チリの赤ワイン「モンテス・リミテッド・セレクション・カベルネ・カルメネール(MONTES LIMITED SELECTION CABERNET CARMENERE)2018」
モンテスは1988年に「チリ発、チリ人だけのチリワインカンパニー」として設立されたワイナリー。チリの大地にヨーロッパ式の醸造技術を持ち込み、「世界最高峰のチリワインを造る」という信念のもとワイン造りをスタートさせたんだとか。
カルベネ・ソーヴィニヨン70%、カルメネール30%。
ブレンドしたのでほどよいまろやかさ。
ワインの友で観たのはNHKBSで放送していたアメリカ映画「さすらいのカウボーイ」。
1971年のニューシネマ西部劇。
原題「THE HIRED HAND」
監督ピーター・フォンダ、出演ピーター・フォンダ、ウォーレン・オーツ、ヴェルナ・ブルームほか。
1969年の「イージー・ライダー」は監督はデニス・ホッパーで、製作・脚本・出演がピーター・フォンダ(デニス・ホッパーは出演もしている)だったが、「イージー・ライダー」の次の作品でピーター・フォンダが初監督したのが本作だった。
彼らしいニュー・シネマっぽい異色の西部劇。
妻ハンナ(ヴェルナ・ブルーム)と娘を捨てて放浪の旅に出ていたハリー(ピーター・フォンダ)。7年の歳月がすぎて、さすらいの旅に人生のはかなさを感じるようになり、長年旅を友にしたアーチ(ウォーレン・オーツ)と2人でわが家に戻る。
しかし、突然の帰還にハンナは「あなたはもう過去の人」と冷たい。そこで、アーチと2人、納屋に寝て、使用人として働き信頼を取り戻していくハリーだったが、ある日のこと、かつてこらしめた悪党どもにアーチが捕まってしまい、彼の命の危機を知らされる・・・。
映像が美しい。
しかし、この映画を見て、主人公は、さすらう男ハリーではなく、たくましく家を守り続けてきた妻のハンナだと思った。
決して華奢な美人ではなく、化粧っけのない中年の女性という感じだが(映画ではハンナが30歳、ハリーが20歳で結婚し、わずか1年半の結婚生活ののち7年にわたる放浪生活を送ったとあるから、このときハンナは40歳近い)、夫が失踪しても女手ひとつで農場を経営し、一人娘を育て、使用人も使ってきたというから、たくましい生き方をしていて、映画の中では彼女の性欲の処し方までもあからさまに語られる。
同じアメリカ人のピート・ハミル原作の山田洋次監督「幸福の黄色いハンカチ」とはまるで違う女性の描き方だ。
「幸福の・・・」では数年の結婚生活ののち夫(高倉健)は傷害事件を起こして6年間、網走刑務所に入れられるが、帰りを待っていた妻(倍賞千恵子)は黄色いハンカチをはためかせて夫を迎える。
妻と娘をほったらかしにして失踪したのとは事情が違うかもしれないが、ハンナは久しぶりに帰って来た夫を涙で迎えるどころか「あなたはだれ?」とまでいう。
だからだろう、原題の「THE HIRED HAND」とは「働き手」という意味で、彼女は自分と一緒に家族を支えてれる「働く夫」こそを求めていたのだった。
そのことが映画の最後にも明かされて、なかなか味のあるエンディングだった。