善福寺公園めぐり

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きのうのワイン+映画「子鹿物語」他

オーストラリアの赤ワイン「ジービー・56・シラーズ(GB 56 SHIRAZ)2019」f:id:macchi105:20210409095528j:plain

南オーストラリア、バロッサ・ヴァレーで5世代続く醸造家一族のワイナリー、グラント・バージが手がけるワイン。

ブドウ品種はシラーズ。

バランスがとれていて飲みやすいワイン。

 

ワインの友で観たのはNHKBSで放送しいたアメリカ映画「子鹿物語」。

1946年の作品。

原題「THE YEARLING」

監督クラレンス・ブラウン、出演グレゴリー・ペックジェーン・ワイマン、クロード・ジャーマン・ジュニアほか。

 

アメリカの作家マージョリー・キナン・ローリングスが1938年に発表しピューリツァー賞を受賞した児童文学小説の映画化作品。

テクニカラーで描かれる自然が美しく、そこで働く家族の姿がまた、過酷ではあるが美しい。

原題の「THE YEARLING」は「満1年以上満2年未満の1年子」を意味し、競走馬でいえば「当歳馬」。やがて成長していく子鹿と少年を意味しているのだろう。

 

11歳のジョディー(クロード・ジャーマン・ジュニア)は、フロリダ北部の開拓地で農業を営む父親(グレゴリー・ペック)、母親(ジェーン・ワイマン)とともに伸びやかに生活していた。あるとき、父親が毒ヘビに咬まれる事件が起こる。父親はとっさに近くにいた母鹿を銃で殺して肝臓を引きずり出し、かまれた傷口に押し当てて応急処置をほどこす。そのとき母鹿のそばにいたのがかわいらしい子鹿で、ジョディーは飼うことを許され、フラッグと名づけられる。

ジョディーと子鹿のフラッグはまるで兄弟のように仲よく暮らす。しかし、フラッグの成長は早く、畑に侵入してせっかく植えた作物を食べてしまうようになる。そこで高い柵を設置してフラッグによる食害を防ごうとするが、大きくなったフラッグはもはやラクラクと飛び越えて畑に侵入するまでになって手に負えない。苦渋の決断で森の奥に置き去りにしても、やっぱりフラッグは戻ってきてしまう。このままでは農業が続けられなくなるばかりか、一家は飢え死にしてしまう。そこで、父と母が下した決断は・・・。

 

自然の猛威にさらされながらも、未開の原野を開墾し、作物を植え、家畜を育て、家畜荒らしの野生動物ともたたかいながら、たくましく暮らす一家。

家から水源地までは遠く、母親は毎日、長い道のりを歩いて水を汲んでこなければならなかった。父親は「今度の作付けがうまくいって農業収入が増えれば、レンガを買うことができる。そうすれば家のすぐそばに井戸を掘って、水を汲めるようになるよ」と告げると、母親は夢見る眼差しになり、「そうなったら何てうれしいんでしょう」と涙を流す。

このエピソードだけでも、一家がいかに過酷な暮らしを強いられているかがわかる。

それにしてもグレゴリー・ペックの若いこと。この映画のとき30歳。映画デビューから2年後の作品だ。

 

ついでにその前に観た映画。

民放のBSで放送していたアメリカ映画「マスター・アンド・コマンダー」。

2003年の作品。

監督ピーター・ウィアー、出演ラッセル・クロウポール・ベタニーほか。

 

ナポレオン戦争中の1805年、フランスと制海権を争っていたイギリス海軍は、軍艦サプライズにフランス海軍の私掠船(しりゃくせん、国家公認の海賊船)アケロンの拿捕を命令。ラッキー・ジャックと異名をとり不敗神話を誇る伝説の艦長ジャック・オリーブ(ラッセル・クロウ)指揮のもと、10歳の少年から老人までを含む総勢約130人の乗組員は勇んで出航していく。しかし、アケロンは同じ帆船であるサプライズより速度も艦の規模も勝っていて、両者の戦いは壮絶を極めていく・・・。

 

