善福寺公園めぐり

善福寺公園を散歩しての発見や、旅や観劇、ワインの話など

きのうのワイン+映画「それだけが、僕の世界」他

ニュージーランドの白ワイン「セラー・セレクション・ソーヴィニヨン・ブラン(CELLAR SELECTION SAUVIGNON BLANC)2021」f:id:macchi105:20220204074307j:plain

いつも晩酌で日本酒を飲んでいるのでワインはたいがいが赤だが、たまには白ワインをというので飲む。

ワイナリーはニュージーランド北島、東寄りの海に近いホークス・ベイにあるシレーニ・エステート。

ブドウ品種のソーヴィニヨン・ブランを栽培しているのは、ニュージーランドでの栽培面積第1位を占める南島のマールボロ。ここはソーヴィニヨン・ブランの聖地ともいえる土地だそうで、世界中でもっともよくソーヴィニヨン・ブランの特徴をあらわしているのがここマールボロ産のブドウという。

フレッシュでスルーティーな味わい。

 

ワインの友で観たのは民放のBSで放送していた韓国映画「それだけが、僕の世界」。

2018年の作品。

監督・脚本チェ・ソンヒョン、出演イ・ビョンホ、パク・ジョンミン、ユン・ヨジョン、ハン・ジミンほか。

 

イ・ビョンホン主演で、落ちぶれた元プロボクサーの兄と天才的なピアノの腕を持つ自閉症の弟が織りなす兄弟の絆を描いたヒューマンドラマ。

 

ボクサーとしてかつてはアジアチャンピオンにまで上り詰めたが、40歳をすぎた今は落ちぶれ、その日暮らしをしているジョハ(イ・ビョンホ)。幼いころから両親と離れ、孤独の中で拳を頼りに生きてきたジョハだったが、ある日、17年ぶりに別れた母(ユン・ヨジョン)と再会。サバン症候群を持つ自閉症スペクトラム障害の弟ジンテ(パク・ジョンミン)の存在を初めて知る。

ジンテには天才的なピアノの才能があり、楽譜も読めないのに音を聞いただけで名曲を難なく弾けてしまう。そんなジンテがピアノのコンテストに出られるよう助けてやってほしいと母から頼まれたジョハは、弟の面倒を見始めるのだが・・・。

 

この映画ですばらしいのは、ジンテ役のパク・ジョンミンが代役なしでホントにピアノを、それも名曲を弾いていること。だから迫真力がハンパない。

弾いてる曲は、ショパンの「ピアノ協奏曲第1番第3楽章」、ブラームスの「ハンガリー舞曲第5番」、ショパンの「幻想即興曲」、チャイコフスキーの「ピアノ協奏曲第1番」。

もともとピアノの経験はなく、撮影に入る前の半年間、ピアノの猛特訓を受けたという。実際に流れている演奏の音はプロが弾いているんだろうが、手の動き、体の動きはまさしくホンモノ。これぞ映画の醍醐味。

 

ついでにその前に観た映画。

民放のBSで放送していたアメリカ映画「愛と追憶の日々」。

1983年の作品。

原題は「TERMS OF ENDEARMENT XXX」

 

監督・製作・脚本ジェームズ・L・ブルックス、出演シャーリー・マクレーンデブラ・ウィンガージャック・ニコルソンほか。

 

母と娘の30年以上にわたる愛を描き、アカデミー作品賞を含む5部門を受賞。

 

テキサス州ヒューストン。オーロラ(シャーリー・マクレーン)は夫を早くに亡くし、ひとり娘のエマ(デブラ・ウィンガー)を愛情たっぷりに育ててきた。やがて成長したエマは、母の反対を押し切って大学教師と結婚。1人きりになったオーロラは、隣人の宇宙飛行士ギャレット(ジャック・ニコルソン)と惹かれ合うようになる・・・。

 

邦題は「愛と追憶の日々」と仰々しいが、原題の「TERMS OF ENDEARMENT XXX」は愛情を抱く人に対する呼びかけ語みたいなもので、「XXX」は3つのキスを意味する。

「XXX」が「XOXO」となると「ハグとキス」で、これも手紙やメールでの結びの愛情表現となる。

 

民放のBSで放送していたアメリカ映画「グッドライアー 偽りのゲーム」。

2019年の作品。

監督ビル・コンドン、出演ヘレン・ミレンイアン・マッケランラッセル・トーヴィー、ジム・カーターほか。

 

