善福寺公園めぐり

善福寺公園を散歩しての発見や、旅や観劇、ワインの話など

師走の京都歌舞伎見物① 何必館

2日(金)、3日(土)にかけて京都へ歌舞伎&紅葉見物に出かけた。
まず1日目の2日、朝、東京駅から新幹線に乗り、昼すぎに京都着。

京都では師走の京の年中行事「吉例顔見世興行」が11月30日初日で開催中。いつもは四条大橋そばの南座で開かれているのだが、今年は南座が耐震工事のため休館中なので、南座に近い鴨川河畔の先斗町歌舞練場が会場となった。
今年の「顔見世興行」では「廓文章」と「引窓」に片岡仁左衛門が出演する。しかも、南座が客席数1078席なのに対して、先斗町歌舞練場は542席とかなりこじんまりとしている。ということは舞台と客席がとても近くて、昔の江戸の芝居小屋みたいな雰囲気が味わえるんじゃないかと期待して、東京から1泊2日で出かけた次第。

1日目は午後5時45分開演の第3部を観る予定なので、まだ時間はだいぶある。

そこで、友人から「ここはオススメ」と教えてもらった、南座の近く、四条通りにある「何必館」に行く。「何必館」と書いて「かひつかん」と読む。
途中、「ぶゞ家」というお茶漬け処で昼食。
いろんな漬け物をちょっとずつつまむ。ご飯がおいしいこと。
イメージ 1

土産物屋や飲食店が並ぶ四条通りのど真ん中にあるのが「何必館・現代美術館」。
イメージ 2

「何必」とは「何ぞ必ずしも」という意味で、常に定説を疑う自由な精神を持ち続けよ、といってるんだとか。
館長は梶川芳友さんという人で、1981年に開館したいわば個人美術館。梶川さんはエッセイストやクリエイティブ・ディレクターとして多方面で活躍していて、京都現代美術財団理事長、富山県芸術文化顧問、全国良寛会顧問などを務めているという。

建物の外観はモダンな普通のビルだが、中に入るとそこは異空間。静寂な空気が漂い、展示空間も床の間を基調としたり障子越しにとりいれた自然光で鑑賞するスタイルをとるなど、いかにも京都っぽいしゃれたつくり。

現在開催中は写真家の田原桂一の「光画展」と題する写真展。
イメージ 3

田原の写真の焼き付け方が独特だ。和紙に印画されていて、モノクロの写真は版画か墨絵のようだ。
何でもプラチナプリントという古い手法で焼き付けを行っているという。
プラチナプリントとは文字通りプラチナを紙に塗布して感光させる写真印画法。保存性が高く、500年は画質を保てるんだとか。

特に「トルソー」と題する彫刻を撮った写真は、とても軟らかい質感がつたわってきて、まるで彫刻が生きているみたいだった。

何必館の最上階5階は緑の苔が鮮やかな「光庭(ひかりにわ)」となっていて、吹き抜けの天井から太陽の軟らかい日差しが差し込んでくる。ちょうど紅葉のころでモミジが色づいていた。
イメージ 4

光庭の向こう側には茶室の静かな空間が広がっていた。
イメージ 5

夜はいよいよ「顔見世興行」へ。(続く)