善福寺公園めぐり

善福寺公園を散歩しての発見や、旅や観劇、ワインの話など

きのうのワイン+映画「落下の王国」「ローズメイカー 奇跡のバラ」

南アフリカの赤ワイン「ピノタージュ・シラーズ(PINOTAGE SHIRAZ)2019」

ワイナリーはレオパーズ・リープ。

南アフリカを代表する品種ピノタージュにシラーズをブレンド

2種類のブドウは異なる発酵方法を採用し、熟成も品種別に行われて、最終的にブレンドされるという。贅沢なつくりのワイン。

 

ワインの友で観たのは、民放のBSで放送していたインド・イギリス・アメリカ合作の映画「落下の王国」。

2006年の作品。

原題「THE FALL」

監督ターセム、出演リー・ペイス、カティンカ・ウンタルー、ジャスティン・ワデルほか。

重傷を負った男が純真な少女に語りだす不思議なおとぎ話、というより、世界24か国以上で撮影されたという絢爛豪華な映像叙事詩

 

1915年のロサンゼルス。オレンジの収穫中に木から落ちて腕を骨折して入院していたルーマニアからの移民で5歳の少女アレクサンドリア(カティンカ・ウンタルー)は、同じ病院に入院している無声映画のスタントマン、ロイ(リー・ペイス)と親しくなる。

ロイは、撮影中に大怪我を負って半身不随となるばかりか、主演俳優に恋人を奪われて自暴自棄になっていた。自殺しようと思ったロイは、動けない自分に代わって、純真無垢なアレクサンドリアに自殺するための薬を盗ませようと思い付き、彼女にに作り話を聞かせ始める。

それは、暴君のために愛する者や誇りを失い、深い闇に落ちていた5人の勇者が力を合わせ悪者に立ち向かう愛と復讐の物語だった。ところが、少女を操るためのたわいないおとぎ話は、映画を観るわれわれを、熱心に話に聞き入るアレクサンドリアの想像力の奥深くへと招き入れる。

やがて、いつしか少女には希望を与え、作り話を続けるロイ自身をも救う壮大な物語へと広がっていく・・・。

 

映画で展開されるやや難解な物語より、石岡瑛子による絢爛な衣装とも相まって世界各地をめぐる息をのむような映像が美しい。

インド系アメリカ人のターセム監督は構想26年、撮影期間4年かけてこの映画をつくり、ロケ地は13の世界遺産を含む世界24か国以上に及んだという。

ロケ地をざっと上げると、アフリカのナミブ砂漠、インドのチャンド・バオリの階段井戸、インド・ジャイプルにあるシティパレス、ジョードプルの青の街、パンゴン湖、タージ・マハル、インドネシアのグヌンカウイ遺跡などなど。

インド最北のラダックにあるパンゴン湖は今年6月から7月始めに旅行で行ったばかり。標高4250mの秘境中の秘境にあるアジア最大の汽水湖であるパンゴン湖を有名にしたのは、2009年公開のインド映画「きっと、うまくいく(原題「3 idiots」)かとばかり思っていたら、それより3年前の本作ですでに取り上げられていた。

特に美しかったのがジョードプルの青の街。インドの北西にあるラージャスタン州の街。旧市街の家々の壁が青く塗られていて、通称「ブルーシティ」と呼ばれているらしいが、映画を見ていて行きたくなっちゃった。

 

ついでにその前に観た映画。

民放のBSで放送していたフランス映画「ローズメイカー 奇跡のバラ」。

2020年の作品。

原題「LA FINE FLEUR」

監督ピエール・ピノー,出演カトリーヌ・フロ、メラン・オメルタ、ファツァー・ブヤメッド、オリヴィア・コート、マリー・プショー、ヴァンサン・ドゥディエンヌほか。

 

落ち目のバラ園経営者と素人集団たちが、「バガテル新品種国際バラ・コンクール」という世界屈指のバラ・コンクールに挑む姿を描いたドラマ。

 

フランス郊外。あふれる才能と魔法のような指で新種のバラを開発し、数々の賞に輝いてきたエヴ(カトリーヌ・フロ)。だが数年前から巨大企業のラマルゼル社に賞も顧客も奪われ、亡き父が遺してくれたバラ園も今では倒産寸前に。

助手のヴェラ(オリヴィア・コート)が何とか立て直そうと、職業訓練所から格安で前科者のフレッド(メラン・オメルタ)、定職に就けないサミール(ファツァー・ブヤメッド)、異様に内気なナデージュ(マリー・プショー)を雇う。だが3人は全くの素人で、手助けどころか一晩で200株のバラをダメにしてしまう。

そんな中、エヴに新種のアイディアが浮かぶ。交配に必要なバラがラマルゼル社のバラ園にしかないと知ったエヴは、こっそり忍び込んでバラを手に入れようと、フレッドにある“特技”を披露させる。

パリの新品種コンクールまであと1年、はみだし者たちの壮大な奮闘が幕を開ける・・・。

 

巨大企業のバラをこっそり手に入れて新品種をつくれば犯罪になっちゃうけど、そこはちゃんと心得ていて、何と、まったくのド素人3人組のアイデアというか努力が実を結ぶお話で、最後はホロリとさせられる。

 

ちなみにバガテル新品種国際バラ・コンクールというのは、フランス・パリ郊外のブローニュの森にあるバガテル公園で毎年6月に開催されるバラの新品種コンクール。1907年に始まった世界初の新品種コンクールで、世界でもっとも権威のあるコンクールなんだとか。