善福寺公園めぐり

善福寺公園を散歩しての発見や、旅や観劇、ワインの話など

きのうのワイン+映画「バリー・リンドン」

フランス・ボルドーメドックの赤ワイン「シャトー・コート・ド・ブレニャン(CHATEAU COTES DE BLAIGNAN)2015」

(写真はこのあと焼肉)f:id:macchi105:20211002170812j:plain

ボルドー市の北60㎞、北メドックのオルドナック村に位置し、オーナーのフランシスコ家は1870年からワインをつくり続けて、現在5代目だとか。

オルドナック村の入口に立つ十字架は、サンチャゴ・デ・コンポステーラへ向かう巡礼者のための道しるべであり、そのほど近くにシャトーもあるという。

カベルネ・ソーヴィニヨン50%(優先的に礫質区画で栽培)、メルロ45%(粘土・石灰質区画で栽培)、カベルネ・フラン4%、プティ・ヴェルド1%。

バランスのとれた飲みやすいワイン。

 

ワインの友で観たのは、民放のBSで放送していたイギリス・アメリカの合作映画「バリー・リンドン」。

1975年の作品。

監督スタンリー・キューブリック、出演ライアン・オニール、マリサ・ベレンソン、パトリック・マギーほか。

 

18世紀のヨーロッパを舞台に、貴族の仲間入りをして立身出世を図ろうとしたアイルランド出身の農家の息子バリーの半生を描いた歴史ドラマ。

衣装やセットは厳密な時代考証にもとづいてつくられ、屋内も屋外も自然の光の下で撮影しようと、夜の室内をロウソクだけで撮影できる特殊なレンズを使うなど、こだわりを徹底したのは完璧主義者のキューブリックらしい。

このとき使われたレンズは、NASAアポロ計画で月面撮影のために開発されたカール・ツァイス社製のf0・7という超明るいレンズ。しかし、いくら明るいレンズでもロウソクの灯の元では絞りを開放にしなければならず、そうなると被写界深度も非常に狭くなり、ピント合わせが大変だったらしい。

おかげでアカデミー賞では撮影、衣装デザイン、美術監督、編曲の4部門を受賞。

 

こだわりの例は、登場する貴族たちが男も女もほっぺたにカラフルな付けぼくろをしてしいるところにもあらわれている。

これも時代考証によるもので、18世紀のヨーロッパでは貴族の間で付けぼくろが流行していたという。

肌の白さを引き立たせるためなのか、素材はベルベットやサテンでつくられ、ゴム糊で顔の表面に貼りつけていたらしい。また、当時は白粉を叩く化粧方法が流行していたが、白粉には亜鉛などが含まれていたため鉛中毒により皮膚にシミができやすく、それを隠すために付けぼくろが用いられたともいわれる。

付ける場所によって違う意味を持たせたりもしていて、額は威厳、目もとは情熱、頬は粋な洗練、あごのふちは謙虚など、位置によりそれぞれ意味があり、その日の気分により仲間内だけにわかるメッセージが込められていたんだとか。

 

バリーは病弱なチャールズ・リンドン卿の若い妻レディー・リンドンに出会い、彼女を籠絡。チャールズの死後、その後釜に座るが、たとえ結婚しても彼には何の権利もない。

逆にレディー・リンドンは女性であっても世襲によるものだろうがイングランドアイルランドの伯爵、子爵、男爵の称号を持っていて、彼女のサインなしには何もできない。彼女が死ねば、前夫との間にできた長男のほうに爵位も財産もみんな行ってしまう。

そこで、バリーは何とか自分も爵位を得ようと有力貴族に取り入ったりして金を浪費。それがやがて彼にとっての悲劇につながってしまうのだが・・・。

 

ちなみに、ヨーロッパの貴族社会では女性でも爵位を持つことができ、たとえば男爵の場合、男はBaronだが女男爵はBaroness。イギリスの首相だったサッチャーも一代貴族として女男爵を授かっている。

さらにいえば家系の相続も、かつては男子優先の長子相続、つまり男子がいれば長男が相続し、男子がいない場合にのみ長女が相続していたようだが、近年は男女平等の観点からか、多くの国で性別に関係なく長子相続が原則となっているそうだ。

イギリスの場合、王位継承資格を持つ者は男女の区別がなく、他国に嫁いだイギリス王族の女性の子にも王位継承権があり、現在、イギリスの王位継承者は約5000人にものぼっているという。