フランス・ブルゴーニュの白ワイン「ラ・ブルゴンディ・ブルゴーニュ・シャルドネ(LA BURGONDIE BOURGOGNE CHARDONNAY)2021」
(写真はこのあと牛のサーロインステーキ)
ワイナリーのラ・カンパニー・ド・ブルゴンディは、ブルゴーニュの醸造家たち1000家族が集まってつくった協同組合で、北部のオセールから南部のボジョレーの丘にかけてブドウを育てワインを生産している。
ラベルには当地で栄えたブルグント王国を思い起こさせる騎士の姿が描かれていて、勇気・自信・忠誠をあらわしているんだとか。
すっきりして飲みやすいワイン。
ワインの友で観たのは、NHKBSで放送していたアメリカ映画「恋人までの距離(ディスタンス)」。
1995年の作品。
原題「BEFORE SUNRISE」
監督・脚本リチャード・リンクレイター、出演イーサン・ホーク、ジュリー・デルピー、アーニ・マンゴールドほか。
列車の中で偶然出会った一組の男女をめぐる一夜限りのラブストーリー。ベルリン国際映画祭で銀熊賞(監督賞)を受賞。
ブダペストからパリへ向かう長距離列車の中で、隣席で始まったオースリア人夫婦のケンカを避けて移動してきたフランス人学生のセリーヌ(ジュリー・デルピー)に、アメリカ人青年ジェシー(イーサン・ホーク)が声をかけ、2人は意気投合する。
ジェシーはアメリカ行きの飛行機に乗るためウィーンに向かう途中であり、セリーヌはブダペストに住む祖母を訪ねたあと、自宅のあるパリに戻る途中だった。
列車はジェシーの目的地であるウィーンに到着する。ジェシーが乗る飛行機は翌朝の出発だが、お金がないのでウィーンをうろうろするしかなく、途中下車しないかとジェシーはセリーヌを誘う。
2人は、すでに夕方となり観光名所の多くが閉まったウィーンの街をあてどもなく歩き回る。次第に親密さを深めいき、やがて夜明けを迎えるが・・・。
登場人物はとても限られていて、主人公の2人のほかは、列車の中でケンカするオーストリア人夫婦、ウィーンの街を歩いていて「名所はどこ?」と聞いた相手の若い男の2人連れ、詩を書いてチップをもらっているストリート詩人、酒場の手相占い師、バーテンダー、それぐらい。
ほとんどが主人公2人の延々と続く長い会話で構成されていて、2人は人生、愛、宗教などなどについて語り合うが、その会話がときに他愛なく、ときに理屈っぽい。いかにも初対面の男女が親密さを増していく雰囲気を醸し出していて、ほほえましい。
レコード店の試聴室でレコードを聴くシーンでは、互いに顔を見ようとするのだが、目を合わせるのを避けようと何度も視線をそらす。見つめ合うのは恋人同士の証拠、でも私たちは出会ったばかりで相手のこともよく知らない、というわけなのだろうが、そこが初々しい。
邦題は「恋人までの距離(ディスタンス)」で、恋人同士になるまでを描いているようなタイトルだが、原題は「BEFORE SUNRISE」、つまり「夜明け前」という意味。
翌朝、パリ行きの列車にセリーヌが乗ろうとしたとき、2人はあえて連絡先を交換せず、互いのラストネームも知らないまま、半年後にこのホームで再会することを約束して別れる。
映画はそれで終わっていて、その後、2人はどうなるんだろう?と思ったら、実は本作は「ビフォア」三部作の第1作であり、続編の「ビフォア・サンセット」が2004年に、さらにその続編の「ビフッア・ミッドナイト」が2013年につくられている。
第2作の「ビフォア・サンセット」によれば、半年後に再開を約束した2人は、ジェシーのほうはちゃんとウィーンにやってきて彼女を待ったが、セリーヌはブタペストに住む祖母が亡くなり葬儀に参列したためウィーンに行くことができなかった。
