フランス・ボルドーの赤ワイン「ムートン・カデ・ルージュ・クラシック(MOUTON CADET ROUGE CLASSIQUE)2018」
メドック格付け第一級シャトーを所有するバロン・フィリップ・ド・ロスチャイルドが、本拠地ボルドーで手掛けるワイン。
1930年発売当時のラベルを再現したシックなデザインが印象的。
メルロ、カベルネ・ソーヴィニヨン、カベルネ・フランをブレンド。
飽きのこないやわらかな飲み心地。
この日の料理の1つ、エビとバナナのバターソテー、パッションフルーツ添え。
独自に考案の新メニューだそうです。
ワインのあと観たのは、民放のBSで放送していた韓国映画「安市城 グレートバトル」。
2018年の作品。
監督キム・グァンシク、出演チョ・インソン、ナム・ジュヒョク、パク・ソンウン、ペ・ソンウ、オム・テグ、ソリョンほか。
実在した武将ヤン・マンチュン(楊萬春)と唐の皇帝・太宗との戦いを描く歴史アクション。
西暦645年、アジア全土の支配をもくろむ唐の皇帝・太宗は大軍を率いて高句麗への侵攻を続けた。各地の城主たちが降伏していく中、安市城を守るヤン・マンチュン将軍は屈することなく、城に籠もる。
5000人の兵を率いたヤン・マンチュンは、20万人を超える大軍に無謀ともいえる戦いを挑んでいく・・・。
CGを使っているのは明らかだが、なかなか迫力があって見応えのある映画だった。
歴史の勉強にもなった。
6世紀おわりの隋の時代、朝鮮半島には高句麗、新羅、百済の3つの国があった。
現在の中国東北部南部にまで勢力を広げ強大だったのが高句麗で、隋は大軍を3度、高句麗に送ったがいずれも失敗していた。その当時、隋は高句麗に対抗するため百済と結びつき、日本も新羅に対抗するため百済や隋の力を利用しようとしていた。
7世紀に入って、隋の次の唐も高句麗攻略を諦めず、第2代皇帝の太宗は自ら出陣して高句麗を攻めた。
ヤン・マンチュンが守る安市城は朝鮮半島にあるのではなく、現在の中国東北部南部、遼寧省のちょうど遼東半島の根元あたりにあった。屏風のような山に囲まれ、東北平原を流れる大河・遼河に水路でつながる天然の要塞だったという。
攻めあぐんだ太宗は、城の目と鼻の先に土の山を築いた。安市城の城壁を超えるほどの高さの山をつくり、そこから兵を送り込んで攻撃しようという作戦だ。
のべ何十万人も動員して、2カ月かけて巨大な土の山を完成させるが、土砂降りの雨の中、山が崩れて作戦は失敗(映画では地下にトンネルを掘った安市城兵が地下崩壊を起こして山を崩壊させたことになっている)。
さらに映画では、ヤン・マンチュンが放った矢が数十万人の唐軍の背後にいた太宗の左目に命中し、高句麗から援軍もやってきて、やむなく唐軍は撤退して行った、となっている。
ちなみに太宗は、この矢の傷が原因で5年後に亡くなったんだとか。
しかし、太宗亡きあとも唐は高句麗攻略をやめず、以前は手を結んでいた百済を滅亡させ、ついに668年、高句麗を滅ぼして、東アジアはもちろんモンゴル高原から中央アジアなどを含む大帝国となっていった。
高句麗が滅んだ668年は日本は飛鳥時代で、中大兄皇子が即位して天智天皇となった年だ。
中大兄皇子は天皇になる前に大化の改新により蘇我氏を倒し、唐・新羅の連合軍による攻撃を受けていた百済に救援軍を出したものの白村江の戦い(663 年)で敗れ、百済が完全に滅亡したのちは朝鮮から手を引き、内政に専念するようになっていたという。
ヤン・マンチュン将軍は、のちに高句麗が滅ぼされてからも最後まで安市城に残って抗戦を続けたといわれる。
国内の内紛もあり、唐と同盟を結んだ新羅にも攻められ、平壌城の陥落によって高句麗は滅びるが、鴨緑江以北のいくつもの城が降伏を拒否して抵抗し、その中心になったのが安市城だったという。
高句麗は紀元前1世紀中ごろから約700年にわたって繁栄した国だが、出身地からすると北方のツングース系の騎馬民族だったといわれる。
それで映画に描かれていたように乗馬がうまく、勇猛果敢だったのか。
日本が倭と呼ばれていたころの4世紀から5世紀前半にかけても、日本のヤマト政権は朝鮮半島への軍事侵攻を繰り返していて、高句麗と戦ったことがある。しかし、騎馬軍団に歯が立たず、コテンパンに負けている。
そんな高句麗の滅亡後、高句麗から海を渡って日本にやってくる人たちが多くいた(百済が滅亡したときも百済の王族・貴族を含む百済人が日本に亡命し、その数は4000~5000人以上だったといわれている)。今でいえば戦争難民だろうか。
716年(霊亀2年)には、関東各地に住んでいた「高麗人(高句麗人)」1799人が武蔵国に集められ、「高麗郡」ができた、と「続日本紀(しょくにほんき)」に書かれている。
ひょっとしてその中には、まさかヤン・マンチュン将軍が身分を隠してやってきていることはないだろうが、彼を知る人もいたかもしれない。
高句麗からきた渡来人たちは、大陸の進んだ技術や文化を日本に伝えた。今も埼玉県日高市には「高麗(こま)」の地名が残っていて、高麗神社や高麗川がある。
ついでにその前に観た映画。
民放のBSで放送していたイギリス映画「アルフィー」。
1966年の作品。
監督ルイス・ギルバート、出演マイケル・ケイン、ミリセント・マーティン、ジュリア・フォスター、ジェーン・アッシャーほか。
色事師アルフィーの女性遍歴をコメディータッチで描く。
ロンドン・イーストエンドの薄汚れたアパートで暮らすアルフィー(マイケル・ケイン)は異性に対する欲求が人一倍強く、いつも身なりだけはきちんと整え、さまざまな女たちとの関係を楽しんでいる。
結核で入院すると女医や看護師と親しくなり、退院後は金持ちの女性と恋仲になるアルフィーだったが・・・。
今年89歳で、今や老人役専門の感があるマイケル・ケイン33歳のときの作品。2004年にジュード・ロウ主演でリメイクされているが、若いときのマイケル・ケインとジュード・ロウ、たしかに似ている。