善福寺公園めぐり

善福寺公園を散歩しての発見や、旅や観劇、ワインの話など

きのうのワイン+映画「大列車作戦」「ネバーランド」

ニュージーランドの赤ワイン「セラー・セレクション・シラー(CELLAR SELECTION SYRAH)2020」f:id:macchi105:20210902075527j:plain

現在、日本に輸入されているニュージーランドワインの中で輸入量No.1を誇るシレーニのワイン。

ワイナリーはニュージーランド北島、東寄りの海に近い都市ホークス・ベイに位置。ワイナリー名はローマ神話に登場する、酒の神であるバッカスの従者で、「おいしいワイン、食事、そして素晴らしい仲間」との生活を楽しんだといわれるシレーニ神に由来しているとか。その名の通り、食事がおいしくなるワイン。

シラー100%。

 

ワインの友で観たのは、民放のBSで放送していたアメリカ・フランス・イタリア合作の映画「大列車作戦」。

1964年の作品。

原題は「THE TRAIN」

監督ジョン・フランケンハイマー、音楽モーリス・ジャール、出演バート・ランカスターポール・スコフィールドジャンヌ・モローミシェル・シモンほか。

 

ナチス・ドイツ占領下のパリにあったジュ・ド・ポーム国立美術館の館長の記述をもとにした映画で、同館が所蔵していた印象派画家らの名画の数々がドイツ軍によって略奪されるのを、フランス国鉄の労働者らが命がけで阻止した物語。

同館には、ドイツがユダヤ人らから没収した美術コレクションも集められていて、ゴーギャンルノワールゴッホ、マネ、ピカソドガ、ミロ、ゼザンヌ、マチス、ブラック、スーラ、ユトリロといった名だたる芸術家の作品を所蔵していた。これら名画はのちに、すべてオルセー美術館に移管されていて、われわれが今日、印象派画家たちの作品を堪能できるのも、当時の国鉄労働者やレジスタンスの戦士たちのおかげといえる。

 

1944年8月、ナチス・ドイツ占領下のパリは、連合軍による侵攻が間近に迫っていた。敗戦の色濃い中で、偏執的なまでの美術品愛好家でもあったドイツ軍将校ヴァルトハイム大佐(ポール・スコフィールド)は、ジュ・ド・ポーム国立美術館に所蔵されている美術品を略奪し、列車によってドイツ本国へと運び出そうと画策する。

美術館側はこれを阻止すべく、レジスタンス(侵略者に対する抵抗運動)の指導者に接触し、フランス国鉄の操車係長ラビッシュバート・ランカスター)をはじめとするフランス国鉄鉄道員らにサボタージュ作戦の展開を依頼する。長らくレジスタンスの一員として活動しながらも、多くの仲間を失ってきたラビッシュは「たかが絵」のために命を投げ出すことに最初は懐疑的だったが、これら芸術品が「フランスの誇り」であることに気づき、自ら蒸気機関車の運転を買って出て、命がけの略奪阻止作戦を始めるが・・・。

 

ハリウッド映画のフランス版。だからなのか、「フランス万歳」で終わらない。

結局のところ名画は守ったものの、そのために多くの国鉄労働者や一般市民までも含めて次々にドイツ軍によって殺されていく。最後に偏執狂のドイツ軍大佐を射殺したバート・ランカスターにも、まるで笑顔はなく、虚しい感じだった。

映画の途中で、ドイツ軍の追及から逃げるバート・ランカスターを匿う安宿の女主人で出てくるジャンヌ・モローが、さすがに存在感のある演技。

知り合いの地元の駅長がドイツ軍に射殺されたと知り、こういう。

「私の夫が死んだときは駅長の奥さんになぐさめられ、今度は私が彼女をなぐさめるのね」

バート・ランカスターと最初に出会ったとき、巻き添えを恐れて彼の手が肩に触れるのさえ嫌った彼女は、別れのときは彼の腕の中に飛び込み、泣いていた。

戦争は結局、悲劇なんだと教えてくれるシーンだった。

 

ついでにその前に観た映画。

民放のBSで放送していたアメリカ・イギリス合作映画「ネバーランド」。

2004年の作品。

監督マーク・フォスター、出演ジョニー・デップケイト・ウィンスレットダスティン・ホフマンフレディ・ハイモアほか。

 

映画の冒頭に「実話から着想した映画」とのクレジット。1903年のロンドンを舞台に、実在した作家ジェームズ・M・バリが「ピーター・パン」を書いた背景にあったエピソードを映画化した作品。

 

ロンドンの劇場で劇作家のジェームズ・M・バリ(ジョニー・デップ)は新作の「リトル・メアリー」の初日を迎えていた。しかし、観客の反応は芳しくなく、翌日の新聞でも酷評されてしまう。失意の中で日課の散歩に出かけるジェームズは、無邪気に遊んでいる子どもたちと出会う。父を失い、母(ケイト・ウィンスレット)と暮らす幼い4人兄弟で、彼らとの交流に触発されて「ピーター・パン」を構想していく・・・。

 

この映画が公開された2004年は、舞台劇「ピーター・パン」初演から100周年記念に当たるそうで、映画の最後の方はウルッとくる、なかなか感動的な物語だった。

ジェームズは、劇の着想を得ようとするあまり妻の存在も忘れ、4人兄弟の末っ子ピーター始め子どもたちと交流を続けていき、4人兄弟の病身の母とはプラトニックな恋に発展していく。そして「ピーターパン」初演の日。わざと25の席だけをバラバラに空けておき、そこにある人物を招待するのだが。

エンディングで、公園のベンチに寄り添って座るジェームズと少年ピーターがやがて消えていき、ベンチだけが残る余韻のある終わり方。2人の心には、少年の母が旅立っていったネバーランドの世界が広がっていたのだろうか。