善福寺公園めぐり

善福寺公園を散歩しての発見や、旅や観劇、ワインの話など

渋い色合いクワカミキリ

日曜日朝の善福寺公園は晴れ。風が吹くと木陰では涼しい。

 

シオカラが翅を前にしてひと休みしていた。f:id:macchi105:20210725085755j:plain

 

けさは公園のをあちこちで羽化したばかりのセミを見る。

羽化してからだいぶたってると思うが、ニイニイゼミが幹を横歩きしている。

樹皮に溶け込んでよく見えない。f:id:macchi105:20210725085647j:plain

わかりますか?すごい擬態効果。

 

羽化直後のニイニイゼミ

まだからだが白く、緑のラインが美しい。f:id:macchi105:20210725085858j:plain

つぶらな複眼。3つの単眼もくっきり。f:id:macchi105:20210725085916j:plain

 

こちらも羽化ホヤホヤのアブラゼミf:id:macchi105:20210725085936j:plain

 

池のほとりでカミキリムシを発見。

かなり大きめのカミキリ。クワカミキリだ。f:id:macchi105:20210725090152j:plain

からだは真鍮がさびたような渋い色合いだが、肩に黒い胡麻粒を散らし、触角は白黒で長い。

けっこうスマートなカミキリムシ。

学名が「Apriona japonica Thomson」とある通り、日本固有種のようだ。

 

和名のクワカミキリは食樹に由来し、養蚕が盛んだったころはクワの害虫として有名だったが、養蚕の衰退により個体数も激減しているという。

ただし、名前の通りクワだけを食べるのではなく、イチジク、ビワ、ケヤキ、ブナなども大好物で、鋭い牙のような大アゴで若い枝をかじって食べる。

あらわれるのは年に1回、6月~9月上旬ごろ。

 

頭部をよくみると、大アゴもすごいが、触角を取り囲むようにして複眼がある。f:id:macchi105:20210725090027j:plain

見えている景色はどんなものなのだろうか?

 

カワセミがエサをゲットしてすぐに飲み込んじゃった。f:id:macchi105:20210725090057j:plain

次のエサをねらって池を凝視していた。

本年度のエドガー賞受賞作 ブート・バザールの少年探偵

ディーパ・アーナパーラ「ブート・バザールの少年探偵」(坂本あおい訳、ハヤカワ・ミステリ文庫)を読む。

 

原題は「Djinn Patrol on the Purple Line」。

少年の目を通して描いたインド社会の闇。インドのスラム街の匂いや気配が伝わってくる小説。

 

先日は英国推理作家協会最優秀長編賞(ゴールド・ダガー)を受賞したミステリー(マイケル・ロボサム「天使と嘘」)を読んだが、続いて読んだのは今年のアメリカ探偵作家クラブ賞(エドガー賞)の最優秀長編賞を受賞した作品。

「毎日180人の子どもが行方不明になる」インドを舞台に、子どもたちの連続失踪事件のナゾに迫る小説。作者はインド・ケララ州生まれで、ムンバイ、デリーを拠点に10数年間ジャーナリストとして活躍。貧困や宗教問題が子どもたちに及ぼす影響を長年取材し続けてきたという。本書がデビュー作。

 

主人公はインドのスラムに住む、刑事ドラマ好きの9歳の少年ジャイ。両親と12歳の姉とともに暮らしていて、母は金持ちの家で家政婦をし、父は建設現場での仕事を得て、貧しいながらも一家は幸せな日々を送っている。そんなある日のこと、クラスメイトが姿を消すという事件が起こる。しかし、学校の先生は深刻にとらえず、警察は賄賂なしには捜査に乗り出さない。

そこでジャイは友だち2人と“少年探偵団”を結成し、バザールや地下鉄の駅を捜索するが、その後も次々に失踪事件が起こり、ついにはジャイの姉までも・・・。

事件の背後には、ジャイの、そしてわれわれ読者の想像をも超える恐ろしい現実があった。

 

たいていのミステリーなら、どんな悲惨な話でも最後には犯人が捕まるなり制裁を受けるなりして一応の決着がつく。しかし、一日に180人の子ども、ということは年間6万5000人あまりもの子どもが行方不明になり、人身売買されたり、臓器提供の被害者になっているインドのミステリーは、果たしてどんな終わり方をするのか?

