スペインの赤ワイン「サングレ・デ・トロ オリジナル(SANGRE DE TORO ORIGINAL)2019」
スペインのバルセロナの近郊ペネデス地方でワイン生産を続けるトーレスの赤ワイン。
牡牛のマスコットがトレードマーク。
スペイン原産のガルナッチャとカリニェーナをブレンド。濃厚ながらすっきりした味わい。
ワインの友で観たのは、民放のBSで放送していたアメリカ映画「ブリッジ・オブ・スパイ」。
2015年の作品。
監督スティーヴン・スピルバーグ、脚本ジョエル&イーサンのコーエン兄弟、出演トム・ハンクス、マーク・ライランス、エイミー・ライアン、アラン・アルダほか。
1950~60年代の東西冷戦さなかに起こった実話を描いたサスペンスドラマ。
ニューヨークで弁護士をしているジェームズ・ドノバン(トム・ハンクス)は、ソ連のスパイとしてFBIに逮捕されたルドルフ・アベル(マーク・ライランス)の弁護を依頼される。敵国のスパイを弁護することに世間の目は厳しく、多くの弁護士が拒否する中で引き受けたドノバン。弁護士として当然の責務を果たそうとするドノバンと祖国への忠義を貫くアベルとの間には、次第に互いに対する理解や尊敬の念が芽生えていく。
死刑が確実と思われたアベルはドノバンの弁護で懲役30年の刑をいい渡されるが、それから5年後の1960年、ソ連上空で偵察飛行中だったU‐2機が撃墜され、アメリカ空軍中尉フランシス・ゲイリー・パワーズがソ連に捕らえられる事件が発生。両国はアベルとパワーズの交換を画策し、ドノバンはその交渉役という大役を任じられる。
一方、ベルリンの壁の建設が進行中のベルリンでは、留学中のアメリカ人大学院生フレデリック・プライヤーが東側に立ち入ったところを秘密警察に逮捕され、スパイ容疑で拘留される。ドノバンは、パワーズに加えプライヤーも救出しようと、アベルとの2対1の交換のため奔走する・・・。
U‐2機はロッキード社製の秘密のアメリカ空軍偵察機で、真っ黒い機体に細長い直線翼を備え、地上からは見つからないような高度2万m以上もの高高度を飛行し、偵察用の特殊なカメラでソ連を始め社会主義国の領空を飛んで軍隊の配備状況などをスパイしていた。
表向きは気象観測ということで、ソ連軍により撃墜された当初も、アメリカ政府は「気象観測のための民間機」とウソの声明を発表していたが、パワーズが生きて捕まったとわかると態度を一変し、ソ連に先制攻撃されないために偵察を行うのは自国の安全のため当然のこと、と開き直った。
ソ連上空で撃墜されたU‐2機は前年の1959年には日本に配備されていて、不時着事件を起こしていた。
この年の9月、神奈川県の藤沢飛行場に真っ黒なジェット機が胴体着陸の上オーバーランした。機体には国籍を示す表記もなく、正体不明。同飛行場ではグライダーの大会が行われていて親子連れを含む多数の愛好者たちがいたが、間もなくして米軍の大型ヘリが飛んできて、米兵たちが飛び出してきて非常線を張り、正体不明機のパイロットをヘリに乗せて飛び去っていった。この正体不明機の正体こそ、厚木基地に配備されていたU‐2偵察機だった。
米兵たちは見物人を遠ざけ、写真撮影をきびしく禁止。さらには見物人の住所、氏名を調べ上げ、同時に尋問まで始めたという。知らせを聞いて現場にかけつけた藤沢警察署の警察官も同様にして追い払われ、現場に近づくことすらできずにいて、日本人をシャット・アウトしたまま飛行機を解体し、厚木基地へと運んでいった。
これだけの大事件なのに、地元紙が小さく載せたものの、なぜか全国紙はいっさい報道しなかった。しかし、その年の12月になって、ようやく「黒いジェット機事件」として国会で取り上げられた。
このとき国会では、同機は航空法を無視して、無申告・無許可で飛行していたことも明らかになっている。まさにスパイ飛行しているゆえだろう。
これに対して日本政府は「米軍機は日米協定により航空法の適用外」「同機は高空のジェット気流や気象観測に使われており、当日も伊勢湾台風の観測を行っていた」と米空軍の発表をそのまま繰り返すのみだった。
「黒いジェット機事件」は60年以上前の話だが、安保条約と日米協定により治外法権となっているアメリカ軍が日本の各地(とくに沖縄)に基地をもち,アメリカの世界戦略の最前線基地となっている実態は何ら変わっていない。
きのうの映画は、単にヒューマンドラマにとどまらず、東西の対立(今も米ロ、米中の対立があるが)は決して日本も無縁ではなく、常に戦争に巻き込まれる危険をはらんでいることを教えてくれるものともなった。
今のウクライナ危機でもスパイ活動を含め情報合戦が熾烈に展開されているのだろう。
ついでにその前に観た映画。
民放のBSで放送していたイギリス・アメリカ合作の映画「ジェーン・エア」。
2011年の作品。
監督キャリー・ジョージ・フクナガ、出演ミア・ワシコウスカ、マイケル・ファスベンダー、ジェイミー・ベル、ジュディ・デンチほか。
原作はこれまで何度も映画化されたシャーロット・ブロンテの同名小説。監督のキャリー・ジョージ・フクナガは日系アメリカ人という。
悲惨な子ども時代をすごした孤児のジェーン・エア(ミア・ワシコウスカ)は教師の資格を取り、ソーンフィールドという屋敷で住み込みの家庭教師の職を得る。晴れて新しい生活を手したジェーンは、屋敷の主人ロチェスター(マイケル・ファスベンダー)と恋に落ちていくが、ロンチェスターにはある秘密があった・・・。
自分の心に従って、自由に前向きに生きていこうとする女性の物語。
去年の暮れ、イギリスのナショナル・シアターの舞台を映像化した作品を映画館で見て感動しただけに、芝居と映画ではどう違うのかと思いながら観たが、やはりまるで違っていた。
もちろん、あらすじはどちらも同じなんだが、表現の仕方がまるで違う。
とくに芝居では男性の役者が演じるロチェスターの飼い犬パイロットが強烈な印象を与えてくれるのだが、映画ではパイロットの登場はまるでなく(ときどき遠くで鳴き声がするだけ)、最後のシーンで目の見えなくなったロチェスターのかたわらで寝そべっているだけだった。
原作者のシャーロット・ブロンテはとても動物好きで、作品にも動物たちをたくさん登場させている。「ジェーン・エア」におけるジェーンとロチェスターの出会いの場面でも、主人より先に駆けてきたのはパイロットだった、館での2人の会話にも終始付き合っていて、2人の仲を取り持っている感があった。
そんな描写は余計なものと映画は結論づけたのだろうか?