善福寺公園めぐり

善福寺公園を散歩しての発見や、旅や観劇、ワインの話など

きのうのワイン+映画「配達されない三通の手紙」ほか

スペインの赤ワイン「クリアンサ(CRIANZA)2017」

このところスペインのワインが続いているが、きのうもスペインワイン

ワイナリーは、ピレネー山脈の麓、フランスとの国境に近いスペイン北東部のソモンターノ地方でワインづくりをしているエナーテ。

スペインの土着品種テンプラニーリョとカベルネ・ソーヴィニヨンブレンドしたワイン。

写真はこのあと牛のサーロインステーキ。

パンは吉祥寺の「ダンディゾン(Dans Dix Ans)」、吉祥寺通り沿いの魚屋「うみ匠」で長崎県新上五島町で養殖されているブランド岩牡蠣「椿」を購入。1個1個に熨斗付き。

 

ワインの友で観たのは、民放のBSで放送していた日本映画「配達されない三通の手紙」。

1979年の作品。

監督・野村芳太郎、脚本・新藤兼人、音楽・芥川也寸志、出演・栗原小巻小川真由美松坂慶子片岡孝夫(十五代目片岡仁左衛門)、竹下景子蟇目良、神崎愛、乙羽信子渡瀬恒彦佐分利信ほか。

 

美しい三姉妹の住む地方の上流家庭で起こった殺人事件を描く。エラリー・クイーンの小説「災厄の町」の映画化。

ボブと名乗る青年(蟇目良)が、日本文化研究のためアメリカからやってきて、伯父で地元銀行の頭取である唐沢光政(佐分利信)の住む山口県萩の町を訪れる。唐沢家は代々町の名家で、すみ江夫人(乙羽信子)との間に、麗子(小川真由美)、紀子(栗原小巻)、恵子(神崎愛)の美しい三姉妹がいる。

次女の紀子は父の銀行に勤める藤村(片岡孝夫)と結婚することになっていたが、藤村が結婚寸前に失踪して行方不明になり、紀子は自室にこもり、魂の抜けたような生活をしていた。

それから3年後のある日、紀子の恋人、藤村が突然帰ってきた。父の光政は怒るが若い2人は抱き合い、結婚することになり、紀子に笑いが戻る。ところが2人が新婚旅行から帰った翌日、北海道から藤村の妹、智子(松坂慶子)が萩の町にやってきて、同居するといい出す。

しばらくして、紀子は藤村の本の間に挟まっていた3通のまだ配達されていない手紙を見つけて、ハッとするのだった・・・。

 

この映画は公開当時、松坂慶子のフルヌードが話題となったが、劇場でもテレビでも見たことがなかった。たまたま、十五代目片岡仁左衛門片岡孝夫の本名を名乗っていたときに出た映画と知り、「それなら」というので観る。

ちなみに仁左衛門帯状疱疹のため6月歌舞伎座を休演、7月の大阪松竹座の舞台も休演していたが、きょう14日から復帰するそうだ。よかった、よかった。

話を映画に戻すと、何と、片岡孝夫の相手役は栗原小巻だった。

おかげで両方のファンである当方としては、至福の時間をすごすことができた。

栗原小巻は、厳格な父との狭間で心の病を患い、やがて女の直感なのか、悲劇を引き起こす女性を熱演。片岡孝夫は今と変わらぬスリムでニヒルで、若いときゆえにボンボンっぽいというか小心者の感じがよく出ていた。

この映画のとき片岡孝夫35歳。ほかの出演者もみんな若くて、1つ下の栗原小巻34歳、松坂慶子27歳、竹下景子26歳、神崎愛25歳、小川真由美は40歳。

ほかにも小沢栄太郎、滝田祐介、稲葉義男、中村美代子蟹江敬三北林谷栄米倉斉加年などなど、懐かしい顔ぶれ。

栗原小巻は本作の主演でもあった。彼女はもともと舞台俳優ということもあり、映画にもいろいろ出ているが主演は少ない。加藤剛との「忍ぶ川」、田中絹代と共演した「サンダカン八番娼館 望郷」、仲代達矢との「いのちぼうにふろう」も主役級だったが、主役を演じたのはそれぐらいだったから、仁左衛門の若いときともども貴重な彼女の主役作品を堪能することができた。

監督の野村芳太郎は本作の5年前に「砂の器」をつくっていて、両方の映画はどこか似たような雰囲気を感じたが、ナゾ解きミステリーという共通性があるからかもしれない。

 

ついでにその前に観た映画。

民放のBSで放送していたアメリカ映画「大統領の執事の涙」。

2013年の作品。

監督リー・ダニエルズ、出演フォレスト・ウィテカーオプラ・ウィンフリージョン・キューザックジェーン・フォンダアラン・リックマンテレンス・ハワードリー・ダニエルズほか。

 

34年間ホワイトハウスに勤め、トルーマンからレーガンまで8人の大統領に仕えた実在の黒人執事ユージン・アレンをモデルにした映画。

 

黒人奴隷の子として育ったセシル(フォレスト・ウィテカー)は目の前で白人の主人に父を殺される。農園を去り、盗みに入った店の黒人に救われて働くことになるが、彼は白人に仕える作法を覚えて成長。やがて幸運な出会いと努力の結果、高級ホテルのボーイとなり、ついにはホワイトハウスの執事に大抜擢される。彼は執事として“見ざる聞かざる”を貫き、空気のように自身を消して仕事をこなし、大統領たちの信頼を得るが・・・。

キューバ危機、ケネディ暗殺、ベトナム戦争など歴史が大きく揺れ動く中、セシルは歴代の大統領の下で働き続ける。白人に仕えることに反発し、反政府活動に身を投じる長男や、志願兵としてベトナム戦争に赴いた次男の戦死など、セシルの家族もまた激動の時代に翻弄されていく。

映画の中での次のような意味のセリフが心に残った。

アメリカは他国の人権に口をはさんで軍隊を送ったりしているが、自分の国の差別には目をつぶってるじゃないか」

 

歴代大統領の役を意外な人が演じていた。

アイゼンハワー大統領はロビン・ウィリアムズニクソン大統領はジョン・キューザック(筋金入りのリベラルで、民主党支持者として知られている)、レーガン大統領はアラン・リックマン

そして共和党で保守派のレーガン大統領の夫人ナンシー・レーガン役を、“保守派の敵”とされるジェーン・フォンダが演じていた。

主人公の母親役はマライア・キャリーだった。