 

差別と貧困が当たり前のようになっているインド社会を描く作品だが、子どもたちは無邪気でのびのびとしていて、屈託がない。そこに救いを感じるが、庶民が食べる軽食などの料理の数々がいろいろ登場していて、どれもおいしそう。

たとえば、カラチ・ハルヴァは、コーンスターチに砂糖、ギーを加えて練り上げたお菓子で、グジャは、パイ生地でつつんだ揚げ菓子。パプリ・チャートは、揚げクラッカーに具やソースを載せた屋台スナック、ゴールガッパーはゴルフボール大の揚げ菓子で、中に汁を注いで食べるんだとか。

読んでいると、インドのバザールを“少年探偵団”と一緒に歩いている気分になれて、さまざまな庶民の声や音、活気、匂いまでがこっちにまで漂ってきそうだった。

 

また、訳者の坂本あおいさんの訳もなかなかよかった。インドの言葉(ヒンディー語)がポンポン出てくるが、当然だがちゃんと振りがな付きで、姉ちゃんはディディ、え?はキャー、兄はバーイ、母さんはアンミ、おばさんはチャーチー、ワーラーは何々屋さん、おかげでインドの言葉がいくつか覚えられた(読み終わるころでもはや遅いんだけど)。

 

無邪気で純真という宝物を持っている少年たちの物語だけに、インドの現実がかえってひしひしと伝わってくる小説でもあった。

造形美の極致、モモスズメの交尾

土曜日朝の善福寺公園は晴れ。日差しが弱く、多少風もあるのですごしやすい。

 

上池のカワセミは、最初遠くにとまっていたので池をめぐって近くに行くと、今度は最初見たあたりに飛んでいって、結局のところ遠くから見るハメになった。f:id:macchi105:20210724085742j:plain

 

公園のコスモスが咲き始めた。f:id:macchi105:20210724085827j:plain

 

池のほとりにジッとしているのはムシヒキアブの仲間のアオメアブ。f:id:macchi105:20210724085855j:plain

口のまわりの毛がヒゲに見えて、何となくジジむさい感じがするが、緑の複眼が印象的だ。

 

カルガモの親子はいまだに仲よし。f:id:macchi105:20210724085932j:plain

春に生まれてだいぶたっているのに、4羽の若鳥はいつも一緒だし、母親もつきっきりであたりを警戒している。

うーん、親離れしてないのか、子離れしてないのか。

 

散歩道のすぐ目の前でカナヘビがあたりをうかがっていた。f:id:macchi105:20210724090623j:plain

いきなり出会ったらびっくりする。

 

シジミチョウが翅を広げていた。f:id:macchi105:20210724090028j:plain

真っ黒だからメスのようだ。

 

路線バスが走る道路の脇で、枯れ葉が2枚くっついている?

よく見たら、ガの仲間のモモスズメが交尾しているところだった。f:id:macchi105:20210724090102j:plain

こんな道路っぱたでよくも堂々と・・・。

それにしても、造形美の美しいこと!

交尾中は一番無防備なはず。枯れ葉が2枚つながっているように擬態して敵をやりすごそうとしているのか、それとも、その造形美で相手を驚かそうとしているのか?

上がメスで下がオスのようだ。f:id:macchi105:20210724090136j:plain

上のメスはおなかがパンパンにふくらんでいて、オスは気楽?にぶら下がってるだけかな。

よく似たスズメガクチバスズメがいて、似たような形で交尾するが、モモスズメは後ろの翅が桃色なのが特徴で、前翅の模様もクハバスズメは横線がほぼ直線なのに対して、モモスズメはくねくねと曲がっている。

 

太い木張り付いたようになってるのは、何とヘビだった。f:id:macchi105:20210724090209j:plain

うひゃー、すぐ退散。

それにしても垂直の木の幹にピタッと張り付いていて、よく落ちないものだ。

 

池のほとりにはイトトンボf:id:macchi105:20210724090446j:plain

 

すぐ近くでミーン、ミーンと鳴く音がするので見上げると、ミンミンゼミがお尻をふるわせて鳴いていた。f:id:macchi105:20210724090521j:plain

 

ニイニイゼミ羽化の瞬間

金曜日朝の善福寺公園は晴れ。風なく蒸し暑い。

 

公園に着くなり、上池にカワセミが1羽。f:id:macchi105:20210723082950j:plain

きのう、公園から帰るときに見つけたのと同じ場所にとまっていた。

お気に入りの場所?

 

羽化途中のニイニイゼミに遭遇。

一生懸命お尻から出てくるところ。f:id:macchi105:20210723083020j:plain

もうあと少しでお尻が出て、羽化が完了する。f:id:macchi105:20210723083049j:plain

1分もたたずに、スッポン。f:id:macchi105:20210723083115j:plain

羽化完了の瞬間。おめでとー。

 

こちらも羽化直後のアブラゼミf:id:macchi105:20210723083318j:plain

頭のあたりは多少茶色っぽくなってるが、まだ全体が乳白色だ。

 

アブラゼミの脱け殻。仲よく隣同士で羽化したようだ。f:id:macchi105:20210723083150j:plain

 

こちらも仲よしか。ニイニイゼミの脱け殻。f:id:macchi105:20210723083253j:plain


葉っぱの裏に大きめのクモ?

