チリの赤ワイン「アイランド・イースター・カベルネ・ソーヴィニヨン(ISLAND EASTER CABERNET SAUVIGNON)2019」
続いて料理に出た揚げ空豆。そのあと牛焼き肉とご馳走メニュー。
チリ最大のワインメーカー、コンチャ・イ・トロ傘下のワイナリーの1つ、クイマイが手がけるワイン。
ボルドーからブドウの苗をチリへ持ち込んで、ブドウ栽培に最適な気候を持つマイポ・ヴァレーにブドウ畑を開拓したのがコンチャ・イ・トロの始まりという。
ラベルに描かれているのはイースター島のモアイ像。マナという霊魂が宿る守り神であり、古くからチリの人々に親しまれてきたんだとか。
ブドウ品種はカベルネ・ソーヴィニヨンとカルメネール。
初めて飲んだが、とても飲みやすいワイン。
ワインの友で観たのはアメリカ映画「捜索者」。
1956年製作の西部劇。原題は「The Searchers」
監督ジョン・フォード、出演ジョン・ウェイン、ジェフリー・ハンター、ベラ・マイルズほか。
南北戦争の終結から3年後の1868年(日本は明治元年)、南軍兵士だったイーサン(ジョン・ウェイン)はテキサスの開拓地で牧場を営む弟夫婦のもとを訪れる。しかし、再会したのも束の間、近隣の牧場からコマンチ族によって牛が盗まれたと知らせが入り、テキサスレンジャーの男たちとともにイーサンは出動していくが、それは実はコマンチ族の罠で、男たちが不在になった隙をねらって開拓地は襲われ、イーサンの弟夫婦は惨殺され、娘2人が拉致されてしまう。
もともとインディアンを嫌っていたイーサンは、さらに憎悪の念を抱いて、復讐と姉妹救出のための旅に出かけていく・・・。
頑固で無骨な男イーサンをジョン・ウェインが演じている。しかし、ただ頑固で無骨だけではなく、根は深い愛情に満ちていて、その気持ちを呵責のない非情さで包み込んでいる。
原作はアラン・ルメイという作家の「捜索者~復讐するテキサス人」。映画でははっきりとは描かれてはいないが、原作では弟の妻マーサは実はイーサンの元恋人で、今も彼はマーサを想っていた。ところがそのマーサがコマンチ族に殺され、深い愛があるゆえに憎しみもまた増していくのだった。
それにしてもイーサンの人種差別意識は度を越していて、インディアンの血を引いているというだけで蔑視の目で見たりしてとても理解できなかったが、そこには時代背景もあったのだろう。
原作のアラン・ルメイの作品は、1836年に実際にあったシンシア・アン・パーカーという9歳の女の子がインディアンにさらわれた事件をもとに書かれているという。
この事件では大人たちは殺され、少女たち若者が拉致された。シンシア・アンはその後コマンチ族の勇者の妻となって3人の子どもを産む。結局、彼女は24年間コマンチ族とともに暮らし、“救出”というか“奪還”されて白人親族の元に戻されたという。
ちなみにコマンチ族の勇者との間に生まれた男の子は成長してコマンチ族の最後の酋長となり、白人社会との架け橋になる活動を行ったという。
映画は家の中から外へ出ていくシーンから始まる。
テキサスの砂漠の中の、ポツンと1軒あるだけの石造りの家。外の景色は雄大で、モニュメント・バレーの景色がすばらしい(実はモニュメント・バレーはテキサスはなくユタ州からアリゾナ州に広がる地帯なんだが)。
そしてラストは、拉致された少女を救ってイーサンが帰ってくるシーンで終わるが、これも家の中(隣の、といってもかなり離れた場所にある牧場主の家)からのシーンで、少女は牧場主家族に迎えられて家の中に入っていき、イーサンと行動をともにした若者(ジェフリー・ハンター)もその家の娘(婚約者)に出迎えられて一緒に家の中に入っていく。
家の前で、1人残ったイーサンは家に入らず、そのまま踵を返して砂塵の中を去っていく。
やがて扉が閉じて画面は暗転し、「The End」の文字が浮かび上がる。
結局のところ監督のジョン・フォードは、人種への偏見に凝り固まり、復讐のためだけに生きた男は、一人寂しく去っていくしかないと思ったのだろうか。
広大な景色を背景にした映像が美しく、劇場の大画面スクリーンで観たらもっとよかっただろう。
拉致された少女は映画では拉致から5年後に救出されたことになっているが、少女を演じたのはナタリー・ウッドで、撮影当時の実年齢は18歳。少女というよりかなりお姉さんになっていた。
それでも、前年の「理由なき反抗」でジェームス・ディーンと共演したのは17歳のときで、「ウエストサイド物語」でマリアを演じたのは23歳のときだった。若かったんだな。