銀座のメゾンエルメス10階にあるミニシアター「ル・ステュディオ」で3本の短編映画を観る。
「ル・ステュディオ」は40席のプライベートシネマで、現在はコロナ感染拡大防止として座席数を30席に減らして上映している。
同シアターではフランス映画を中心に年間テーマを決めて月替わりで上映していて、2020年のテーマは「イノベーションの動き」。12月は、現代生活の中で自ら夢を作り出しながら日々生きてゆく人々の姿を描いた作品の紹介という。
上映された作品はサンドリーヌ・デュマ監督「幸せを作る日々」(L'invention des Jours Heureux、26分、2011年)、ファニー・リアタール&ジェレミー・トロイル監督・脚本「青い犬」(17分、Chien Bleu、2018年)、フランシス・アリス、ジュリアン・デヴォー、アジマル・マイワンディ共同制作「REEL-UNREEL」(19分、2011年)。
ワタシ的におもしろかったのが「REEL-UNREEL」。
日本語の題名は「巻く/戻す」ということらしいが、アフガニスタン・カブールでの子どもたちの遊びをヒントにした作品のようだ。
東西冷戦の時代から紛争が続くアフガニスタン。いまだ平和が訪れていないこの国で、カブールの子どもたちは、自転車の車輪を棒を使って起用に回して遊んでいる(そういえば日本でも昭和のころ、オモチャの代用品として車輪を回す遊びがはやったものだ。いつの時代も子どもたちはいろんな遊び方を発明する)。
すると、2人の少年が映画フィルムのリールを輪回しのように手で転がしながら坂道を駆けおりていく。先頭の1人は巻き取ったフィルムを戻しながら走っていき、うしろの1人はそのフィルムを再びリールで巻き取りながらあとを追っていく。
2つのリールは人々でごった返す雑踏や路地、階段、廃墟と化した建物の前、市場や坂道などを延々と転がり続けていき、カメラはその様子をリールの高さで映し出していく。セリフも何もなく、ただ転がり続けるリールを追っていくのだが、それは子どもの目の高さでとらえた、街とそこで生きる人々のドキュメンタリー映像でもあった。