善福寺公園めぐり

善福寺公園を散歩しての発見や、旅や観劇、ワインの話など

メゾンエルメス 映画と湊茉莉展

銀座のメゾンエルメス10階にあるミニシアター「ル・ステュディオ」でスイス・フランスの合作映画「ザ・マーズドリーマーズ」を観る。
 
このシアターでは毎年テーマを決めて映画を上映していて、今年のテーマは「夢を追いかけて」。そこで4月の上映作品は火星への移住を夢見る人々のドキュメンタリー。
 
監督リヒャルト・ディンド。

エンジニア、作家、科学者、学生など、さまざまなバックグラウンドを持ちながら、赤い惑星へ入植することを疑わないアメリカの人々を中心に、彼らの率直な意見を聞き出していく。
天文学者や地質学者、宇宙生物学者などの専門家たちをはじめ、米国火星協会や、ユタ州にあるモハーヴェ砂漠での模擬実験基地を取材し、火星へ行くことの必要性や可能性を探ると同時に、地球の歴史や未来についても示唆を与える。

 
ただし、見ていて一番おもしろかったのはアメリカ先住民の2人の男性へのインタビュー。
そのうちの1人は言う。
「火星は見るもので、行くところじゃない」
そういえばその昔、コロンブスも夢を追いかけて西へ西へと航海し、アメリカ大陸を“発見”したが、「コロンブスは嫌いだよ」という。
「彼はインドをめざしたけど、結局、おれたち見つけて、おれたちはインディアンにされてしまった」
 
映画を観たあとは同じビルの8階で開催中の湊茉莉展を観る。
今回は映画よりこちらのほうがおもしろかった。

湊茉莉はパリを拠点に活動を行うアーティストで、日本初の個展という。
題して「うつろひ、たゆたひといとなみ」
湊茉莉は1981京都府生まれ。京都市立芸術大学と大学院で日本画を専攻後、パリ国立高等美術学校に留学。現在もパリを拠点に活動を行っているという。
壁面や建築物に鮮やかな色彩で抽象的なモチーフを描くのが彼女の作風らしく、一連の作品群は大胆で即興的な身振りを思わせるペインティングでありながら、実際は制作する地で目にした風物を描きとめたスケッチをもとにした綿密なリサーチから出発しているという。
「人はなぜ絵を描き始めたのか」をテーマに、欧州文化の礎となったケルトガリア、古代ローマなどの先住民族の文化についてリサーチを続けているという。
今回の個展では「うつろいゆく世界と人々の営み」というタイトルに沿って、通常のギャラリー展示に加えて、メゾンエルメスのガラスブロックのファサードにも絵が描かれ、建物の内外で変化する時間や光の流れを表現したという。

イメージ 1

イメージ 2

イメージ 3

外壁のガラスブロックにペインティングするときの様子がビデオで上映されていた。窓拭き用のゴンドラに乗っての大変な作業だったに違いない。
イメージ 4

外から見ると、なるほど、悠久の歴史がたゆたっているようだ。
イメージ 5