火曜日朝の善福寺公園は快晴。気温が低く冬のような寒さ。
上池をめぐろうとしたら、ハクセキレイが枝にとまった。
エサを探して地面や水草の上をツツツツと足早に歩くところはよく見るが、枝にとまるのを見るのは珍しい。
たしかに移動するときは当然の如く枝にとまったりするだろうが。
けさのカワセミは、ヤエちゃんだろうか?
すぐ目の前で、こちらを向いてかわいい姿を見せてくれた。
寒くなったので羽をふくらませているのか、丸く見える。
冬の花、ツバキが咲き始めた。
ツバキ(椿)の語源にはいろいろあって、「日本国語大辞典」によれば、光沢のあるさまをいう古語ツバから、ツヤハキ(艷葉木)の義、アツハキ(厚葉木)の義、ツヨキ葉の木の義か、テルハキ(光葉木)の義、葉が変わらないところから、ツバキ(寿葉木)の義、などと諸説ある。
中には「冬柏の意の朝鮮語ツンバクからか」との説も紹介している。
たしかに、ツバキは日本原産とされるが、韓国でも韓国原産といっていて、要するに原産地は日本を含む東アジアの地域なのだろう。
韓国語ではツバキを「冬柏」と呼んでいて、釜山では市の花になっている。
民俗学者の折口信夫は、信仰とも関係しているとの説をあげている。
ツバキの「キ」は古語では「酒」を意味する。だから神様にお供えする酒は今も「御神酒(おみき)」という。
「ツバ」とは「唾」のことで、「日本書紀」には、米麹ではなく唾液により米を糖化させてつくった御神酒の話が出てくる。
絶世の美女である木花開耶姫(このはなさくやひめ)が天照大神の孫である瓊瓊杵(ににぎ)と一夜の契りで身籠もる。不審に思った瓊瓊杵はほかの神の子ではないかと疑うが、姫は疑いを晴らすため、「もし私に罪がなければ私自身も子も無事でしょう」と宣誓したのち、産屋に火をかけて炎の中で三兄弟を出産する。
姫は占いによって神饌の田を定め、その米を噛んで「天甜酒(あめのたむさけ)」を作って無事の出産を祝ったが、この酒は、米麹ではなく唾液により米を糖化させて造った「口噛み酒」だった。
このとき咲いていたのがツバキだったというわけで、聖なる女性が米を噛んで口から出す唾とともにつくった酒に由来して、神聖な春の訪れを知らせる花、というわけなのだろうか?
上池に続いて下池を1周してふたたび上池に戻ると、さきほどのヤエちゃんらしいメスのカワセミが目の前を飛んでいく。
枝にとまって、おすまししたところ。