善福寺公園めぐり

善福寺公園を散歩しての発見や、旅や観劇、ワインの話など

きのうのワイン+映画「ニューヨークの恋人」ほか

フランス・ボルドーの赤ワイン「ムートン・カデ・ルージュ(MOUTON CADET ROUGE)2019」

(写真はこのあとメインの肉料理)

メドック格付け第一級シャトーを所有するバロン・フィリップ・ド・ロスチャイルドが、本拠地ボルドーで手がけるワイン。

メルロ、カベルネ・ソーヴィニヨンカベルネ・フランブレンド

このワイン、誕生から80年以上の歴史を持つが、時代の嗜好の変化に合わせてブドウのブレンド比率を変えるなど、常に時代に合ったおいしさを追求していて、そこが人気の秘訣、だとか。

 

ワインの友で観たのは民放のBSで放送していたアメリカ映画「ニューヨークの恋人」。

2001年の作品。

原題「KATE & LEOPOLD」

監督・脚本ジェームズ・マンゴールド、出演メグ・ライアンヒュー・ジャックマンリーヴ・シュレイバーブレッキン・メイヤーほか。

 

タイムスリップにより出会った男女2人を描くロマンティック・ストーリー。

1876年のニューヨーク。英国貴族のレオポルド公爵(ヒュー・ジャックマン)は、財政困難で窮地に立った家の存続のため、政略結婚の花嫁を探そうと叔父のいるニューヨークにやってきていた。ところが、花嫁選びの舞踏会で不審な男を見つけた彼は、後を追ううち、ブルックリン橋から男と一緒に転落していくが、そこは時空の裂け目であり、彼は現代へタイムスリップしてしまった。

男は天才科学者スチュアート(リーヴ・シュレイバー)で、過去へ旅する方法を見つけたという。次のタイムトラベルが可能になるまでの1週間、スチュアートのアパートに滞在することになったレオポルドは、階下に住む上昇志向のキャリアウーマン、ケイト(メグ・ライアン)と知り合う。彼女は浮き世離れした彼を売れない俳優と思い込み、CMのタレントとして起用すると・・・。

 

映画を観ていて、英国貴族がなぜまた当時は新興国にすぎなかったアメリカくんだりまで花嫁探しにやってきたのか首をかしげた。作者はどうしてもニューヨークのラブ・ストーリーにしたかったのだろうか。

しかし、テレビの人気ドラマ「ダウントン・アビー」がまさにこの映画とそっくりなところから始まっていて、破産寸前だった英国貴族の伯爵家が、アメリカの富豪の娘であるコーラと結婚したことで多額の持参金を得て、窮地を救われたのだった。

ダウントン・アビー」は2010年にテレビ放送が始まっているから、ひょっとして2001年公開のこの映画をヒントにつくられたのかも、と勘繰ってしまうほど。

 

ダウントン・アビー」は架空の物語だが、現実の時代背景を映し出している。

19世紀の英国貴族とアメリカ成金の結婚について調べたデータがあり、それによると、第一次世界大戦が始まる前の40年間で、アメリカの大実業家の娘100人が爵位を持つ英国貴族と結婚しているという。その中には持参金目当ての政略結婚も少なくなかったに違いない。

そのころは大英帝国も凋落傾向にあり、やがて新興国アメリカに大国の座を奪われてしまう。だとすれば、没落気味の英国貴族が花嫁探しのためにNYにやってくるのも必然の成り行きだったのかもしれず、本作はかなり史実を吟味してつくられたのだとわかった。

 

映画の総製作費4800万ドルの約3分の1にあたる1500万ドルは、メグ・ライアンへの出演料として使われたという。映画のヒットのため、人気女優メグ・ライアンへの持参金?もすごかったみたいた。

映画のエンディングでスティングの「アンティル・・・」という曲が流れていた。

 

ついでにその前に観た映画。

民放のBSで放送していた韓国映画「ソボク」。

2021年公開の作品。

原題は、漢字で書くと「徐福」。

監督イ・ヨンジュ、出演コン・ユ、パク・ボゴム、チョ・ウジン、パク・ビョンウンほか。

 

「余命わずか」と宣告を受けた元情報局員ギホン(コン・ユ)は、国家の極秘プロジェクトによって誕生した人類初のクローン「実験体ソボク」(パク・ボゴム)を安全に移動させる任務を引き受ける。

ソボクはiPS細胞を用いた肝細胞複製と遺伝子操作によって不死身の体になっていて、しかも重力と圧力をコントロールできるという超能力の持ち主でもあった。

謎の勢力がソボクを奪おうと狙っているためシェルターに移すことになり、ギホンが護衛役になったのだが、任務開始早々、何者かの襲撃を受け、2人は逃避行を繰り広げる。永遠の命を持った青年と、余命幾ばくもない男、やがて2人は衝突し合いながらも心を通わせていく・・・。

 

監督は、初恋の切なさを描いた恋愛映画「建築学概論」(2012年)のイ・ヨンジュで、脚本も共同で書いている。「建築学概論」以来の監督作品という。

 

「徐福」の朝鮮語音読みが「ソボク」。

徐福とは、中国前漢の時代、司馬遷によって編纂された歴史書史記」に登場する人物。

秦の始皇帝の命を受け、不老不死の霊薬を求め東方に船出したものの、結局、秦には戻らなかったとの記述がある。

東方に旅出たというので、徐福は黒潮親潮など海流に乗って韓国や日本に渡来したとの伝説が残っている。

韓国の徐福伝説は慶尚南道の南海島、釜山などにみられ、特に有名なのが済州島

また、日本も全国各地に徐福伝説があり、和歌山県新宮市には徐福の墓があるというし、東京・伊豆七島八丈島にたどりついた徐福が見つけた仙薬はアシタバだったとの伝説が残っている。

 

映画では、ソボクは不死身の体ながら1日1回注射しないと死んでしまう。なぜかというと細胞分裂が異常に早いため、抑制剤を投与しないといけないらしい。

まるでがんの増殖を抑える抗がん剤みたいだが、そんなにまでして長生きしたいものなのか、とも思った。

ただし、本作で監督がいいたかったのは「長生きしたい!」ではなく、不死身の体を持つ者と死を目前にした者という両極端の2人を登場させることで、人間だれしもが恐れる「死」を考え、「生」とどう向き合うかを考える、ということのようだった。