善福寺公園めぐり

善福寺公園を散歩しての発見や、旅や観劇、ワインの話など

きのうのワイン+映画「ロイ・ビーン」「正直政治家 チュ・サンスク」

ヒューソネットカベルネ・ソーヴィニヨン(HUSSONET CABERNET SAUVIGNON)2019」

(写真はこのあと牛サーロインステーキ)

イタリアの名門アンティノリがチリで手掛けるワイナリー、アラス・デ・ピルケのワイン。アラス・デ・ピルケは競走馬を育てる牧場とワイナリーを兼ねていて、この牧場で種雄馬生活を送っていた名馬「ヒューソネット」にあやかり、名づけられた。

自社畑の厳選した区画で栽培した高品質なブドウから仕立てるシリーズ。赤・黒系果実のアロマ、フレッシュな果実味とミネラル感や土の風味が混ざり合う、複雑な味わい。

 

ワインの友で観たのは、民放のCSで放送していたアメリカ映画「ロイ・ビーン

1972年の作品。

原題「THE LIFE AND TIMES OF JUDGE ROY BEAN」

監督ジョン・ヒューストン、音楽モーリス・ジャール、出演ポール・ニューマンエヴァ・ガードナー、ヴィクトリア・プリンシパルアンソニー・パーキンスほか。

19世紀末のテキサス州バルベルデ郡に実在した名物判事ロイ・ビ―ン(1825年~1903年)の生涯を描いた異色ウェスタン。

 

1890年のテキサス州・ペコス川の西岸地域には法律も正義もなく、暴力と無秩序が支配していた。そこにならず者ロイ・ビーンポール・ニューマン)がやってくる。彼は酒場を法廷に改造し、判事として君臨するようになる。

ビーンは酒場を「ジャージー・リリー」と改名し、1890年代の有名な女優兼歌手であるリリー・ラングトリー(エヴァ・ガードナー)という彼が崇拝しているが会ったことのない女性の肖像画を掲げる。

彼は、女優リリーへの憧れに胸を躍らせる一方で、悪党や殺し屋を容赦なく裁き、次々に絞首刑にしてしまう。そんな彼の前に弁護士を名乗る男が現れ、次第に様相が変わり始める。やがてビーンは父親になることに・・・。

 

メチャクチャであり得ないような物語の展開なんだが、観終わったあとになぜか爽快感が。

実に不思議な映画だった。

音楽はフランス・リヨン出身のモーリス・ジャール。彼はデヴィッド・リーン監督の「アラビアのロレンス」「ドクトル・ジバゴ」など数多くの映画音楽を担当し、アカデミー賞に9回ノミネートされ3回受賞している。

本作では明るくリリカルな主題歌「小さな愛のワルツ」をアメリカのポピュラー音楽を代表する歌手、アンディ・ウィリアムズが歌っている。

しかも、劇中、ポール・ニューマンが「テキサスの黄色いバラ」を歌う“おまけ”つき。

この曲はアメリカ南部に伝わる古い民謡で、1955年にミッチ・ミラーのレコーディングにより世界的に人気になったんだとか(ミッチ・ミラーは映画「戦場にかける橋」(1957年)の「クワイ河マーチ」でも有名)。

 

映画のクライマックスは、20年間行方知れずだったロイ・ビーンが街に突然、舞い戻ってきて、20歳になった自分の娘と再会。だけじゃなく、昔の仲間を引き連れて馬にまたがり大暴れする。腹黒い弁護士で今は町長になって町を支配する一味たちをバッタバッタとやっつけて、風ともに消えていく。

さらに何年後か、ビーンは、彼が憧れたリリーに会うことが叶わないまま生涯を終えるが、当のご本人のリリーが町にできたロイ・ビーン記念館にやってきて、リリーに宛てたビーンの最後の手紙を読んで涙するところが美しい。

 

ついでにその前に観た映画。

民放のCSで放送していた韓国映画「正直政治家 チュ・サンスク」。

2020年の作品。

原題は韓国語で、「正直な候補」という意味らしい。

監督チャン・ユジョン、出演ラ・ミラン、キム・ムヨル、ナ・ムニ、ユン・ギョンホ、ソン・ヨンチャンほか。

嘘がつけなくなってしまった政治家の奮闘を描いたコメディ。

 

息を吐くように嘘をつき続け、多くの国民の支持を集めてきた国会議員のチュ・サンスク(ラ・ミラン)。一方、サンスクの祖母キム・オクヒ(ナ・ムニ)は「嘘をつかない政治家になって」と祈り続けていた。

ワイロや根回し、姑との関係など、嘘で塗り固めた日々を送る彼女だったが、選挙を控えたある日のこと、祖母の神頼みにより一晩で嘘がつけなくなって本当のことしか話せなくなる。

街頭演説や討論会でも本音ばかりが口から出てしまい、サンスクは混乱するばかり。政治家生命の危機に陥ってしまうが・・・。

 

平気で嘘をついてシラを切る、嘘をつくのは政治家の特権と本気で思ってるとしか見えない日本の政治家に見せたいようなドタバタ痛快コメディ。