ハラーや、ロス市警の刑事ハリー・ボッシュ(たしか60代後半で引退年齢のはずだが)のシリーズを続けてきたが、30冊目にしてロス市警の女性刑事レネイ・バラードを主人公にした新シリーズの第一作。

 

車のリンカーンを事務所がわりにしているミッキー・ハラーとか、定年をすぎてもまだ刑事としてがんばっているハリー・ボッシュとか、いずれもアウトローっぽい感じの人物を主人公にしているマイクル・コナリーだが、今回のレネイ・バラードもなかなか変わっている。

 

上司の不正(セクハラ行為)を告発したものの保身のための仲間の裏切りで不問に付された上、ロス市警本部の殺人事件担当刑事からハリウッド署の深夜勤務担当刑事に島流しされたのが今回の主人公。

題名の「レイトショー」とは直訳すれば「テレビの深夜番組」のことで、深夜勤務(午後11時から翌朝の7時まで)を指す警察内の隠語だとか。レイトショーの刑事は初動捜査はできても本格的捜査は昼勤の刑事にゆだねなければならない。昼勤の刑事がヒマワリなら、こっちは月見草。

彼女の生活スタイルも変わっていて、ふだんは決まった住居を持たず、趣味が海のスポーツ、パドルボーディングということもあってビーチで暮らしている。文字通りのやさぐれ(住所不定)刑事だ。

ハワイ出身(ポリネシアコーカソイドの混血)で30代、独身。しかし、警察官としての有能さと使命感はボッシュ刑事と共通している。

 

こんな背景を持つ主人公の活躍だから本書はおもしろく、上下巻631ページをあっという間に読んでしまった。

次回作が待ち遠しい。