ニコラス・サールが2016年に発表した小説「老いたる詐欺師」が原作の映画。

ロイ・コートネイ(イアン・マッケラン)はベテランの詐欺師で、身分を偽って相手の懐に飛び込み、徐々に相手の信頼を勝ち取って油断しきったところで財産を残らず奪い取るのが彼の得意とする手法だった。

そんなロイが新しく目を付けたのが資産家のベティ・マクリーシュ(ヘレン・ミレン)。ベティは1年前に夫を亡くしてからというもの悲しみに暮れていた。しかも持病の発作に苦しんでおり、「もう長く生きられない」と気弱になっていた。ロイはベティの孤独や苦しみに付け入り、あっという間に彼女の信頼を勝ち取ったかに見えたが・・・。

 

だまされながらもだまし、だましながらもだまされる。ヘレン・ミレンイアン・マッケランの名優2人の演技が光る。

第2次世界大戦直後のブランデンブルク門付近の荒廃したシーンもあって、歴史映画にもなっている。

 

民放のBSで放送していた日本映画「火まつり」。

1985年の映画。

監督・柳町光男、脚本・中上健次、出演・北大路欣也太地喜和子宮下順子、安岡力也、伊武雅刀小鹿番藤岡重慶小林稔侍、菅井きんほか。

 

海と山に挟まれた紀州・熊野の小さな町。海洋公園の建設が予定され、その利権で町は揺れていた。木こりの達男(北大路欣也)には妻(宮下順子)と2人の子どもがいたが、町にかつての女・基視子(太地喜和子)がやってくると再び関係を持ってしまう。ある日、激しい嵐の中、山にひとり残った達男はそこで神の声を感じるのだった・・・。

 

中上健次のオリジナル脚本により、古代の神話そのままの熊野を舞台に中上ワールドを映像化。公開5年前の1980年に二木島町で実際に発生した熊野一族7人殺害事件がモデルになっているという。

 

民放のBSで放送していたイギリス・ベルギー合作の映画「アーニャは、きっと来る」。

2019年の作品。

原題「WAITING FOR ANYA」

 

監督ベン・クックソン、出演ノア・シュナップ、ジャン・レノアンジェリカ・ヒューストントーマス・クレッチマンほか。

 

ナチス占領下のフランスを舞台にユダヤ人救出作戦の行方を描いたヒューマンドラマ。

 

1942年、バスク地方の北側、ピレネー山脈のフランス側の麓にある小さな村。羊飼いの少年ジョーは、森で見慣れぬ男ベンジャミンと知り合う。村はずれに住むアリス婆さんの娘(故人)の夫だが、彼の存在は村人たちも知らない。ベンジャミンは、ナチスから逃れて来たユダヤ人だった。

山さえ越えればスペイン領で、ナチスの手は及ばない。しかし、ベンジャミンはアリス婆さんの家から動かなかった。パリで生き別れた娘アーニャと、婆さんの家で落ち合う約束だったのだ。アーニャは必ず現れると固く信じているベンジャミン。

ベンジャミンは幼いユダヤ人の少女レアを匿っていて、ほかにもスペインに逃がすため密かにユダヤ人の子どもたちが送られて来た。

しかし、平和な村にもついにドイツ軍が現れた。ジョーはアリス婆さんのところに潜伏したベンジャミンたちのため食料の買出しを手伝うようになる。

ドイツ軍の隊長の中尉は冷酷な男だったが、伍長は人間味のある男で、娘は連合国軍の空爆で亡くなっていた。傷心の伍長の山歩きに付き合い、ユダヤ人のことは隠したまま友だちになるジョー。

脱出計画が練られ、羊の大移動の日、村人たちの協力でユダヤ人の子どもたちは羊飼いに紛れて無事にスペインに逃げていく。

しかし、アーニャを待つためベンジャミンが村に戻ろうとすると、彼を慕うレナは離れようとしない。結局、レアだけを連れてベンジャミンは村に戻り、2人はドイツ軍に見つかり連行されてしまう。

やがてドイツは敗北し、フランスは解放され、平和が戻った村にベンジャミンの娘のアーニャが成長した姿でやって来る。

 

ピレネー山脈の山懐に抱かれて、羊飼いの少年ジョーの成長物語にダブって、村人たちの反ファシストの抵抗運動が描かれている。

題名通り、アーニャはたしかにやって来た。しかし、ベンジャミンを慕ったがためにドイツ軍に連行されたレアはどうなったんだろう?と心残りのする映画だった。