イタリア・シチリア島の赤ワイン「キュソラ・シラー・メルロ(CUSORA SYRAH MERLOT)2019」
地中海に浮かぶ島、シチリア島マルサラ地区のワイナリー、カルーソ・エ・ミニーニに赤ワイン。
シチリア島は地中海性気候で気候に恵まれているところから紀元前7世紀ごろからワイン造りが行われ、生産量は常にイタリアでトップを争っているのだとか。
シラー、メルロ50%ずつをブレンドしたとても飲みやすいワイン。
ワインの友で観たのは、民放のBSで放送していた韓国映画「コンフィデンシャル 共助」。
2017年の作品。
監督キム・ソンフン、出演ヒョンビン、ユ・ヘジン、キム・ジュヒョク、ユナほか。
ドラマ「愛の不時着」で北朝鮮将校役を演じたヒョンビンが、北朝鮮の刑事役。
北朝鮮のエリート刑事(人民保安部特殊捜査隊検閲員)イム・チョルリョン(ヒョンビン)は、極秘任務中に上官チャ・ギソン(キム・ジュヒョク)の裏切りで仲間と妻を殺されてしまう。ギソンは自らが率いる犯罪グループとともに世界を揺るがすアメリカドルの偽札の原版を盗み、韓国へと逃亡。復讐に燃えるチョルリョンは、原版を秘密裏に取り返すという国家の密命を受ける。
北朝鮮側は、真の目的は韓国側に明かさないまま「北朝鮮の犯罪者が韓国に逃げ込んだので逮捕に協力してほしい」と韓国に共助捜査を依頼し、表向きソウルで開かれる南北長官級会談の随行員という名目でチョルリョンは韓国に派遣される。
一方、北からの要請で異例の南北共助捜査を行うことになった韓国側。北の本当のねらいを探るため、風采の上がらない庶民派刑事で家族思いのカン・ジンテ(ユ・ヘジン)に、共助捜査を偽装したチョルリョンの密着監視を指示する。
チョルリョンに与えられた時間は3日間。南北刑事の予測不能の共助捜査の行方は・・・?
韓国と北朝鮮は対立しているはずだが、そこは同じ民族。人間同士は仲よくできる、というわけで、うまい具合に極秘の南北共助捜査が成り立ち、アクション満載の映画となった。
超イケメンの北朝鮮刑事チョルリョンが韓国の刑事ジンテの家にやってきて、同居している義理の妹役ユナが一目惚れしちゃうところがほほえましい。
この映画、韓国では大ヒットて続編がつくられることになり、今度はチョルリョン(ヒョンビン)、ジンテ(ユ・ヘジン)のコンビにアメリカFBIの捜査員が加わり、南北米の3国共助捜査が展開するらしい。
チョルリョンに一目惚れしたジンテの義理の妹役のユナも出演するというから、恋の行方も気になるが。
ついでにその前に観た映画。
NHKBSで放送していたアメリカ映画「天国は待ってくれる」。
1943年の作品。
原題は「HEAVEN CAN WAIT」。
監督エルンスト・ルビッチ、出演ドン・アメチ、ジーン・ティアニー、チャールズ・コバーン、レアード・クリーガーほか。
1943年といえば太平洋戦争真っ只中の時期。それでもこんなのんきで平和な映画をつくっているが、一方、日本でもこの年に「無法松の一生」という名作が生まれている。
年老いて死んだヘンリー(ドン・アメチ)は地獄の入口で、天国へ行くか地獄へ行くかの手続きを委ねられている閻魔大王(レアード・クリーガー)に対して、自分は天国にふさわしい人生を送らなかったと語る。天国行きに執着しないヘンリーに興味を抱いた閻魔大王は、彼からじっくりと話を聞くことにし、ヘンリーは自らの人生を回想していく。
多感な少年時代や、最愛の妻マーサ(ジーン・ティアニー)との幸せな結婚生活。マーサが亡くなったあともほかの女性に夢中になった晩年など、ヘンリーはプレーボーイだった女性遍歴を振り返るが・・・。
映画を観ていて妙な男が出てくるので気になった。最初と最後に登場する「閻魔大王」なる人物だ。
日本の映画紹介をみると地獄の入口にいたのは「閻魔大王」となっているが、英語版では「His Excellency」つまり「閣下」となっている。
閻魔大王とはいわば冥界の裁判官であり、もともとヒンドゥー教の神で、それが仏教と習合して日本にも伝来したと考えられるが、キリスト教とは無縁だ。
「His Excellency」じゃわからないから日本文化に合わせて「閻魔大王」としたのだろうが、では「His Excellency」とは何者か?
