善福寺公園めぐり

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国立新美術館 古典×現代2020―時空を超える日本のアート

24日から六本木の国立新美術館で始まった「古典×現代2020―時空を超える日本のアート」展の初日を見に行く。f:id:macchi105:20200625075804j:plain

当初は3月11日からの開催が予定されていたが、新型コロナの影響で3カ月遅れの開催となったという。

その初日、予約制というので事前に予約して出かけて行ったが、予約制だったからか、まだ人々は美術館に行く気分じゃないのか、会場はガラガラ。おかげでゆっくりと鑑賞できた。f:id:macchi105:20200625075830j:plain

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こんなすいてる新美術館は初めてだ。

 

本展は、古い時代の美術と現代美術の対比を通して、日本美術の豊かな土壌を探り、その魅力を新しい視点から発信する展覧会、がねらい。

 

江戸時代とそれ以前の絵画や仏像、陶芸や刀剣などの名品を、美術、写真、デザイン、建築などの第一線で活躍している8人の現代作家の作品と対になるよう組み合わせ、一組ずつ8つの展示室で構成している。

古典側は曾我蕭白尾形乾山円空、仙厓義梵、葛飾北斎伊藤若冲らの作品や、鎌倉時代の仏像、江戸時代の花鳥画、刀剣の名品。 一方、現代側は、仙厓に対しては菅木志雄、若冲らの花鳥画に対しては川内倫子円空に対しては棚田康司、刀剣に対しては鴻池朋子北斎に対してはしりあがり寿、乾山に対しては皆川明、日光・月光菩薩に対しては田根剛、蕭白に対しては横尾忠則と、今の日本を代表するクリエイターたちの造形が選ばれた。

 

仙厓の作品は、真ん中に大きな円(丸)が描かれ、そのわきに「これくふて御茶まひれ(これでも食べてお茶でも飲みなさい)」と添え書きがあるだけ「円相図」と題する掛け軸一幅小品。

はひょっとしてまんじゅうか。ユーモアあふれる作品といえるが、しかし、仙厓は禅僧。禅僧にとって円は自らの悟りの境地を示すものであり、円は「空(くう)」にもつながる。ユーモラスな形で仙厓は「空」とは何かを伝えたかったのかもしれない。

 

対して菅木志雄の作品は、円形のステンレス板と木や石などを組み合わせた円形の「支空」と、四角をかたどった「縁空」。

その中でも「縁空」。大小さまざまな石を並べて四角く囲っただけの作品なんだが、その存在感がハンパない。ただ石を並べただけなのに!

仙厓の作品を見たあとだったので、より印象的に「空」につながるものを感じたからだろうか。

今回とても感動した作品の1つ。

 

花鳥画伊藤若冲の「紫陽花白鶏図」がこれまたすばらしい。

近づいてよーく見ると、鶏のクチバシには何とアリが這っている。

アジサイもハデな見せかけの飾り花だけでなく、真ん中で地味なホンモノの花が咲いているのもちゃんと描いている。

 

対する川内倫子の作品は、江戸時代の花鳥画と対応するように写真と映像とで見せている。

7分7秒の映像作品は題して「Halo」。

旋回を繰り返す無数の渡り鳥。イギリスで撮影されたという。

中国・河北省の村で300年以上続く「打樹花」という祭りの映像もスゴイ。男たちが花火の代わりに鉄くずを溶かし、壁に何度も何度もぶつけている。

 

円空の仏像を見たのは何十年ぶりだろうか。

3体並んだ立像は微妙に曲がっている。いかにも自然木の特性を生かして仏を彫り続けた円空らしい。

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(写真はパンフレットより)

善財童子立像」は「自刻像」とあるが、自身像つまり自分の姿を形にしたのだろうか。

 

円空の作風の影響からか、棚田康司も1本の木から像を彫り出す「一本造り」にこだわっているようだ。

彼はいっている。

「木の成りからの一本造りにこだわり、それが持つ生命を人の形に彫り出したいと思っている」

 

鴻池朋子の作品は、牛革でできた巨大な「皮緞帳」。f:id:macchi105:20200625080022j:plain

(ここだけ写真オーケー)

 

今回の作品づくりのため、彼女が初めて真剣を持ったときの感想がおもしろい。

刀を持ったとき、初めはとても重かったが、ゆっくりと先をあげてみなさい、といわれてそうしてしみると、ある地点でふっと刀の重さが消えて、自分と地球とが一直線につながっているような気分になった、というようなことがメッセージボードに書かれてあった。

 

しりあがり寿による北斎のパロディ作品、「ちょっと可笑しなほぼ三十六景」がなかなかケッサク。

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(やはりパンフレットより)

壁面一杯に広がる7分のヴィデオ・インスタレーション葛飾北斎天地創造from四畳半」もおもしろかった。

 

蕭白の絵はどれも奇抜だが、ニワトリがまるで怪鳥のように描かれていているのもあった。

本展覧会のために描いたという横尾忠則の「寒山拾得2020」も奇想の作品といえるかもしれない。

下敷きにしているのは蕭白の「寒山拾得」だが、1人はホウキの代わりに電気掃除機を持ち、1人は経典の代わりにトイレットペーパーと2020年ふうのアレンジをくわえているところがミソ。

 

美術展を楽しんだあとは、美術館近くにある孫成順さんの店「中国名菜 孫」で日替わりランチを食べる。

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タケノコ清湯スープ。f:id:macchi105:20200625080234j:plain

鶏モモ肉とピーマンのカシューナッツ炒めと豆腐のカニ肉あんかけ、ブタ挽き肉とタマゴの巻き蒸し、それにご飯。f:id:macchi105:20200625080256j:plain

デザートもおいしかった。f:id:macchi105:20200625080451j:plain

久々の外で食べる昼食だった。