善福寺公園めぐり

善福寺公園を散歩しての発見や、旅や観劇、ワインの話など

きのうのワイン+映画「こんにちは、私のお母さん」「ジャニス・ジョプリン」「ブラック・シー」

イタリア・トスカーナの赤ワイン「ジンガリ(ZINGARI)2018」

(写真はこのあと牛ハンバーグ)

ワイナリーはペトラ。

メルロ、シラー、プティ・ヴェルド、サンジョヴェーゼをブレンド

4種のブドウのピュアな旨味が溢れる1本。

 

ワインの友で観たのは、民放のCSで放送していた中国映画「こんにちは、私のお母さん」。

2021年の作品。

原題「「你好、李煥英」

監督・脚本・主演ジア・リン、出演チャン・シャオフェイ、シェン・トン、チェン・フー、リウ・ジアほか。

中国の人気喜劇女優ジア・リンが初監督・脚本・主演をつとめ、亡き母との実話を織り交ぜながら描いたタイムスリップ・コメディ。

 

元気と明るさだけが取り柄で、何をやっても上手くいかず母リ・ホワンイン(チャン・シャオフェイ)に苦労ばかりかけている高校生のシャオリン(ジア・リン)。大好きな母が喜ぶことを何もできていない自分を許せずにいたが、あるとき、交通事故で母が意識不明の重体に陥ってしまう。

病院で泣き崩れたシャオリンは、ふと気がつくと20年前の、自分がまだ生まれていなかった1981年にタイムスリップしていた。工場で働いていた独身時代の母リ・ホワンインと出会ったシャオリンは、母の幸せのため、金持ちの男性と結婚させようと奮闘する。

しかしそれは、自分がこの世に生まれてこないことを意味していた。たとえ自分が生まれなくなろうとも、母の夢を叶えて幸せな人生を歩んでもらおうとシャオリンは奔走するのだが・・・。

 

ジア・リンが撮影時39歳にして主人公の高校生を演じた。

文句なしに笑えて、そしてたとえ自分が生まれなくても母の幸福のため過去を変えようとする主人公の姿が切なくて、かわいくて、ホロリとする映画。

現代っ子シャオリンがタイムスリップした1981年といえば、中国の現代史に汚点を残した「文化大革命」の傷がようやく癒えて、鄧小平政権下で改革開放路線がスタートし始めたころ。

それでもまだ人々は貧しく、いろんなものが配給制で、各家庭にテレビもない時代。そんな中でも若い工場労働者たちが精いっぱい生きる姿が生き生きと描かれている。

原題の「你好、李煥英」は「こんにちは、リ・ホワンイン」の意味。李煥英(リ・ホワンイン)はジア・リンの亡き母の名前という。なぜ「お母さん」ではなく「李煥英」としたかについてジア・リンは「母のことを語りたかっただけでなく、李煥英という一人の女性のことも語りたかった」と話している。

そうなのだ、お母さんにはちゃんと名前があるのだ。

 

ついでにその前に観た映画。

民放のBSで放送していた松竹ブロードウェイシネマ「ジャニス・ジョプリン」。

2018年の作品。

原題「A NAGHT WITH JANIS JOPLIN

ニューヨーク・ブロードウェーの舞台を映像化したもので、監督(シネマ版)デヴィッド・ホーン、脚本・演出(舞台版)ランディ・ジョンソン、出演メアリー・ブリジット・デイヴィス、オーリアナ・アンジェリーク、アシュリー・テイマー・デイヴィス、タウニー・ドリー、ジェニファー・リー・ウォーレンほか。

 

松竹ブロードウェイシネマは、ブロードウェイなど海外の舞台を日本にいながら字幕つきで映画館でゆっくり楽しめるものにしようと誕生した上映シリーズ。

今回の舞台作品は、唯一無二の歌声を持ち、アメリ音楽史上の歴史を塗り替えたとされるレジェンド・シンガー、ジャニス・ジョプリンの物語。

舞台公演は2013年から2014年までニューヨークのライセウムシアターで行われ、その後、米国内ツアーが2019年まで行われた。ジャニスの半生が数々の名曲とともにミュージカルショー仕立てで描かれていている。