近づいてみると脱け殻だった。f:id:macchi105:20210723083405j:plain

実に上手に抜けてる。

 

池のほとりにイトトンボf:id:macchi105:20210723083427j:plain

上から見てるので池に雲が映り込んでるんだが。

きのうのワイン+映画「7番房の奇跡」他

フランス・ブルゴーニュの赤ワイン「ブルゴーニュピノ・ノワール・アンリ(BOURGOGNE PINOT NOIR HENRI)2017」f:id:macchi105:20210722164542j:plain

ピノ・ノワールブルゴーニュを代表する赤ワイン用ブドウ品種。透明感のあるルビー色で比較的タンニンの少ない、なめらかな味わいのワイン。

(本日のデザート)f:id:macchi105:20210722164611j:plain

 

ワインの友で観たのは民放のBSで放送していた韓国映画「7番房の奇跡」。

2013年の作品。

原題「MIRACLE IN CELL NO.7」

監督イ・ファンギョン、出演リュ・スンリョン、パク・シネ、カル・ソウォンほか。

 

知的年齢が6歳のイ・ヨング(リュ・スンリョン)は、しっかりものの6歳の娘イェスン(カル・ソウォン)と暮していたが、道に倒れていた少女(警察庁長官の娘)を救命中に少女誘拐・暴行殺人事件の犯人と誤認され、逮捕されてしまう。

娘と離れ離れになり寂しさを募らせるヨングだったが、同じく7番房に収監されていたヤクザの親分の命を助けた礼に娘と会いたいと頼む。7番房の囚人たちの助けを借りて、イェスンは無事房内に潜入しヨングと再会する。しかし、無実の罪を着せられたまま、ヨングに死刑判決が下され、ついに死刑執行の日がくる。

一方、映画では成人となった娘イェスン(パク・シネ)が登場し、子どものころの彼女と同時進行で物語が進行し、彼女は模擬国民参加裁判の弁護人となって父の無念を晴らそうとする。

 

冤罪事件で死刑になるという悲しく非道の物語をユーモアたっぷりで描いていて、何度も笑ってしまう。娘役のカル・ソウォンは本作がデビューというが、可憐で利発で見ていてついついほおがゆるむ。

娘が刑務所の雑居房に入り込んできてみんなと仲よくなったり、最後は気球に乗って刑務所の上空に浮かんだり、ありえない展開なんだけど、それが少しも違和感がなく、許される不思議。

映画って夢を描いているんだなー、と実感させられる。

 

ついでにその前に観た映画。

民放のBSで放送していたフランス・イタリア合作の映画「パリは霧にぬれて」。

1971年の作品。

原題「LA MAISON SOUS LES ARBRES」

監督ルネ・クレマン、出演フェイ・ダナウェイフランク・ランジェラ、バーバラ・パーキンス、モーリス・ロネほか。

 

監督がルネ・クレマン、主演がフェイ・ダナウェイで、音楽はジルベール・ベコー。そして題名が「パリは霧にぬれて」。どんなしっとりとしたアンニュイな映画かと思ったら、2人の子どもの誘拐をめぐるミステリーだった。

原題の「LA MAISON SOUS LES ARBRES」は「木の下の家」の意味で、誘拐された子どもたちが連れいてかれた先が木々で囲まれた家というのでこんなタイトルになったらしい。それじゃ客は来ないとオシャレ?な邦題になったようだ。

ジルベール・ベコーの音楽だけは、たしかに「パリは霧にぬれて」だったが・・・。

 

フィリップ(フランク・ランジェラ)とジル(フェイ・ダナウェイ)の夫婦は2年前にアメリカからパリに移住。8歳の娘と4歳の息子とともにセーヌ川のほとりで暮らしている。フィリップは優秀な電子工学技術者として将来を約束されていたのに突然会社を辞めて逃げるように渡仏し、そんな夫との間にジルは見えない壁を感じていた。またジルは最近記憶を失いがちで、ミスを連発。そんなある日、2人の子ども誘拐さてしまう。手を下したのは、かつてフィリップが協力させられていた産業スパイの“組織”だった・・・。

 

