善福寺公園めぐり

善福寺公園を散歩しての発見や、旅や観劇、ワインの話など

トム・クルーズ アウトロー

節分の日のきのう、市川団十郎死去のニュース。
江戸歌舞伎といえば荒事芸。その宗家である団十郎の死。歌舞伎界にとって大損失だ。
白血病とたたかっていた団十郎は、同じ病気の人を励ます活動もしていて、全国骨髄バンク推進連絡協議会の会長もつとめていた。

きのうは大泉学園のTジョイ大泉でトム・クルーズ主演の『アウトロー』を観る。

原題は『Jack Reacher』。つまり主人公の名前。「アウトロー」というのは「流れ者」という意味で使いたかったのか、いかにも現代の西部劇という感じの映画。
ただしアクションは控えめで、ミステリー風に物語が進んでいく。

映画の途中で、チンピラの家に主人公が押し入ると、一瞬だけつけっぱなしのテレビに昔の映画が流れているのが映るが、あれはウィリアム・ワイラー監督でグレゴリー・ペック主演の『大いなる西部』の一場面で、最初、悪役に見えて実は善人の牧場主バール・アイヴスのアップだった。去年だったかNHKのBSで再放送されたのを見たばかりだったからすぐわかった。

ナント50年以上も前の映画だが、バール・アイヴスはこの作品でアカデミー助演男優賞を受賞している。
アウトロー』の最後のほうでも『大いなる西部』とそっくりのシーンが出てきて、この映画は『大いなる西部』のオマージュだなと思った。
監督(クリストファー・マッカリー)はきっとウィリアム・ワイラーグレゴリー・ペックのファンに違いない。

トム・クルーズの描き方も、どこか西部のガンマン、って感じで、最後はシェーンのように、いやマカロニウエスタンクリント・イーストウッドのように去っていく。

ただし、西部劇の伝統?を守ってか、最後は結局、銃で決着するところが、銃社会の国アメリカらしいといえようか。その点がザンネン。

脇役陣がなかなかいい。
ヒロインの女性弁護士を演じたロザムンド・パイクが不思議な魅力。
頭のよいやり手弁護士だが、冷たい感じではなく、最後の方ではトム・クルーズにひかれるミーハーなところも。
不気味で凄味があったのが悪役の親玉ベルナー・ヘルツォーク。もともとドイツの映画監督だとか。
射撃場のオヤジ役のロバート・デュヴァルもときどき見る俳優で、いい味を出していた。