映画をみると「His Excellency」はサタンみたいな風貌をしていて、サタンよりは多少やさしげにしたのは、映画をつくったほうも困ったからではないか?
何しろサタンはキリスト教では悪魔であり、天国か地獄かを裁く資格など持ってないはずだ。
旧約・新約の聖書によるかぎりは、キリスト教での天国か地獄かの分かれ目は、イエス・キリストの来臨・再臨のときとなっている。
新約聖書の最後の「ヨハネの黙示録」によれば、この世の終りにキリストの再臨と審判があり、死者も生者もそこですべての行いが裁かれることになっている。最後の審判で神の名簿に名前がない者は地獄に落とされ、名前のある者のみが天国に昇ることができるが、キリストの再臨はまだこれからなので、早いとこ信者になれば天国行きの切符は間に合いますよ、というようなことをいっている。
そんなことをいってたらとても待てないので、映画ではとりあえず「His Excellency」さんにお出まし願って、最後の審判前の“仮決定”として天国か地獄かを決めたというわけだろうか。
もともと原始宗教においては、死者の住む世界は地獄・極楽もなく、懲罰を伴うものではなかった、という説がある。また、地獄・極楽を行き来することも可能だったと考えられていたようだ。
そのいい例が「古事記」にあり、高天原、つまりは天上世界の神さまであるイザナギが、地の底の黄泉の国(死者の国)にいるイザナミに会いにいって帰ってくるという話が出てくる。
懲罰的な地獄観が現れるのはゾロアスター教からだそうで、仏教、キリスト教、イスラム教以降になると「神に背いて悪いことをした者は地獄に落ちる」、さらには「自分のところの神を信じない者は地獄に落ちる」という脅迫的?な教えが浸透していくことになる。
そうやってみていくと、地獄・極楽は信者獲得の方便として使われている気がしないでもない。
民放のBSで放送していたアメリカ映画「カーリー・スー」。
1991年の作品。
監督ジョン・ヒューズ、出演ジェームズ・ベルーシ、ケリー・リンチ、アリサン・ポーターほか。
ホームレスで孤児の9歳の少女カーリー・スー(アリサン・ポーター)と父親がわりのビル・ダンサー(ジェームズ・ベルーシ)。2人は各地を放浪しながら当たり屋稼業で生計をたてており、冬のシカゴへやってきた。
今回のターゲットは駐車場にとまっていた高級車で、その車の持ち主の冷徹なエリート弁護士グレイ・アリソン(ケリー・リンチ)を見事にだまして夕食をごちそうになる。ところが数日後、ビルは本当に交通事故に遭ってしまい、事故の相手はふたたびグレイだった。
彼女は気を失ったビルを自分の家に運んで応急処置を施すが、カーリー・スーのあどけない笑顔の虜になり、不幸な身の上に同情してしまう。
結局、カーリー・スーとビルはグレイの家に居候することになるが、いつしか3人は離れがたい思いを抱くようになって・・・。
ジョン・ヒューズは日本でも大ヒットした「ホームアローン」の監督。「ホームアローン」はアメリカでは1990年(日本では翌91年)に公開されたが、その翌年につくったのが本作。
どちらも子どもを主人公にして、そのかわいらしさで大人を翻弄する筋書きで、とても似通った作品なのだが、不思議なことにジョン・ヒューズが監督をしたのはこの「カーリー・スー」が最後で、彼の遺作となってしまった。
彼は2009年、59歳のときに心臓発作を起こして亡くなっているが、それは「カーリー・スー」の18年もあとのこと。「カーリー・スー」をつくったのは41歳のときで、その後も「ホームアローン2」「ホームアローン3」の脚本・製作を担当し、そのほかにも「ベートーベン」「34丁目の奇跡」など話題作の脚本を書いたりしているが、監督は一切やってない。
彼は亡くなる直前まで元気だったという。それなのになぜ監督をやめてしまったのか?
一説には、彼は子どもやティーンを主人公にした映画の名手とされ、そうしたレッテルを張られることに嫌気が差し、また抵抗する気持ちもあって監督をやめてしまったともいわれているが、真偽のほどは定かではない。