金曜日朝の善福寺公園は曇り。空気はヒンヤリしていて清々しい朝。
善福寺公園サービスセンターのTwitterで、公園内にニホンミツバチの巣が3つあると紹介されていて、ホントかいな?と探して歩く。
たしかにありました。
古木のウロ(空洞)の中に巣をつくっていて、次々と働きバチが出入りしている。
セイヨウミツバチより一回り小さい感じで、見ていて実にカワイイ。
これから蜜を集めに行くのか、出動していく働きバチもいた。
ミツバチはそれぞれ役割分担をしていて、生まれてすぐは巣の中で雑用係をしたり、女王蜂の世話をしたりしていて、その後、巣の入口周辺で門番をするようになり、やがてベテランになると蜜と花粉集めのため飛んで行く。
人間社会と違って、高齢になるほど重要な役割を任せられるようになるのがミツバチだ。
ニホンミツバチは日本にもともと生息する在来のミツバチ。一方、養蜂用に改良され、明治初期に日本に輸入されたのがセイヨウミツバチで、こちらは人間の手でつくった巣箱に巣をつくるが、ニホンミツバチは主として山野に繁る大木のウロ(高さ1~7m、または地面近く)の中に巣をつくる。
人里でも巣をつくることがあり、神社・仏閣の石灯ろうとか、人家の天井裏、床下や物置小屋など、自然巣の形は場所に応じてさまざまという。
公園で巣をつくるとしたら、やっぱり古木のウロが最適ね!とミツバチたちは思ったのだろう。
2つめのもやはり古木のウロで、こちらも盛んに出たり入ったりしている。
少し離れたところに3つめの巣。
自然巣は明るいところは避けてなるべく暗いところにつくられるので、朝のうちはよく見えないが。
ミツバチは毎年、巣が大きくなって手狭になった初夏のころ、半分ぐらいのハチが女王蜂と一緒に巣を出て、別の新しい巣をつくる。残った巣には新女王蜂が誕生してこちらも安泰となる。これを「分封」というが、それで近くに2つもの巣があるのだろうか。
しかし、ニホンミツバチといえば野生のミツバチで、山で巣をつくって暮しているのをよく耳にする。なぜなら都会にはニホンミツバチより一回り大きいセイヨウミツバチがいて、そちらの勢力圏だからであり、山のミツバチと里のミツバチは棲み分けしていたと思うのだが、最近はニホンミツバチも都会にやってくるようになったのか。
たしかに、全国的にどんどん都市化が進んでいて、自然が次々と失われていく現代にあっては、ニホンミツバチも山の中だけでは暮していけなくなったのだろう。それは、クマが都会に出没するようになって人々を驚かせているのとどこか似ている気がする。
また、農地への農薬散布でミツバチの大量死や失踪しているとの話も聞く。
あるいは、近年は自分でハチミツをつくろうと、趣味でニホンミツバチを飼う人が増えているという話も聞く。そこから「分封」してきた可能性もある。
だいぶ昔だが、中央線の信濃町駅近くでニホンミツバチを飼っている人がいて、「都会でミツバチを飼っている」というので話題となり、新聞に載っていたことがあった。ところが今は、東京のあちこちでミツバチを飼う例を耳にする。銀座のど真ん中でミツバチを飼っている例があり、なぜ銀座でミツバチかと問われ、「蜜源が近くにあるからだ」と答え、その蜜源とは皇居です、というので妙に納得したことがあった。
善福寺公園にも、ミツバチの蜜源となる樹木はたくさんある。
ミツバチはスズメバチなんかと違って、近づいたからといって攻撃してきたりはしない。もちろん指をつっこんでせっかくミツバチがため込んだ蜜を奪おうとしたりすれば別だろうが、近くで観察している分にはおとなしくしているので安心だ。
いつも散歩する公園の中に、野生のニホンミツバチが生息してブンブン飛び交っているなんて、ちょっとステキだ。
けさも上池にはカワセミの姿。