連絡先も、名前もわからないので連絡できず、結局、そのまま9年がすぎた。2人が出会った一夜のことを描いたジェシーの小説が人気となり、プロモーションのため訪れたパリで2人は再会。互いに忘れられずにいたことを知り、ジェシーがパリを立つ日没までの間、2人はパリの街を歩き回り、語り合うのだった。
本作も第1作同様、最初から最後まで2人の会話という感じで、アドリブっぽいセリフがポンポン飛び出していたが、脚本を担当した監督とともに主役の2人も共同脚本に加わっていて、アカデミー賞で脚色賞にノミネートされた。
ついでにその前に観た映画。
民放のCSで放送していたアメリカ映画「テキサス」。
1966年の作品。
原題「TEXAS ACROSS THE RIVER」
監督ルイケル・ゴードン、出演ディーン・マーティン、アラン・ドロン、ジョーイ・ビショップ、ローズマリー・フォーサイスほか。
甘い低音が魅力でコメディアンでもあるディーン・マーティンと、ハリウッドに進出して西部劇初出演のアラン・ドロン共演のドタバタ喜劇。
アメリカ・テキサスが、独立したテキサス共和国として存在していたころ、スペイン貴族のドン・アンドレア(アラン・ドロン)はアメリカ西部の娘フィービー(ローズマリー・フォーサイス)と結婚するためルイジアナ州へやって来た。
しかし結婚式当日、フィービーに想いを寄せていた騎兵隊員が式を妨害しようと乱入。揉み合いの末に騎兵隊韻は事故死し、アンドレアに殺害の容疑がかけられてしまう。
後で合流しようとフィービーと約束したアンドレアは、当時はアメリカ国外だったテキサスに逃亡。そこで用心棒を捜していた開拓民サム(ディーン・マーティン)に銃の腕前を見込まれて雇われる・・・。
アメリカは1776年7月4日、イギリスからの独立を果たすが、そのときの領土は北米大陸中央の東岸沿いの地域で、その後、1803年にフランスから領土を買収するなどして次々に領土を拡大していって現在の50州になるのだが、テキサスがアメリカ合衆国の一員になるのはアメリカ独立から70年近くのちのことだった。
テキサスははじめスペインの支配下にあり、メキシコが独立したのちにはその一部となった。その後、西部開拓時代のアメリカから移住者が相次ぎ、メキシコ政府との衝突を繰り返すようになった。入植者たちはメキシコからの独立を画策し、1836年、アラモ砦の攻防戦の末に独立を宣言してテキサス共和国となる。入植者たちはアメリカへの帰属を希望していて、ついに1845年12月、テキサスはアメリカに併合された。
本作は併合直前のテキサスを描いていて、原題のタイトルも「TEXAS ACROSS THE RIVER(河を渡ってテキサスへ)」となっている。
ドタバタ・コメディなんだが、よく見るとけっこう史実にもとづいているところがある。
映画の中で、ロングホーンと呼ばれる角の長い牛が登場する。
もともとスペイン人が植民地化したメキシコに持ち込んだ牛で、野生化してメキシコで大繁殖したが、飼育困難なので放っておかれていた。それを「3日間、水を飲ませないでおくと従順になって飼育可能になる」という知恵を先住民の娘から授けられたアラン・ドロン扮するアンドレアが、その通り実行してロングホーンの飼育に成功して住民たちから感謝されるシーンがある。
野生化したロングホーンを家畜化し、その後テキサスロングホーン種として有名になったのは史実だが、映画によればその恩人は若いスペイン貴族ということになる。
映画の最後も、いかにも開拓時代のテキサスらしい。
アンドレアと親しくなった先住民の娘は、テキサスには飲んではいけない毒のある黒い水があるという。
映画の最後には、墓穴を掘っているうちにその黒い水が吹き出し、登場人物たちは体中真っ黒になってジ・エンドとなるのだが、黒い水の正体は石油。
テキサスの地中には広大な油田が存在していることを、そのころの人たちはまだ知るよしもない、という終わり方だった。