フランス・ボルドーの赤ワイン「ムートン・カデ・ルージュ(MOUTON CADET ROUGE)2019」
メドック格付け第一級で五大シャトーの一翼を担うシャトー・ムートン・ロスチャイルドを擁するバロン・フィリップ・ド・ロスチャイルドが、本拠地ボルドーで手がけるワイン。
メルロ、カベルネ・ソーヴィニヨン、カベルネ・フランをブレンド。
豊かな果実味が主役の濃厚な赤ワイン。
ワインの友で観たのは、民放のBSで放送していたアメリカ映画「バートン・フィンク」。
1991年の作品。
監督ジョエル・コーエン、脚本ジョエル&イーサン・コーエン、製作イーサン・コーエン、出演ジョン・タトゥーロ、ジョン・グッドマン、マイケル・ラーナー、ジョン・ポリトほか。
スランプに陥った劇作家が悪夢の世界へと追いつめられていく、コーエン兄弟の不条理サスペンス。
1941年、ニューヨークで演劇界の寵児となった新進気鋭の劇作家バートン・フィンク(ジョン・タトゥーロ)に、ハリウッドから映画の脚本執筆依頼が舞い込む。
迷った末にバートンは依頼を受けてハリウッドに向かうが、彼に与えられたのはB級レスリング映画の脚本。しかも、仕事場兼宿泊先として用意されたホテルの部屋は蒸し暑く、おまけに壁を通して聞こえてくる宿泊客の声がノイズとなって創作意欲を妨げる。
極度のスランプに陥ったバートンだったが、そんな彼の気持ちを理解してくれたのが隣室に長く逗留する保険セールスマンのチャーリー・メドウズ(ジョン・グッドマン)だった。ところが、人のよさそうな顔をしたチャーリーは実は指名手配中の連続殺人犯で、保険契約を断った主婦や高額の治療費を請求してきた耳鼻科医などを皆殺しにしてきた男だった・・・。
1991年のカンヌ国際映画祭で最高賞にあたるパルム・ドール、監督賞、男優賞を受賞。歴史ある同映画祭で1つの作品が主要三冠を制したのは過去にない快挙だったという。
フロントにヒマそうな男が1人いるだけの安ホテルなのに、1つの階だけで数十室もあるような長い廊下。靴磨きは無料というのでドアの前にはズラリと宿泊客が出した革靴が並んでいる。
そして、バートンがタイプライターに向かう机の前にかかっている浜辺に座る水着姿の女の絵。
チャーリーが託したナゾの小包。
いずれも何かの暗示だと思うのだが、不条理劇にその答えを聞こうとしてもムダなことか?
その意味では、いろんな見方ができる映画。
ついでにその前に観たのもコーエン兄弟の映画。
民放のBSで放送していたアメリカ映画「ビッグ・リボウスキ」。
1998年の作品。
監督ジョエル・コーエン、脚本ジョエル&イーサン・コーエン、製作イーサン・コーエン、出演ジェフ・ブリッジス、ジョン・グッドマン、スティーブ・ブシェーミ、フィリップ・シーモア・ホフマンほか。
コーエン兄弟による監督・脚本・製作。同じ名前の大富豪と間違えられて誘拐事件に巻き込まれたぐうたら男とその仲間の騒動を描いたコメディ。
1991年、湾岸戦争のころのロサンゼルス。その日暮らしの気ままな生活を送るぐうたら男ジェフリー・リボウスキことデュード(ジェフ・ブリッジス)。毎日のようにマリファナを吸い、ベトナム戦争退役軍人で厳格なユダヤ教徒なのにキレやすいウォルター(ジョン・グッドマン)、小心者のサーファーで何事にも消極的なドニー(スティーブ・ブシェーミ)とボウリングを楽しんでいる、ある日のこと、同じ名前の大富豪リボウスキ、通称ビッグ・リボウスキと間違われ、2人組のチンピラから借金を返せと脅される。
腹を立てたデュードは、賠償を請求するべくリボウスキの豪邸に押しかけるが追い返されてしまう。
数日後、リボウスキに呼び出され再び彼のもとを訪れたデュードは、誘拐されたリボウスキの妻バニーの身代金の引き渡し役を依頼されるが・・・。
主人公のジェフリー・リボウスキこと「デュード(dude)」は、英語のスラング(俗語)では「あいつ」とか「あの男」といったときに使われる言葉だとか。
「Hey dude!」と誰かが呼びかけたら、その意味は「おい、そこの兄ちゃん!」ということのようだ。
対して大富豪は「ビッグ」で、映画のタイトルは「ビッグ・リボウスキ」。
描かれているのは湾岸戦争のころで、当時のブッシュ(父)大統領が戦争の開始を宣言するところがテレビのニュース映像で流れる。
とするとコーエン兄弟は、ぐうたら男であるデュードを“そこの兄ちゃん”であるイラクに、大富豪のビッグ・リボウスキを大国アメリカになぞらえて、世の中を笑い飛ばしたかったのだろうか?
