善福寺公園めぐり

善福寺公園を散歩しての発見や、旅や観劇、ワインの話など

浅間山公園のムサシノキスゲ

大型連休前半の29日は府中市にある「都立浅間山(せんげんやま)公園」へ。

浅間山というからはたしかに山で、標高79・6m。ちゃんと三角点もある。
3つの山(堂山・中山・前山)からなっていて、堂山の頂には浅間神社がある。

ここは珍しいユリ科の植物、ムサシノキスゲの唯一の自生地で、ちょうどゴールデンウィークのころに花が咲くというので出かけていった。

ムサシノキスゲニッコウキスゲの変種で、ニッコウキスゲが霧降高原とか那須高原、あるいは尾瀬など亜高山~高山帯の草原や湿地に群生するのに対して、その変種として、温暖で少湿な低地に適応したのがムサシノキスゲ

JR武蔵小金井駅前から京王バスの東府中行きに乗車し、「浅間山公園」下車。
バス停のすぐ目の前が公園入口で、木々に囲まれた丘を登っていくと、そこかしこにムサシノキスゲが咲いている。
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まだツボミがたくさんあったから、全山が一面満開となるのは今月中旬ぐらいだろうか。

ほかにも、キンラン、ギンランがたくさん咲いている。
キンランはランの一種で、黄色の花を咲かせるのでキンラン。
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一方のギンランは白い花を咲かせる。
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どちらもかつては日本のどこでもみかける花だったというが、90年代ごろから急激に数が減っていって、現在は絶滅危惧種に指定されているとか。
人工栽培がむずかしい花だそうで、不届き者が花を盗んで自分の家の庭に植えてもなかなか育たない。

ほかにも変わった花があった。
こちらはサワフタギ。ハイノキ科の落葉樹で、枝分かれして沢を塞ぐように繁ることからこの名がついた。
ぼわーっと羽毛のように見えるが、おしべが糸状に伸びているため。
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木の高いところからは「チョットコイ」と鳴くコジュケイの声。

公園の展望台からは遠く富士山を眺められる。
手前に薄く見えるのは丹沢の山並み。
そのうしろ、2つ並んだビルの右側に富士山が白く見えるのだが、写真ではよく分からない。
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「富士山まで81キロ」の表示があった。ここは「関東富士見百景」の1つでもある。
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浅間神社があるということは富士山信仰と深く結びついているからにほかならない。東京のあちこちに浅間神社があるが、だいたいが富士山が見えるところだったり、富士山に見立てた小山が築かれたりしている。

富士信仰が最も盛んだった江戸時代、富士山まで行って参拝することは江戸庶民の生涯の夢だったが、実際にはむずかしい。そこで浅間神社を勧請し、そこに参拝することで富士山に登った気分になった。富士山の見えるところから参拝すれば、それこそ最高の幸せだったに違いない。

富士山なのに「浅間山」とはこれいかに? と思うが、もともと火山のことを「あさま」といったらしい。「むきだしの感じであるさま」をあさまといって、溶岩が湧きだす火口はまさにそんな感じだったろう。富士山ももとは「あさま山」といったという。
「あさま」に漢字が当てられ「浅間」となり、これを「せんげん」と読んだのは、「二荒山神社」の「二荒(ふたら)」を「にっこう」と読んで「日光」の漢字を当てたのと同じ。

あるいは、瀬戸内海の小豆島はもともと「あずき島」といったが、これに「小豆」の字が当てられ、「小豆島」→「しょうず島」→「しょうど島」となったのも、ひらがなと漢字が融合する日本ならでは。

浅間山公園の隣は多磨霊園。お墓をちょっとながめて南に下り、昼は「たか志」というそば屋へ。
住宅街の真ん中にあるこのそば屋は知る人ぞ知る店。
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もりそばは普通の味のそばだが、ここの名物である「大吟醸そば」は味が違う。おいしい!
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ほかにも、おこげ、
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そばがきはもっちりとした食感。
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そば屋のあとは再び北上して野川公園へ。公園の真ん中に川が流れていて、芝生も広々としていて、子どもたちが走り回っている。昼寝している人もいる。
「自然観察園」をのぞくと、ここにもいろんな花が咲き乱れている。

クサノオウの群生。
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チョウジソウ(丁子草)の青い色が魅惑的だ。
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帰りは三鷹行きのバスに乗って帰還。
本日の歩数、2万1484歩。

手挽き 吟醸そば たか志

府中市若松町 4-34-10  
電話042-360-3214
11:30-15:00 18:00-20:30
月休