見どころは、帆船同士の海戦シーンと嵐の海の描写。どちらも迫力満点。どちらも「実写か?」と思わせるほど真に迫っていて、テレビ画面で見ていても手に汗を握る。これぞ劇場の大画面で観るべき映画だった。

嵐の海の中、サプライズ号が波にもまれる様子は、実物大の帆船と模型とを使い分けているらしいんだが、流体力学を使ったCGで描く波の描写とともに完成度は高い。

本作は細部にわたってリアリティーにこだわってつくられたそうで、130人の乗組員にしても、7000人の候補者から「18世紀の顔だち」を持つ俳優を選び、衣裳から言葉遣いも含め徹底した時代考証の元に撮影が行われたという。

 

映画では、乗組員たちが食料補給のためガラパゴス諸島に上陸する場面があるが、劇映画では史上初めて、実際にガラパゴス諸島で撮影を行ったのだとか。

乗組員たちが珍しい生き物を追いかけるシーンもあるが、あれも本物か?それともCGか?もーわかんなくなる。

しかし、映画でのガラパゴス諸島上陸は決して息抜きのためではなく、この島で発見した木の枝に擬態する昆虫ナナフシが、敵の船をやっつける重要なヒントになる。

ナナフシにヒントを得たジャック・オリーブ艦長は、フリゲート艦を捕鯨船に偽装し、擬態作戦で敵の船に近づいていくのであった。

 

民放テレビで放送していたアメリカ映画「SEARCHI/サーチ」。

2018年の作品。

監督アニーシュ・チャガンティ、出演ジョン・チョー、デブラ・メッシング、ミシェル・ラーほか。

 

ストーリーの全てがパソコンの画面上で展開される、というので話題になったが、画面はかなり精緻できれいだから、デジタル・データで映画を撮影したものを、いかにもPC上で映っているように加工したのではないか。

じゃなければ劇場の大画面で見なくても、ネットフィリックスとか家庭のテレビで十分、となってしまう(ただ、もはや今は、劇場で見ないでテレビで見てる人のほうが多いだろうが。かくいうワタシも)。

 

16歳の女子高生マーゴット(ミシェル・ラー)が突然姿を消し、行方不明事件として捜査が始まる。娘の無事を信じる父親のデビッド(ジョン・チョー)は、マーゴットのPCにログインして、InstagramFacebookTwitterといった娘が登録しているSNSにアクセスを試みる。だがそこには、いつも明るくて活発だったはずの娘とは別人の、デビッドの知らないマーゴットの姿が映し出されていた・・・。

監督のアニーシュ・チャガンティは本作が映画の監督デビュー作で、メガネ型ウエアラブル「Googleグラス」だけで撮影したYouTube動画で注目を集めた27歳(2018年当時)のインド系アメリカ人だとか。

 

民放のBSで放送していたアメリカ映画「幸せのちから」。

2006年の作品。

監督ガブリエレ・ムッチーノ、出演ウィル・スミス、ジェイデン・スミスタンディ・ニュートンほか。

 

原題は「The Pursuit of Happyness」。

日本語に訳せば「幸福の追求」。アメリカ独立宣言に掲げられている言葉に由来するというが、正しい綴りの「Happiness」ではなく、「Happyness」とわざと間違っている。

事業の失敗によりホームレスになるまで落ちぶれたが、最終的には成功をつかんだ実在の人物のサクセスストーリー。

 

1980年代のアメリカ。妻と5歳の息子と3人で暮らすクリス・ガードナー(ウィル・スミス)は、自分で投資して買いつけた骨密度測定機器のセールスをしていたが、製品はいっこうに売れず、どん底の生活を送っていた。ついには妻が出て行き、家を追い出され、貯金も底をつく。そんなクリスが最後に選んだ道は自分の才能を信じて一流証券会社へ入社することだった。しかし6カ月の無給のインターンを経て、正式採用されるのはたった1人・・・。

5歳の息子役はウィル・スミスの実の息子ジェイデン・スミス

原題にある「Happyness」は、保育所に通う息子の落書きにあったスペルミスが元となっている。息子を守ろうとする強い責任感があったからこそ、クリスはどん底から這い上がれたのであり、最後まであきらめないという“鉄の意思”も彼を支えたのだろう。