「バートン・フィンク」にも出演していたジョッ・グッドマンが愛嬌があるんだけどクセのる役を“怪演”している。
民放のBSで放送していたイギリス映画「モーリス」。
1987年の作品。
監督・脚本ジェームズ・アイボリー、出演ジェームズ・ウィルビー、ヒュー・グラント、ルパート・グレイブスほか。
20世紀初頭のイギリスを舞台に舞台に、互いに惹かれ合いながらも対照的な人生を歩んでいく同性愛の男たちを描く。
原作はイギリスの作家E・M・フォースターの同名の小説で、生涯を独身で通したフォースター自身、同性愛を抱いてもがき苦しんでいたといわれる。しかし、1913年に執筆したもののテーマが同性愛というので出版がかなわず、彼の死後の1971年になってようやく出版された。
イギリスは4つの国に分かれているが、イングランドとウェールズでは男性による同性愛行為を犯罪とする法律が1967年に廃止されるまで存在していた(スコットランドでは80年、北アイルランドでは82年まで存続)。
物語は――。
ケンブリッジ大学に通う青年モーリス・ホール(ジェームズ・ウィルビー)は、良家の子息クライヴ・ダーラム(ヒュー・グラント)と互いに惹かれ合う。プラトニックな関係のまま学生生活を終えた2人は、それぞれ別の道を歩みながらも交流を続けていたが、やがてクライヴは母に勧められた女性との結婚を決意。一方、傷ついたモーリスは、ダーラム家の猟場番の若者アレック(ルパート・グレイブス)と恋に落ちる・・・。
日本では88年に劇場初公開。2018年4月から、製作30周年を記念した4Kデジタル修復版「モーリス 4K」として88年の公開時には実現しなかった無修正版でリバイバル公開。
民放のBSで放送していたアメリカ映画「U-571」。
2000年の作品。
監督ジョナサン・モストウ、出演マシュー・マコノヒー、ビル・パクストン、ハーヴェイ・カイテルほか。
1942年、第二次大戦下の北大西洋。ヨーロッパ戦線で連合軍はドイツの高性能潜水艦Uボートと暗号器「エニグマ」に翻弄され、甚大な被害を受けていた。そんなとき、1隻のUボート571号がイギリスの駆逐艦に攻撃され漂流、救難信号を発信する。
それを傍受したアメリカ海軍は、旧式の巡洋潜水艦S-33を敵の友軍である補給潜水艦に偽装し、救援を装ってU571号を乗っ取り、同艦に搭載されていたエニグマを奪取する作戦に出る。
だが、奇襲攻撃により作戦が成功したかに見えたとき、S-33は敵の援軍から撃沈され、辛うじて生き残ったS-33乗組員は敵艦のU-571に閉じ込められてしまう。今まで扱ったこともないUボートを何とか動かして、エニグマを携えて帰還しようとするが・・・。
総製作費120億円というアクション大作。
SFXを他用していて、実物大のレプリカ・セットで舞台を再現するなど、リアリティ重視の骨太な描き方をしている。
投下された爆雷の爆発による潜水艦内の軋み音とか、魚雷の発射音など、音響効果も真に迫っていて、アカデミー賞の音響編集賞を受賞。
本作はフィクションだが、連合軍がUボートの艦内に突入してエニグマを奪取したのは実際にあったことで、戦史に残っているという。ただし、作戦を実行したのは米軍ではなく、英軍だった。
このため映画公開後、不正確な描写との批判が起こり、英国では議会でも取り上げられクレームがついた。作戦中に殉職した英海軍兵士たちへの侮辱だ、というので当時のブレア首相も抗議の声を上げたといわれる。
ただし、モデルとなった当の英海軍兵士らは映画の撮影に喜んで協力したらしいが。