善福寺公園めぐり

善福寺公園を散歩しての発見や、旅や観劇、ワインの話など

きのうのワイン+映画「マッチポイント」他

オーストラリアの赤ワイン「ジービー・88・カベルネ・ソーヴィニヨン(GB 88 CABERNET SAUVIGNON)2020」f:id:macchi105:20210702081328j:plain

南オーストラリア、バロッサ・ヴァレーの老舗のワイナリー、グラント・バージの赤ワイン。

グラント・バージはこの地で1855年からワインを造り続ける一家の5代目グラント・バージ氏が1988年に設立したワイナリー。

それで「GB(グラント・バージ)88(1988年)」というわけか。

肉料理にぴったりというので開けるが、なるほど相性抜群。

この日のメイン料理のサーロインステーキ用の分厚い肉。厚さが少なくとも4㎝はあり、これから焼くところ。f:id:macchi105:20210702081411j:plain

 

ワインの友で観たのは民放テレビで放送していたイギリス映画「マッチポイント」。

2005年の作品。

脚本・監督ウディ・アレン、出演ジョナサン・リース・マイヤーズスカーレット・ヨハンソンエミリー・モーティマー、マシュー・グッドほか。

 

ウディ・アレンというと監督というより俳優としてよく知っているが、本作で36本目の監督作品という。いつも出演も兼ねているので俳優の印象が強いのかもしれないが、アカデミー賞に史上最多の24回ノミネートされ、監督賞を1度、脚本賞を3度受賞していて、本作も脚本賞にノミネートされたという。

 

ロンドンの会員制テニスクラブでコーチとして働き出した元プロ選手のアイルランド人青年クリス(ジョナサン・リース・マイヤーズ)は上昇志向の持ち主。テニスクラブで富豪の御曹司トム(マシュー・グッド)と親しくなり、トムの妹クロエ(エミリー・モーティマー)と付き合うようになる。そんな折、トムの別荘に招かれたクリスは、トムの婚約者のノラ(スカーレット・ヨハンソン)と会うが、彼女は女優としての成功を夢見るアメリカ人で、魅惑的なまなざしでトムをみつめるのだった。

やがてクリスはクロエと結婚。あこがれの上流階級の一員となるが、一方のノラはトムと別れてしまう。月日がたち、偶然ノラと再開したクリスは、愛欲を抑えきれず、不倫する関係になり・・・。

 

後半はミステリータッチ。映画の途中に出てくるドストエフスキーの「罪と罰」が物語の行方を暗示するが、それにしても意外な結末・・・。

題名の「マッチポイント」とは、テニスなどでの試合の勝敗を決める最後の1点のことだが、人生を左右する最後の決め手、といった意味も込められていて、その瞬間、人生はどっちに転ぶかわからないよ、とウディ・アレンはいってるようだ。

 

ついでにその前に観た映画、民放のBSで放送していたアメリカ映画「バリー・シール/アメリカをはめた男」。

2017年の作品。

原題「AMERICAN MADE」

監督ダグ・リーマン、出演トム・クルーズ、サラ・オルセン、ドーナル・グリーソンほか。

 

パイロットとしてCIAの仕事をしながら、麻薬の運び屋でもあった実在の人物、バリー・シールの実話をもとにしたフィクション。

天才的な操縦技術を誇り、民間航空会社のパイロットとして何不自由ない暮しを送っていたバリー・シールの元に、ある日CIAのエージェントがスカウトに現れる。 CIAの極秘作戦で偵察機パイロットになってほしいというのだ。やがてバリーは作戦の過程で麻薬王パブロ・エスコバルらと接触し、麻薬の運び屋としても天才的な才能をみせ始める。

ホワイトハウスやCIAの命令に従いながら、同時に違法な麻薬密輸ビジネスで数十億円の荒稼ぎをするバリー。そんな彼の背後には、とんでもない危険が迫っていた・・・。

 

映画では、バリー・シールが軽飛行機を操縦して舗装も距離も十分ではない砂地みたいなところに着陸するシーンがあるが、どう見ても操縦しているのはトム・クルーズにしか見えない。実際にトム・クルーズ自身が操縦したそうで、なかなかの迫真力があった。

 

破天荒でありながら金に目がくらだ小悪党のバリー・シールをトム・クルーズが軽いタッチで演じていて、どこかコメディーっぽい犯罪映画。しかし、本物のバリー・シールをめぐる一連の事件はそんな甘っちょろいものではなく、世界でCIAが暗躍するアメリカの暗部をえぐり出すものだった。

明るみに出たものとしては、敵対しているはずのイランと裏取引してイランに武器を売却し、その代金をニカラグアの反共右派ゲリラ・コントラの援助に流用していたイラン・コントラ事件が有名だが、バリー・シールはそれ以前からCIAの命を受けてコントラに武器を密輸していた。ほかにも隠された話はたくさんあるだろう。

本作でも、当時のレーガン大統領がニュース映像に登場するシーンを映したりして、政権中枢が関与している話であることを暗示しているが・・・。

別の監督・主演での映画だったら、もっと深刻な内容になっていたに違いない。