チリの赤ワイン「モンテス・ツインズ(Montes Twins)2017」
チリのワイナリー・モンテスを経営する父と息子が、それぞれ育てた4つのブドウをブレンドして造ったワイン。というので「モンテス・ツインズ」。
しかし、最初のころはカベルネ・ソーヴィニヨン50%、マルベック50%で「ツインズ」とうたっていたらしいんだが、その後、4種のブレンドになった。
まあ由来はどうでも、おいしければいい。
飲みはじめはキリリとしていたが、飲むうちにまろやかになっていった。
ワインの友で観たのは民放のBSで放送していた日本映画「歓喜の歌」。
2008年の作品。
監督・松岡錠司、出演・小林薫、安田成美、伊藤淳史、由紀さおり、浅田美代子ほか。
立川志の輔の同名落語の映画化。
小さな地方都市、みたま町の文化会館に勤める飯塚主任(小林薫)が、大晦日に開催されるママさんコーラスグループのコンサートをダブルブッキングしてしまったことにより起こる騒動をユーモラスに描く。
飯塚は、「みたまレディースコーラス」と「みたま町コーラスガールズ」という似た名前の2つのコーラスグループを聞き違えてダブルブッキングしてしまい、双方に掛け合うもののどちらも一歩も譲らず大問題に発展。“事なかれ主義”で生きてきた彼は、2つのグループの板ばさみとなってしまい途方に暮れるが……。
落語も志の輔の独演会で聴いていたが、さすがに元ネタの落語にはかなわない。映画化によりカネも手間も人数もかけても、たった一人の話芸にはかなわない。
それでも、それなりにおもしろかったのでヨシとしよう。
映画での聴きどころ、見どころは、市長夫人もメンバーの一人で、スーパーの社長でもある由紀さおりがリーダーの、いわば町の富裕層で構成する「みたまレディースコーラス」に対して、共働きの主婦とかパートの女性など庶民層で構成する「みたま町コーラスガールズ」はいささか劣勢。両グループの共演によりコトを収めようという提案に対しても、「コーラスガールズ」がどれだけ実力があるのか聴いてから決めましょう、ということになる。ところが、聴いてみてびっくり。みんな上手なうえに、ことに由紀さおりが社長のスーパーで店員として働く女性の歌声があまりにすばらしく、みんな聞きほれる、というところ。
このへんは落語にはなかった気がするが、映画ならでは見どころ。
ありがちな展開、ともいえるが。
すばらしい美声を披露したのは平澤由美という女優で、ミュージカルなんかにも出演しているらしい。
ほかに、志の輔の師匠の談志もまだ元気なころで、お寺の住職役で出ていた。
ハシゴして観たのはNHKBSで放送していた日本映画「あやしい彼女」。
2016年の作品。
監督・水田伸生、出演・多部未華子、倍賞美津子、要潤、北村匠海、金井克子ほか。
2014年の韓国映画「怪しい彼女」のリメイク版。
女手一つで娘を育て上げた73歳の瀬山カツ(倍賞美津子)は頑固でおせっかいな性格のため、周りからは敬遠されがち。ある日、ふと入った写真館で写真を撮り店を出ると、20歳のときの若々しい姿のカツ(多部未華子)になっていた。
カツはヘアスタイルやファッションを一新。名前もファンだったオードリー・ヘップバーンと原節子にあやかって大鳥節子にし、人生を取り戻そうと決意。その後、のど自慢大会で昭和歌謡を歌ったことから……。
見どころは、誰でも一度は夢見るかもしれない“人生リセット劇"の顛末。
そして、ただの若い女性かと思ったら歌い出したらその美声にびっくりする、というところ。要するにイギリスのオーディション番組で奇跡を起こしたスーザン・ボイルみたいな話だが、この映画の前に観た「歓喜の歌」と似たところがある。
ただし、多部未華子の歌はそれなりに歌えているけどびっくりするほどじゃない。
そこが惜しいところだが、彼女のコメディエンヌぶりはよかった。
「悲しくてやりきれない」「真っ赤な太陽」「見上げてごらん夜の星を」など60年代の名曲の数々、それを若い多部未華子が歌ってくれるなんて、おじさんとしては人生をリセットしたみたいでチョー懐かしくてうれしかった。