善福寺公園めぐり

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ピエール・ルメートル「傷だらけのカミーユ」

ピエール・ルメートル「傷だらけのカミーユ」(橘明美訳、文春文庫)を読む。

フランスの作家で1951年生まれだから今年65歳。
「その女アレックス」「悲しみのイレーヌ」に続くカミーユ警部シリーズ三部作の完結編という。
前2作も意表をつく意外な展開にうまくはめられたような話だったが、今回も同じ。
スリリングな展開で一気に読んでしまった。

原題は」「SACRIFICE」で、「犠牲」を意味するんだそうだ。

ピエール・ルメートルの作品はカミーユシリーズの3作と「死のドレスを花婿に」「天国でまた会おう」を読んだが(ていうか日本ではそれしか邦訳が出てない)、一番おもしろかったのは「天国でまた会おう」だった。
その「天国でまた会おう」が今年のインターナショナル・ダガー賞を受賞した。

この賞は英国推理作家協会(CWA)がその年の優れた小説に与えるCWA賞の1つ、翻訳部門の賞で、今年は横山秀夫の「64(ロクヨン)」も候補に上がっていた。
ちなみにルメートルは過去にもこの賞をもらっていて、2013年 は「その女アレックス」、2014年は「悲しみのイレーヌ」がノミネートされたものの受賞を逃したが、2015年「傷だらけのカミーユ」、今年は「天国でまた会おう」と連続受賞となった。

ちなみに翻訳部門じゃない最高賞のゴールド・ダガー賞にはビル・ビバリーの「DODGERS(ドジャース)」という小説が選ばれていて、来年、早川書房から刊行予定という。