善福寺公園めぐり

善福寺公園を散歩しての発見や、旅や観劇、ワインの話など

『ステキな金縛り』 della Casa(デッラ・カーザ)

日曜日は大泉学園にあるT・ジョイ大泉で三谷幸喜監督の『ステキな金縛り』を観る。

行こうと思い立ったのが朝の7時すぎ。調べると第1回上映が午前9時から。終わるのが11時35分。すぐにネットで予約。
8時15分ごろのバスに乗れば20分足らずで大泉学園駅に着く。そこから7~8分で映画館に到着。帰りは、駅近くにあるイタリアンの店で昼食、と流れるようなスケジュールが完成。

今回で5作目という三谷監督の『ステキな金縛り』、戦国時代の落ち武者が幽霊として裁判の証人に立つというありえない話。それをいかにもありえるように描き、観る者をウーンとうならせるかが今回の作品の眼目。その目論見は見事に成功したといえよう。早い話が、おもしろかった。

本ブログの筆者はリアリズムを信奉してまして、したがってNHKの大河ドラマは「あんなのウソっぱち」と見ない主義だが、ウソをホントといいくるめようとするドラマは大の大の大好きなのである。

映画のあらすじは──。
失敗続きのさえない弁護士エミ(深津絵里)は、これが最後のチャンスと弁護士事務所の所長(阿部寛)から殺人事件の弁護を担当させられる。被告人は、犯行が行われたときに自分は金縛りにあっていたので、完璧なアリバイがあると無罪を主張。エミはそのアリバイを立証するため、被告人の上に一晩中のしかかっていたという幽霊の落ち武者、更科六兵衛(西田敏行)を証人として法廷に召喚させる。
ただし、六兵衛の姿は、すべての人に見えるわけではなく、そこで話はややこしくなる。しかもエミの前には、一切の超常現象を信じない敏腕カタブツ検事、小佐野(中井貴一)が立ちはだかる。唯一の救いは、なぜか裁判長が好奇心旺盛な人物だったから──。

今回の作品、死人を証人として認めさせるというありえないことを可能にする“三谷マジック”が冴えわたっていた。

深津絵里西田敏行が好演。
また、いつも三谷作品に顔を出す出演者がチョイ役で味な演技をしていて、それも映画を観る楽しみ。
しかもナント、法廷画家がどこかで見たことがあると思っていたら、山本宣(山本学、圭の弟)だった。若いころ以来のチョー久々で、その変わりようにびっくり。

それから気になったのが、エミが10歳のときにがんでこの世を去った父親(草彅剛)の遺影のかたわらに、アメリカ映画『スミス都へ行く』のDVDだったかが飾ってあったこと。大昔の1939年公開の映画で、監督はフランク・キャプラ。主演はジェームズ・スチュワートだった。

田舎に住んでいた正義感のかたまりのような青年スミスは、死亡した上院議員の代わりに政界に担ぎ出されるが、あまりに政界が腐り切っているのに義憤を覚え、たった1人で腐敗と対決するという話で、議会でエンエンと演説する姿に感動したものだ。(アメリカ議会では少数意見を尊重する立場から、無制限・無期限で1人の議員が演説することが認められている。たしかこの権利は今も守られているはずと思うが)

弁護士であったエミの父親はこの映画のファンだったというが、スミスの正義感に感服していたのだろう。また、幼いエミと手をつなぎながらよく「アルプス一万尺」を口ずさんでいた、というエピソードも語られるが、もともと「アルプス一万尺」はアメリカの民謡で、独立戦争時の愛国歌だったという。『スミス都へ行く』のオープニングの曲でもあった。

さらに映画では、やはりフランク・キャプラ監督でジェームズ・スチュワート主演の『素晴らしき哉、人生』(1946年公開)の話も出てくる。
この映画も、真面目に生きているのに損ばかりしている主人公が最後に大きな幸せを得る、という話で、天国にいる二流天使が重要な役割を果たす。

天国で地上の様子を見守っていた神さまが、かれこれ200年も天使をやっているがいまだに翼を与えられていない二流天使に「あの男を救え」と命ぜられ、そこから話が始まる。
今回の落ち武者の幽霊が無実の人を救うという話とどこか似ているところがある。

おそらく三谷監督はフランク・キャプラ、あるいはジェームズ・スチュワートの大ファンで、「ステキな金縛り」はオマージュ作品なのかもしれない。

帰りは大泉学園駅近くのdella Casa(デッラ・カーザ)へ。この店に行くのも今回の目的の1つ。
お昼のランチを注文し、まずは4種類の前菜。
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パスタは牡蠣とブロッコリーのオレッキエッテ。
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続いて4種類のチーズで和えたペンネ
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デザートは柿入りジェラートとプリン。こちらはジテェラート。
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実は2人で行って1人前の料理を別々のお皿にシェアしてもらったので2倍楽しめた。それにエスプレッソ。
お酒はトスカーナのシャブリに赤ワイン。
楽しい気分でご帰還。

[観劇データ]
ステキな金縛り
12月11日 T・ジョイ大泉
シアター5 G-08
「10周年記念WEV限定」とかいうので1000円均一。ラッキー。