善福寺公園めぐり

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カメムシの孵化殻についてた三角形のマークは?

水曜日朝の善福寺公園は始め小雨。天気予報では雨は昼からとなっていたので、そのうちやむだろうと歩き始めると、むしろ雨足は強くなっていく。

 

早々に引き上げたが、池の畔ではクモが葉っぱの下で雨宿り。f:id:macchi105:20200715084924j:plain

するとそのそばに11個ほどの虫の卵。

ピンポン玉がピタリと並んだような形をしているが、よく見ると脱け殻のようだった。f:id:macchi105:20200715084947j:plain

さらに子細に観察すると、虫たちが孵化して出ていったあとあたりに三角形の黒いマークみたいなのがある。

あれは一体なんだろう?

 

かえって調べたら、どうやらあれはクサギカメムシの孵化殻のようだ。

三角形のマークは「卵殻破砕器」というらしい。

 

以下は、2019年3月に「academist Journal」というサイトに掲載されていた遠藤淳(京都大学大学院理学研究科研究員)、沼田英治(京都大学大学院理学研究科教授)両氏の研究コラム「卵が一斉に孵化できるのはなぜ? – カメムシの子が反応する意外な合図」からの孫引きだ。

 

遠藤氏らによると、クサギカメムシの卵は、卵鞘で保護するカマキリなんかとは異なり、むき出しのまま葉っぱなどの平らな面に通常28個がぴったりならんだ「卵塊」で産みつけるが、すべての卵がほとんど同時に孵化するという。けさ見たのは11個だったが。

 

「これらの昆虫では、先に孵化した子から伝わった刺激に反応して他のものが孵化していると予想できます。もしそうならば、それはどんな刺激なのでしょうか?」と疑問に思った両氏がいろいろ調べたところ、「振動」が合図であると確かめられたという。

 

合図とは、卵殻を抜け出す前の卵殻を割る動き。カメムシの卵殻には円周状に割れやすい箇所があり、中の子はそこを頭で押して完全に割らないと外に出てこらない。頭には「卵殻破砕器」という尖った帽子のような構造がついていて、これで力を一点に集中させて押すことで、決まった箇所が弾けるように割れて突破口が開く。

そうか、脱げ殻についていた三角形の黒いマークというのは「卵殻破砕器」だったのか。

 

そこで、いろいろ実験してみたところ、クサギカメムシでは「卵殻が割れる振動」が一斉孵化の合図になると明らかになったという。

ではなぜクサギカメムシは一斉孵化する必要があるかこれについてはまだよくわかってないものの、孵化の遅い卵が先に孵化した子に「卵共食い」されるのを避けるため、というのが2人が立てた仮説だそうだ。

 

うーむ、朝から勉強になるなー。