善福寺公園めぐり

善福寺公園を散歩しての発見や、旅や観劇、ワインの話など

きのうのワイン+「たそがれ清兵衛」

スペインの赤ワイン「アバディア・デ・ボコイ(Abadia de Bocoy)2015」
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ブドウ品種はテンプラニーリョ100%。
もともとスペイン北部のリオハ地方および隣接するナバーラ地方原産の赤ワイン用ブドウ品種だが、現在ではスペイン全土で栽培されているという。
日本の「天ぷら」の語源はこの「テンプラニーリョ」にあるとの説がある。
ほどよいタンニンの味わいで飲みやすい。

ワインの友で観たのは昼間NHKBSで放送していた「たそがれ清兵衛」。
2002年の作品。
監督は山田洋次。脚本・山田洋次朝間義隆。出演は真田広之宮沢りえ田中泯ほか。

映画館で観たほか、テレビでも観た記憶があるが、民放と違ってCMがないので全編を一気に堪能できる。

改めてみると細部もよくわかってさらに深い感動を覚える。
意外な発見もあった。
余吾善右衛門(田中泯)との戦いに朋江(宮沢りえ)が清兵衛(真田広之)を送り出すシーン。
畳の上で彼女はつま先を立てて踵(かかと)の上に上体の重心を置く姿勢で送り出していた。
この姿勢は「跪居(ききょ)」といって、立ち居振る舞いの作法のひとつだという。

そういえば文楽太夫も舞台の上でこの「跪居」の姿勢で語っている。
その理由は、礼儀作法というより、本来、腹式呼吸による発声には立ったままの姿勢が最適だが、太夫は座って語らなければならないため、座っていながら立っているのと同じ姿勢をとろうと、爪先立ちをして座るのだとか。

いわば、臨戦態勢の姿勢が「跪居」なのだろう。
朋江がその姿勢で清兵衛を送り出すのも、作法通りというだけでなく、生死をかけた戦いに向かう最愛の人と心を通わせる気持ちのあらわれ、と見ていて思った。

冨田勲の音楽が美しい。
特に清兵衛と余吾善右衛門との立ち回りシーンでは、二胡の静かで悲しい響きが、悲惨さを際立たせていた。