ジャニス・ジョプリンをまるで本人が憑依したかのように演じたメアリー・ブリジット・デイヴィスは、トニー賞主演女優賞やヘレンヘイズ賞ミュージカル部門最優秀主演女優賞にノミネートされた。

ドスの効いた?パワフルでソウルフルな歌声に魅了された。

 

ジャニス・ジョプリンは1943年アメリカ・テキサス州ポートアーサー生まれの白人ロック・シンガー。1960年代後半のヒッピー文化華やかなりし時代、モントレー・ポップ・フェスティバルやウッドストック・フェスティバルなどを通じて“ロックの女王”として君臨するも、1970年に27歳で死去。ヘロインの過剰摂取が死因と見られている。

活躍した期間は短かったが、彼女の伝説は今も生き続けているという。

 

民放のCSで放送していたイギリス・アメリカ合作の映画「ブラック・シー」。

2014年の作品。

監督ケビン・マクドナルド、出演ジュード・ロウスクート・マクネイリー、ベン・メンデルスゾーン、デヴィッド・スレルフォールコンスタンチン・ハベンスキーほか。

ジュード・ロウ主演による潜水艦を舞台にしたサスペンスアクション。

 

海洋サルベージの専門家として潜水艦で働いてきたロビンソン(ジュード・ロウ)は、長年勤めたサルベージ会社から突然、解雇される。それまで会社に尽くすばかりで家庭を顧みなかった彼は妻と息子にも去られていて、途方に暮れる。

そんなある日、ロビンソンは元仕事仲間から思いがけない情報を聞く。それは第2次世界大戦中に莫大な金塊を積んだドイツ軍の潜水艦Uボートジョージア沖の黒海に沈み、深い海の底にいまだ眠っているというものだった。Uボートに積まれた金塊の引き揚げに成功すれば、巻き返しの大チャンスになると考えたロビンソンは、その話に飛びつく。

かくしてロビンソンは、5人のロシア人と6人のイギリス人で結成された急造の合同チームを乗せた旧式のロシア製潜水艦の艦長となり、金塊探しへと繰り出す。しかし、金塊に目がくらんだ乗組員たちは次第に険悪になり、潜水艦という密室は醜い争いの場と化していく・・・。

 

題名の「ブラック・シー」とは黒海の意味だが、同時にカネに目がくらんだ男たちのブラックな魂胆をも意味している。

主役のロビンソンを演じるジュード・ロウが、眼光鋭く存在感のある演技。

彼ももちろん一攫千金をねらう一人だが、果たしたい願いがあった。仕事に熱中して家庭を省みなかったために去っていった妻と息子を、もう一度呼び戻したかったのだ。

ついに金塊を見つけて潜水艦に積み込むが、彼は意外な事実を知る。金塊引揚げの話は、彼をクビにしたサルベージ会社が仕掛けたワナで、潜水艦が浮上したところでロビンソンたちは捕まり、サルベージ会社が金塊をすべて奪う手はずになっているというのだ。

ロビンソンをお払い箱にして、なおかつ彼をだまして莫大な利益を吸い上げようとしていたのは、まっ黒なブラック企業のサルベージ会社だった。

それを知って怒り心頭に発したロビンソン。オンボロの潜水艦はあちこちで故障を起こし、ついには航行不能直前にまで追い込まれるも、会社に仕返ししたい彼は、ついには狂気に走り乗組員の命より金塊奪取を優先しようとする。

しかし、乗組員の中に18歳の少年がいたこと、そして、ポケットから取り出した写真に写っていた妻とわが子の姿に、彼は失いかけていたもの、ブラック企業には持ちようのない「人間としての心」を取り戻すのだった。