銀座メゾンエルメスのプライベートシネマ「ル・ステュディオ」で「私は、マリア・カラス」を観るため銀座へ。
少し早めに着いたので隣の「Ginza Sony Park(銀座ソニーパーク)」(ソニービルの跡地に去年オープンしたビルの中の公園)」に寄る。
「MUSIC IN THE PARK 東京スカパラダイスオーケストラと作る音楽の森」というイベントを開催中。
地下鉄コンコースから繋がる地下フロアには数十本の柱が立っていて、“音楽の樹”なんだそうだ。
好きなアーティストの曲をヘッドホンで楽しむことができる。
円形に配置された15台のグラスサウンドスピーカーもおもしろかった。
それぞれのスピーカーからは1つの楽器の音が聞こえる。スピーカーに耳を近づければその楽器が奏でる音が聞こえるし、真ん中に立てばハーモニーとなって聞こえる。
と、遊んでいるうちに時間が来たのでメゾンエルメス10階の「ル・ステュディオ」へ。
本日上映されたのは「私は、マリア・カラス」(原題「Maria by Callas」)。
2017年製作のフランス映画。監督トム・ヴォルフ。
20世紀最高のソプラノと称されたオペラ歌手マリア・カラスの人生を追ったドキュメンタリーだ。
(写真はパンフレットより)
舞台の隠し撮り?映像も含めたテレビインタビューや映像・写真などで構成し、ナレーションはなし。彼女の歌と言葉だけで構成されていて、ナレーションにあたるのはときおり挿入される字幕のみ。また、そのときどきの心情を綴った手紙がフランスの女優ファニー・アルダンによって読み上げられ、オペラ界の女王としての姿だけでなく、一人の女性としてのマリア・カラスを浮かびあがらせている。
途中、何曲かのアリアをノーカットで聴かせてくれるが、カラスの歌をこれだけ聴いたのは初めて。彼女のずば抜けた声のよさはもちろんのこと、表現力のすばらしさ。どれも胸打たれた。
映画でノーカットで歌っていたのは、1950年代初めごろだったかのベッリーニの「ノルマ」より「清らかな女神」、そのあとはビゼー「カルメン」より「恋は野の鳥(ハバネラ)」、プッチーニ「トスカ」より「歌に生き、恋に生き」、ベッリーニ「夢遊病の娘」より「おお花よ、お前がこんなに早く萎んでしまうとは」など。
最後に歌ったのがジョルダーノ「アンドレア・シェニエ」より「母が死に」。
そして、エンドロールが流れる中でプッチーニ「ジャンニ・スキッキ」より「私のお父さん」。
母と父が対になっていたのか。
絶頂を極めたカラスは1965年の「トスカ」の舞台を最後に事実上の引退状態になっていたが、1973年のロンドンから始まって復帰ツアーを行う。
オペラではなくコンサートだったが、ヨーロッパ、アメリカ、アジアをまわり、ラストは翌74年の日本で、熱狂する観客にカラスは歌う喜びを取り戻したように見える。この日本公演が彼女の生涯における最後の公式の舞台となった。
「私のお父さん」はロンドンでの復帰ツアーのときのもののだったようだ。
さらに本格的に舞台に登場するのかと思っていたら、それから間もない1977年9月、パリの自宅で亡くなる。享年53。
死因は心臓発作とされているが、あまりに早すぎる死だった。