善福寺公園めぐり

善福寺公園を散歩しての発見や、旅や観劇、ワインの話など

きのうのワイン+映画「深く静かに潜航せよ」他

イタリア・ヴェネト州の赤ワイン「コルテ・ジャーラ・メルロ・コルヴィーナ(CORTE GIARA MERLOT CORVINA)2019」

(写真はこのあとメインの肉料理、ピーマンとナスの肉詰め・はさみ焼き)f:id:macchi105:20210402103611j:plain

イタリア北東部に位置し、南にはアドリア海、北部は山岳地帯で山や湖、海に囲まれる自然豊かなヴェネト州(州都はヴェネツィア)。この地でワイン作りを続けているワイナリー、アレグリーニの赤ワイン。

メルロ主体で、これにコルヴィーナ・ヴェロネーゼをプラス。コクのある味わい。

 

ワインの友で観たのはWOWOWプラスで放送していたアメリカ映画「深く静かに潜航せよ」

1958年の作品。

原題「RUN SILENT、RUN DEEP」。

監督ロバート・ワイズ、出演クラーク・ゲーブルバート・ランカスターほか。

 

太平洋戦争中のさなか、アメリカの潜水艦と日本の駆逐艦との攻防を描く。アメリカの元海軍大佐の実体験をもとに製作された。

 

太平洋戦争中、豊後水道での作戦で自分が艦長をしていた潜水艦がやられたため、任務を外されていたアメリカ海軍のリチャードソン中佐(クラーク・ゲーブル)は、艦と部下の仇をうつことに凝り固まっていた。

一方、副長のブレッドソー(バート・ランカスター)は部下の信頼も厚く後任の艦長は自分と信じていた。しかし、再び日本近海に向かうことになった潜水艦ナーカ号の艦長は引き続きリチャードソンが務めることになった。

艦長は始めは部下に豊後水道を避けると言明していたが、密かに腹心の部下と水路図を研究し、宿敵である日本海軍の駆逐艦「アキカゼ」への復讐を計画し、航路を豊後水道に向ける・・・。

 

映画は、1942年に豊後水道でアメリカの潜水艦が日本の駆逐艦「アキカゼ」によって撃沈されるシーンから始まる。ここからクラーク・ゲーブル扮する潜水艦艦長の復讐劇が始まるのだが、1942年ということは太平洋戦争開始の翌年のこと。豊後水道といえば九州の大分県と四国の愛媛県に挟まれた場所であり、日本の内海といってもいいところだ。

戦争開始の翌年に、早くもアメリカの潜水艦がそんなところにまでやってきていたのに驚かされた。

 

なぜアメリカは早々と豊後水道に潜水艦を送り込んだかというと、豊後水道の先には広島の呉があり、そこは日本最大級の軍港であり、戦艦大和もここで建造された。呉軍港から外地へと出ていく戦艦などを監視し、攻撃するには格好の場所だったのだろう。

したがって日本軍にとっても豊後水道は国防上重要な海峡というので、豊後水道沿岸には大口径の大砲を据える要塞がいくつもつくられたという。

 

映画を見ててもう1つ不思議だったのが潜水艦の形。とくに船首で、まるで水上に浮かぶ船と同じような形をしていて、今の潜水艦とはまるで違う形をしている。

あれじゃ潜るときに時間がかかるんじゃないかと心配になったが、もともと潜水艦は水上船を改良した「可潜艦」にすぎなかったからで、第2次世界大戦でその名を轟かせたドイツのUボートもやはり船みたいな形をしている。

それは当時の潜水艦とは、普段は水上を航行していて魚雷攻撃を行ったり敵に見つかりそうなときなど限定された状況にのみ潜航していたので、水上運行に適した形で問題なかったのだろう。

今日のような丸い形(涙滴型というらしい)の潜水艦が登場するのは1953年に進水したアメリカの実験潜水艦アルバコアが最初だという。

流体力学にもとづいて、水中を高速で進むために考案されたのが涙滴(teardrop)型だった。これにより、「Submersible(潜水可能な船)」は本格的な「submarine(潜水艦)」となっていった。

