善福寺公園めぐり

善福寺公園を散歩しての発見や、旅や観劇、ワインの話など

きのうのワイン+映画「シャイアン」

イタリア・カタルーニャの赤ワイン「サン・ヴァレンティン(SAN VALENTIN)2017」
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スペインのバルセロナの近郊、ペネデス地方でワインを造り続けて140年以上というワイナリー、トーレスのワイン。
「サン・ヴァレンティン」は3代目オーナーのミゲル・トーレス・カルボ氏が妻マルガリータへのプレゼントとして造ったワインだとかで、天使のマスコット付き。

ブドウ品種のガルナッチャはスペインを代表する赤ワイン用ブドウ品種という。スッキリとした味わい。

ついでに何日か前に飲んだワイン。
ニュージーランドの赤ワイン「メルロ(MERLOT)2017」
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ニュージーランド北島東海岸のニューブランド、オーバーストーンのワイン。
「石の上」という名のとおり、ワイナリーのブドウ畑は川砂利が積み重なった石のごろごろした土壌だという。それでラベルも石を積み上げたみたいなデザインなのか。
ブドウ品種はメルロ、カベルネ・フラン、マルベック。

ワインの友で観たのはNHKBSで12月に放送していたアメリカ映画「シャイアン」。
1964年の作品。
監督ジョン・フォード、出演リチャード・ウィドマーク、キャロル・ベイカー、カール・マルデンジェームズ・スチュワートエドワード・G・ロビンソンほか。

アメリカ政府の政策によって先住民族はみな居留地強制移住させられた。居留地で飢えと病に苦しむシャイアン族は、遠い北方の故郷であるイエローストーンをめざそうと決意する。
しかし、合衆国政府はシャイアン族の生存をかけた居留地脱出を武力で制圧しようとする。
厳しい冬になり、シャイアンの人々は全滅の危機を迎えるが…。

1878年から79年にかけて実際に起きたシャイアン族脱出の旅を描いているという。名匠ジョン・フォードが手がけた最後の西部劇。

映画を見て、アメリカは多民族の国だなとつくづく感じる。
シャイアン族はもともとの先住民族だし、故郷イエローストーンを目前にしたシャイアンの人々を監禁して餓死寸前にさせる合衆国軍隊の隊長はドイツからの移民。また、最終的にシャイアンの人々を救う内務長官もドイツ移民。
ポーランド出身の兵士も登場していて、もう軍人をやめるというその兵士は「ポーランドではコザックが、ポーランド人をただポーランド人だというだけで殺す。ちょうど俺たちがインディアンをインディアンだというだけで殺しているのと同じだ」というようなことを言う。
映画に出てくるシャイアン族の女性や若者はどこかスペイン・イタリアンっぽいし、多民族の国の物語であることをジョン・フォードはいいたかったのか。

映画の途中、ジェームズ・スチュアート扮する保安官ワイアット・アープがドク・ホリディとともに登場する。シャイアン族の悲劇は、白人社会で広がるときはシャイアン族が反旗を翻して白人を何十人殺した、いや殺したのは何百人だのとフェイクニュースとなって誇大に伝わっていき、ダッジシティでは市民軍が結成されてワイアット・アープがその隊長になるのだが、彼の登場シーンはほとんどコメディといっていい。
荒涼とした風景の中を飢えと寒さとたたかいながら、ただ生き残るために歩き続けるシャイアンの人々。一方、酒と享楽の中で馬鹿騒ぎに明け暮れ、ウソの情報に飛び上がって騒ぎ出す白人社会の人々。同じ大地で起こっている悲劇と喜劇の対比をジョン・フォードは描きたかったのか。

クエーカー教徒で、シャイアン族と心通わせ、彼らと行動をともにするキャロル・ベイカーが美しかった。
内務長官役のエドワード・G・ロビンソンはどこかで見たことがあるなと思ったら、スティーブ・マックイーン主演の「シンシナティ・キッド」(1965年)で、マックイーンの向こうを張る老ギャンブラーとして出ていた。

70ミリ超大作で上映時間154分。公開当時、映画館で観たら迫力があっただろう。