善福寺公園めぐり

善福寺公園を散歩しての発見や、旅や観劇、ワインの話など

きのうのワイン+映画「残された者 北の極地」他

イタリア・プーリア州の赤ワイン「ネプリカ・ネグロアマーロ(NEPRICA NEGROAMARO)2019」

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600年以上の歴史があるというアンティノリ社がプーリア州で立ち上げたワイナリー、トルマレスカのワイン。

ネプリカ・シリーズはネグロアマーロとプリミティーヴォ、カベルネ・ソーヴィニョンの頭文字を取ったもので、きのう飲んだのはネグロアマーロ100%。

プーリア州を中心に栽培されている赤ワイン品種で、古代ローマ時代から栽培されている品種だとか。

濃い紫色の色調で、ほのかにスパイシーなニュアンスが感じられる。

 

ワインの友で観たのは、民放のBSで放送していたアイスランド映画「残された者 北の極地」。

2018年の作品。

原題「ARCTIC」

監督ジョー・ペナ、出演マッツ・ミケルセン、マリア・テルマ・サルマドッティ。

 

飛行機事故で北極地帯に不時着したパイロットのオボァガード(マッツ・ミケルセン)は、壊れた飛行機の胴体部分をシェルター代わりにしながら、救出を待っていた。ところが、ようやく救助のヘリコプターがやってきたと思ったら突然のブリザードのため墜落し、操縦士の1人は亡くなり、同乗していた若い女性(マリア・テルマ・サルマドッティ)は辛うじて助かったものの瀕死のケガを負う。

女性は昏睡状態のままで、放っておけば死は免れないと察したオボァガードは、マイナス30℃の極寒の中、彼女をソリに乗せて何とか人がいる場所まで運んでいこう過酷な旅に出る。しかし、待ち受けていたのは荒れ狂う大自然の脅威だった・・・。

 

登場人物は、前半は主人公のオボァガードだけで、途中から救援のヘリでやってきた女性が加わるが、ブリザードによる墜落で大ケガを負って眠ったままなのでセリフはなし。

オボァガードは彼女をソリに乗せて人里まで運ぼうとするが、途中、ホッキョクグマに襲われたり、雪の山を越えなくてはいけなかったりして過酷を極める。

ついに、女性の傷は悪化し、もはや助かる見込みはないだろうと寝袋に包んだ彼女を雪の中に残して1人で進んでいこうとする。

ところが、オボァガードはクレバスに落ちて谷底まで転落。自分も足にケガを負う。足を引きずりながら歩いていくと、いつの間にか置いてきた女性のところに戻っていて、様子を見ると、何と彼女は意識を取り戻していた。

そしてたったひとこと「ハロー」とつぶやく。

映画の中で彼女のセリフはこれだけ。そのたったひとことを聞いて、オボァガードは彼女を見捨てていこうとしたことに泣きながら謝罪し、こう語りかける。

「大丈夫だ、君は独りじゃないよ」

この映画は単に過酷なサバイバルを描いた映画ではなく、「生きる」とは何かを問う映画でもあった。人は決して一人で生きているのではないよ、といっているようだった。

 

ついでにその前日に観た映画。

民放のBSで放送していたオーストラリア映画「ライド・ライク・ア・ガール」。

2019年の作品。

原題も「RIDE LIKE A GIRL」

監督レイチェル・グリフィス、出演テリーサ・パーマーサム・ニールほか。

 

2015年11月3日、オーストラリア最大の競馬のG1レース、メルボルンカップ(3200mのハンデ戦)を制したのは最低人気のプリンス・オブ・ペンザンスだった。鞍上はミシェル・ペインという女性騎手。

彼女は史上初めて女性騎手としてメルボルンカップを制し、歴史にその名を残すこととなった。その奇跡の物語を映画化したのが本作。

ちなみに、毎年11月の第一火曜日に行われるメルボルンカップはオーストラリアの国民的行事となっていて、開催の日は祝日になるほどという。

 

2015年のメルボルンカップでは24頭が出走。優勝した6歳せん馬(去勢された牡馬)のプリンス・オブ・ペンザンスは単勝オッズが101倍の最低人気タイ。2着がイタリアのトップ騎手デットーリが乗った4番人気の馬。1着から3着までを当てる3連単の馬券は日本円にして約200万円の超大穴だったとか(つまり日本だったら100円買うと200万円になる計算)。

日本からもフェイムゲーム(1番人気)とホッコーブレーヴ(16番人気)が出走したが、フェイムゲームは13着、ホッコーブレーヴは17着に終わった。

ちなみに2006年のメルボルンカップでは日本のデルタブルースが優勝、2着も日本のポップロックで、日本馬がワンツーフィニッシュを果たしている。

 

メルボルンカップは競馬界では“世界一荒れるG1レース”といわれているそうで、12年、13年も20番人気の馬が馬券にからんでいるし、20年の優勝馬は10番人気と、大波乱の決着の年が多い。

理由としては、ハンデ戦ということや内枠有利といったことがあげられていて、15年のプリンス・オブ・ペンザンスの場合も、馬が背負う斤量は一番重い馬が58㎞だったのに対して53㎏、枠順も最内枠の1番枠と絶好枠だった。

それならもっと人気が出てもよさそうが、何より女性騎手というのがマイナス要因となって最低人気まで落ちしてしまったのだろう。

そう考えると、ミシェル・ペイン鞍上のプリンス・オブ・ペンザンスの優勝は、まさしく快挙といえるだろう。

レース映像を見ると、最後の直線、残り200mのあたりから5、6頭が横一線に並んだ中から鋭く抜け出したときのペイン騎手の騎乗ぶりは見事だった。