それにしても涙の粒の形なんて、原子力潜水艦とかコワーイ兵器なのに何てロマンチックな呼び名。

さらに最近では、丸筒型の部分を長くした「葉巻型」というのも登場していて、これだと船内スペースを多くとれて、建造コストも安くなるんだとか。

 

映画を観ていると、ついついヘンなところに興味がいってしまう。

 

ついでにその前に見た映画。

NHKBSで放送していたオペラ映画「歌劇リゴレット」。

スゴイ顔ぶれ。

マントヴァ公爵はテノールにとっての高音の限界の音が出せるというので“キング・オブ・ハイ・C”の異名があったルチアーノ・パヴァロッティ、このとき46歳。ジルダは“コロラトゥーラの女王”エディタ・グルベローヴァ、35歳。リゴレットスウェーデンの名バリトン、イングヴァール・ヴィクセル、50歳。みんな、特にパヴァロッティの若いこと(さすがにおなかはだいぶ出てきているけど)。

オーケストラは世界最高峰ウィーン・フィル。指揮するリッカルド・シャイーは何とまだ28歳。

1981年12月にウィーンで音声を収録し、フランスのオペラ演出家、ジャン=ピエール・ポネルの演出で1982年4月~5月にかけてイタリア各地で撮影。

リゴレット」の舞台となったマントヴァのパラッツォ・ドカーレ(ドカーレ宮殿)や、パルマのテアトロ・ファルネーゼファルネーゼ劇場)など、現存する歴史的建造物でロケを行っただけに豪華絢爛な映像にも引き込まれる。

「女心の歌(風の中の羽根のように)」など全編美しく親しみやすい旋律の中に、人間の喜びと悲しみ、怒りと絶望をドラマチックに描いたヴェルディの傑作の1つだが、現代人の目から見れば、好色で若い娘をたぶらかすなど放蕩の限りをつくすマントヴァ公爵がいかにもいい男に描かれているのが許せない。あの時代、高貴な人間は特別な存在だったのだろうが。

しかし、このオペラの原作はヴィクトル・ユーゴーの戯曲で、もともとは16世紀のフランス国王・フランソワ1世の享楽ぶりを批判した反権力の内容だったという。それじゃあまずいというので権力者に寛容な内容に変更されたらしいが、名曲であるのは間違いない。

 

民放のBSで放送していたアメリカ映画「ジャズ・シンガー」。

1980年の作品。

監督リチャード・フライシャー、出演ニール・ダイアモンド、ローレンス・オリビエ、ルーシー・アーナスほか。

 

1927年製作の往年の名作のリメイク。

ユダヤ教聖歌隊の先唱歌手を代々受け継いできたカンター(ローレンス・オリビエ)の息子ジェス(ニール・ダイアモンド)は、跡継ぎ候補として先唱助手を務める一方、ショービジネス界での成功を夢見ていた。そんなある日、友人の仲介で人気ロック歌手の曲作りを頼まれたジェスは妻を残してロサンゼルスへ旅立つ。やがて舞台にも立つようになるが、妻には離婚を告げられ、父にも勘当されてしまう・・・。

 

映画の始めのころに、ユダヤ教の人々のパーティーの場面があり、そこで流れた曲がやけに中東っぽいというか、アラビアンナイトにでも出てきそうな曲だった。

ユダヤ教といえば、アラブ人を追い出してパレスチナに建国されたイスラエル。そのため「アラブとイスラエルは対立しているいずでは?」と気になって、「ハバ~ナギラ~」と歌う歌詞の断片とメロディーの記憶を頼りに映画のあと調べてみると、「ハバ・ナギラ」というイスラエルの民謡で、ユダヤ教徒の結婚式や成人式などで歌われるポピュラーな曲だそうだ。

もともとウクライナルーマニアにまたがる地域の民謡を元に舞曲としてつくられ、広まったという。

それにしてもメロディーがアラブっぽいと思ったが、考えてみればユダヤ人も元をたどればパレスチナの地がふるさとなのだから、アラブ人もユダヤ人も文化的なルーツは共通しているところがあるのかもしれない。