善福寺公園めぐり

善福寺公園を散歩しての発見や、旅や観劇、ワインの話など

ロウバイの知恵(つづき)

節分の2月3日、善福寺公園の朝は快晴。
ただし、きのうとはうって変わって北風が強い。

先日、ロウバイは1つの花に雌しべと雄しべがある両性花だが、近親勾配を避けるため時間差・空間差でお互いが交わらないようにして、鳥や虫の媒介で他家受粉するような仕組みをそなえている、と書いたが、あらためて観察してみてナルホドと思った。
こちらの写真は開花直後で、雄しべが放射状に開いて、真ん中の雌しべを避ける形になっている。
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一方、こちらは開花から数日たったもの。真ん中の雌しべを覆い隠すように雄しべが丸くなっている。
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このように、ロウバイの場合、開花直後は雌しべだけが熟していて、受粉できる態勢にある。ここに、ほかから花粉を運んでくれる鳥や虫が訪れてくれれば、受粉が完了する。
数日すると、今度は雄しべが熟して葯が弾け、花粉が出てくる。このとき鳥や虫が訪れると、体に花粉を付けてほかの花に運んでくれるというわけだ。

なるほど、動物の場合は動き回ることができるので、近親交配を避けることが可能だし、先天的にもその能力を持っているが、地面に根を張る植物は、自由に相手を選ぶことができない。
そこで、風に花粉を運んでもらう風媒花とか、鳥や虫に運んでもらう虫媒花とか、いろんな工夫をしているわけだが、雄花と雌花を分ける雌雄異花、雄の木と雌の木に分ける雌雄異株、順番に花が咲くようにする順次開花などのやり方で近親交配を避ける方法もあり、ロウバイは雄しべと雌しべで成熟する時期をずらす雌雄異熟のやり方を編み出した。

それに加えてロウバイは、同じ花の中にあっても雄しべと雌しべがくっつかないようにする“空間不和合”とでもいう作戦もとっていて、さすがと思える。

冬の時期というのは花粉を媒介する虫が少ない時期だ。そんな時期にあえて花を咲かせる植物ゆえに、近親婚による遺伝子の劣化を避けるため、より確実な方法を編み出した“植物の知恵”といえるだろう。