善福寺公園めぐり

善福寺公園を散歩しての発見や、旅や観劇、ワインの話など

きのうのワイン+映画「RENT/レント」ほか

チリの赤ワイン「モンテス・リミテッド・セレクション・ピノ・ノワール(MONTES LIMITED SELECTION PINOT NOIR)2020」

(写真左手前の料理は、新メニューの「ブラッターとあんぽ柿の柚子胡椒風味」)

モンテスは1988年、「チリ発、チリ人だけのチリワインカンパニー」としてスタートしたワイナリー。

ボトルに描かれているのは天使。創業者の一人が交通事故から奇跡的に助かった際、天使の存在を感じたことがきっかけとなり、以来、天使はモンテスのシンボルとなっているという。

生産地はチリのワイン産地の中で中部に位置するアコンカグア。南米最高峰のアコンカグア山の麓の河川流域にブドウ畑が広がっている。

やわらかで飲みやすいワイン。

 

ワインの友で観たのは、民放のBSで放送していたアメリカ映画「RENT/レント」。

2005年製作の作品。

監督クリス・コロンバス、出演ロザリオ・ドーソン、テイ・ディグス、ウィルソン・ジェレマイン・ヘレディア、ジェシー・L・マーティン、イディナ・メンゼル、アダム・パスカル、アンソニー・ラップほか。

 

ニューヨークのイーストビレッジ。ロフトの一室に共同で暮らすロジャー(アダム・パスカル)とマーク(アンソニー・ラップ)は、クリスマス・イヴというのに家賃(レント)滞納で電気も暖房も止められていた。

かつて人気ロックバンドの一員だったロジャーは、恋人がエイズを苦に自殺して以来ふさぎ込み、映像作家志望のマークは、バイセクシャルの恋人が女性の新しい恋人のもとへ去ったことに傷ついていた。

そんなある日、ロジャーは階下の部屋に住むダンサー、ミミ(ロザリオ・ドーソン)に心惹かれ・・・。

 

イースト・ヴィレッジに集うボヘミアンたちの愛と苦悩に満ちた1年間(56万5600分)を描くミュージカル。

プッチーニのオペラ「ラ・ボエーム」が原作で、1996年にオフブロードウェイ上演されると2カ月後にはブロードウェイに進出してロングランを記録。その舞台を映画化したのが本作で、ブロードウェイ・キャストのうちミミ役をのぞく主要キャストが同じ役で出演している。

貧困やドラッグ、セクシャルマイノリティHIVなど当時の若者のリアルな姿が映し出されている。

ラ・ボエーム」ではヒロインの命を奪う“不治の病”は結核だったが、本作ではエイズだった。

 

劇中で歌われるどの曲もすばらしく、歌っているどの声にもしびれる。

音楽(作詞・作曲)は、舞台の台本も手がけたジョナサン・ラーソン。

ニューヨーク生まれで、芝居好きの両親の影響を受けて子どものころから音楽や演劇の才能を発揮し、トランペット、チューバの演奏、学校の合唱団で歌唱、クラシックなピアノの演奏も行っていて、大学は演劇科に進んで演劇やミュージカルに出演するが、そのころから作曲も始める。

大学卒業後はダウンタウンの暖房のないロフトで仲間たちと暮らし(まさしく「レント」のボヘミアンみたいな暮らし)、約10年間、週末にダイナーでウエイターとして働き、平日はミュージカルの脚本を書いたり作曲したりしていたという。

ミュージカルの第1作目は共作だったが1981年冬の大学生時代の作品で、自分が通う大学で初演されている。この作品はのちにブレヒト風の作品に改訂してマンハッタンにある小さな劇場で上演され、米国作曲家作詞家出版者協会から賞を受賞している。

 

ミュージカル「レント」はラーソンの自伝的要素を加え、彼の作詩・作曲・脚本により、1996年1月にオフブロードウェイのニューヨーク・シアター・ワークショップでプレビュー初演、その2週間後に本演初日を迎える予定だった。ところがラーソンはプレビュー初演の前日、大動脈瘤の発作に襲われ、その日のうちに35歳の若さで急逝する。

ラーソンの死を受けて、一時は公演の中止が考えられたが、夜になると劇場には次々と人々が集まってきて満員となった。そうした観客たちに支えられてオフブロードウェイ公演は大成功をおさめ、同年4月からはブロードウェイのネダーランダー劇場で公演が始まり、以来12年4カ月、連続上演5140回というロングランとなった。

没後に彼は、ピューリッツァー賞戯曲部門最優秀作品賞、トニー賞ミュージカル部門の最優秀作品賞、最優秀脚本賞、最優秀オリジナル作曲賞などを受賞している。

 

ついでにその前に観た映画。

NHKBSで放送していたアメリカ映画「旅立ちの時」。

1988年の作品。

原題「RUNNING ON EMPTY」

監督シドニー・ルメット、出演リバー・フェニックス、クリスティーン・ラーチ、ジャド・ハーシュ、マーサ・プリンプトンほか。

 

大人へと成長していく少年をリバー・フェニックスが好演した青春映画。

 

家族とニュージャージーの小さな町に引っ越してきた高校生のダニー(リバー・フェニックス)。父親アーサー(ジャド・ハーシュ)と母親アニー(クリスティーン・ラーチ)は1960年代のベトナム戦争当時、反戦運動家として爆弾事件を起こしてFBIに指名手配されて以来、息子2人と各地を転々として逃亡生活を送っていた。

潜伏生活のため、名前を変え、髪の色を変え、引越しだらけの日々だったダニーも青春を迎えていた。新しい高校に転校したダニーは音楽教師のフィリップスにピアノの才能を認められ、ジュリアード音楽院への入学を勧められる。さらに、フィリップス先生の娘のローナ(マーサ・プリンプトン)と恋に落ちる。

これまでのように両親と逃亡の旅を続けるか、新たな道を踏み出すのか、悩んだあげくのダニーの人生の選択は・・・。

ピュアなダニーとローナの初恋模様が美しい。

葛藤し、成長する少年を演じたリバー・フェニックスは、本作でアカデミー助演男優賞にノミネートされるなど注目されるも、23歳の若さで亡くなっている。