善福寺公園めぐり

善福寺公園を散歩しての発見や、旅や観劇、ワインの話など

きのうのワイン+「黄金のアデーレ 名画の帰還」

フランス・ラングドックの赤ワイン「カデ・ドック・カベルネ・ソーヴィニヨン(CADET DOC CABERNET SAUVIGNON)2016」
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バロン・フィリップ・ド・ロスチャイルド社が手がけるワイン。
値段も手ごろで安心して飲める。

ワインの友で観たのは、民放のBSで放送していた「黄金のアデーレ 名画の帰還」
2015年のイギリス・アメリカ映画。
原題は「Woman in Gold)」
監督サイモン・カーティス。出演はヘレン・ミレンライアン・レイノルズダニエル・ブリュール、ケイテイ・ホームズほか。

グスタフ・クリムトが描いた「アデーレ・ブロッホ=バウアーの肖像 I」(通称「黄金のアデーレ」)を巡る裁判の顛末をマリア・アルトマンの実体験をもとに描いた映画。

アメリカ在住の82歳のマリア・アルトマン(ヘレン・ミレン)は、グスタフ・クリムトが描いた伯母の肖像画で第2次世界大戦中ナチスに奪われた名画が、オーストリアにあることを知る。
彼女は新米弁護士で作曲家のシェーンベルクの孫であるランディ・シェーンベルクライアン・レイノルズ)の助けを借り、オーストリア政府に絵画の返還を求めて訴訟を起こす。
法廷闘争の一方、マリアは自身の半生を振り返り……。

この映画は単に名画の所有権をめぐる裁判の話ではなく、戦争責任を問う映画だった。
第2次大戦下のオーストリアでは、ナチスドイツとその協力者によってユダヤ人弾圧が行われていた。
果たして戦後のオーストリアは、誤った行為の責任をどこまで認め、反省し、二度と同じ過ちを繰り返さないと固く誓っているのか。

映画の途中、弁護士のランディはこう問いかける。
「ここには2種類の人間がいます」と。
その問いかけは、同じように侵略戦争を押し進めた日本にも当てはまる。
2種類の人間とは、ひとつは、国が犯した過去の汚点にほっかむりして、もう昔のことは忘れよう、あるいはなかったことにしよう、という人間。もうひとつは、過去の汚点を率直に認め、反省し謝罪し続けることによって、自国の誇りを回復しようとする人間。

まさに今、日本の政治が問われていることではないだろうか。

第2次対戦下のウィーンで、弾圧が身辺におよびもはや逃げられそうもなくなって、せめて娘夫婦だけでも国外に脱出させようとした主人公の父親の娘への最後の言葉が胸に突き刺さる。

ナチスドイツとその協力者たちはわれわれからすべてのものを奪おうとしている。だが、誇りだけは誰も奪うことはできない」