善福寺公園めぐり

善福寺公園を散歩しての発見や、旅や観劇、ワインの話など

きのうのワイン+映画「ミッション」

イタリア・シチリア島の赤ワイン「キュソラ シラー・メルロ(CUSORA SYRAH MERLOT)2017」
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メインの料理が出る前のショット。

ワイナリーはカルーソ・エ・ミニーニ。シチリアの老舗ワイナリー、カルーソと最新テクノロジーを導入して投資するミニーニの共同経営によるワイナリーという。
シチリア島マルサラ地区にあるワイナリー。ここは溶岩土壌の肥沃な土地で、太陽の光を十分に浴びて育ったブドウはミネラル豊富で糖度が高く、シチリア島内で最もワインの生産量が多い地域だそうだ。

シラーとメルロがほどよく調和し、飲みやすいワイン。

ワインの友で観たのはBSで放送していたイギリス映画「ミッション」。
1986年の作品。
監督ローランド・ジョフィ、出演ロバート・デ・ニーロジェレミー・アイアンズ、レイ・マカナリー、リーアム・ニーソンほか。

18世紀、南米の奥地に布教にやって来たイエズス会のガブリエル神父(ジェレミー・アイアンズ)と、かつて奴隷商人で弟を殺し、苦行をへて信仰に目覚めたメンドーサ(ロバート・デ・ニーロ)は先住民たちと心を通わせていくが、政治的な思惑と攻略によって引き裂かれていく…。
イグアスの滝の絶景が美しく、アカデミー撮影賞に輝く。音楽はまるでマカロニウェスタンっぽくないエンニオ・モリコーネカンヌ映画祭パルム・ドールを受賞。

この映画は実話をもとにつくられたという。
現在のパラグアイ、アルゼンチン、ブラジルの国境が交差するあたりの地域では、先住民(主にグアラニー族)のキリスト教化を目指したイエズス会による「教化村」建設が盛んに進められていたという。最盛期には10万人を超えるほどだったというが、そこでイエズス会の修道士と先住民による高度な自治が展開されていたという。
しかし、当時南米を支配していたのはスペインとポルトガルポルトガルは先住民をつかまえては売り飛ばす奴隷狩りを行っていて、スペインも表向き奴隷狩りをしないといいながらポルトガルからの奴隷の横流しを受けていたという。
結局、イエズス会の教化村はポルトガル、スペインに目の敵にされて破壊され、イエズス会を送り出したはずのローマ・カトリックからも見捨てられる。

イエズス会といえば日本にもフランシスコ・ザビエルが訪れている。彼はイエズス会創設メンバーの1人だ。
ポルトガル国王の依頼でアジアでの布教をめざしたザビエルは、リスボンを出航してポルトガル領だったブラジルを経由して、そこから南下して喜望峰、さらにはインドのゴアをへて日本にやってきたという。

信仰の力とはすごいもので、ザビエルらの布教によって日本でどれだけの人が信者になったかというと、最盛期には30~40万人以上のキリシタン信者がいたと推定されているという。
ある学者によると、現在、日本のキリスト教徒の総数は約100万人ぐらいで、戦国時代末期の人口が2000万人に満たなかったことを考えると、30~40万人というのは驚くべき数字だという。

ブラジルの奥地で信仰が広まっていったのも分かる気がするが、映画では、イエズス会のガブリエル神父が奥地に分け入って先住民と相対したとき、敵に違いないと弓矢を向ける男たちに囲まれ、ガブリエル神父がとった行動とは、笛を吹くことだった。
信仰の言葉以前に、彼は音楽の力で人々の心を和らげたのだった。

ちなみに映画に登場したイエズス会の伝道所群は現在、ユネスコ世界遺産に登録されていて、パラグアイでは唯一の世界遺産という。