ジルが記憶を失いがちになって忘れ物をしたりするあたりは、イングリッド・バーグマンの「ガス燈」そっくりだし、映画の終りのほうの4歳の息子の“危険な遊び”は、お墓をつくって十字架で遊ぶ「禁じられた遊び」のモチーフに似ている。と思ったら、監督は「禁じられた遊びの」監督だった。 

樹木に溶け込むニイニイゼミ

木曜日朝の善福寺公園は快晴。始めは風もあって涼しかったが、日が照ってくると、ひとこと暑い! 散歩なんかできるのは朝の早いうちだけだ。

きょうは大暑。オリンピックの都合で海の日。

 

ハナアブの仲間、ヒラタアブがツユクサにとまっていた。f:id:macchi105:20210722084627j:plain

よくみると上の方に花粉がいっぱいついた雄しべが固まってるのに、なぜかアブは下の方の雄しべにとまっている。

実は、ツユクサには6本の雄しべがあるが、上の方に固まっている短い雄しべは「飾り雄しべ」といって、虫を誘うためのものなので花粉はまったくつくられない。、

花粉を出すのは下に長く伸びた雄しべなので、それを知っているヒラタアブは、上のニセモノには目もくれず、本物の雄しべにまっしぐらに向かっている。

 

暗い林の中で、大木の幹をセミが少しずつ移動している。

羽化して間もないニイニイゼミのようだ。f:id:macchi105:20210722084655j:plain

動いているからわかるが、ジッとしていたら幹の色に溶け込んでわからなかっただろう。

ニイニイゼミの隠遁の術。

近づいてみると、頭部から胸部にかけての模様がライオンの雄叫びに見えるんだが・・・。f:id:macchi105:20210722084747j:plain

f:id:macchi105:20210722084807j:plain

 

別の場所でも、やはり羽化直後のニイニイゼミ

しかも2匹いるんだが、わかりますか?

f:id:macchi105:20210722084839j:plain

上のは、頭部のあたりがちょっと赤いのでわかるが、下のはまるで木の色に同化している。f:id:macchi105:20210722084901j:plain

 

ちっちゃなコガネムシマメコガネだろうか。

せっせとお尻を動かし、交尾中だった。f:id:macchi105:20210722084940j:plain

 

葉っぱの陰で休んでいたのはキマダラヒカゲ。f:id:macchi105:20210722085003j:plain

 

上池と下池を1周して、「けさはカワセミを見ないな」と帰ろうとしたら、なかなか律儀なカワセミくん。

ちゃんと近くにとまってくれた。f:id:macchi105:20210722085031j:plain

オスのようだが、木陰で暗く、光線の加減か少し黒ずんで見える。ひょっとして今年の一番子?

ゆらめくナナフシ

水曜日朝の善福寺公園は快晴。日なたは暑いが木陰は涼しい。

 

上池ではけさもカワセミが飛んでいた。

上池を半周して下池を1周。

 

イトトンボが朝の休憩。f:id:macchi105:20210721085656j:plain

 

スイレン畑で身を潜めてエサをねらっているのはアオサギf:id:macchi105:20210721085723j:plain

低い姿勢で少しずつ移動しながら・・・。f:id:macchi105:20210721085809j:plain

小魚をゲットしたみたいですぐに飲み込み、次のエサを探して首をのばしている。f:id:macchi105:20210721085834j:plain

まるで潜望鏡みたい。

 

草むらにムシヒキアブがとまっていた。

お尻に白い束があるのでオスのシオヤアブだろうか。f:id:macchi105:20210721085900j:plain

 

暑さ対策かな、ミズヒキの花を帽子にしてる?アオバハゴロモf:id:macchi105:20210721085943j:plain

 

黒いチョッキを着てるみたいなキバラヘリカメムシの幼虫。f:id:macchi105:20210721090012j:plain

 

茶色いクモが移動中。イオウイロハシリグモよりかなり小さい。f:id:macchi105:20210721090031j:plain

 

葉っぱの陰で、風もないのに枝が揺れている。

何かと思ったらナナフシ(正しくはナナフシモドキ)だった。f:id:macchi105:20210721090102j:plain

翅を持ってるわけでもないので飛んで逃げることもできず、ひたすら「私は枝ですよ」と枝に擬態して逃れようとする。f:id:macchi105:20210721090132j:plain

追いかけるとユラユラ揺れながら少しずつ移動していく。f:id:macchi105:20210721090155j:plain

天敵につかまったりしたときは自分の脚を自分で切って(自切という)逃げていくという。

枝からぶらさがっていると、たしかに枝にしか見えない。f:id:macchi105:20210721090222j:plain


けさの雲。

青地のキャンバスに刷毛で描いたような雲。f:id:macchi105:20210721090259j:plain

絹雲(けんうん)だ。