善福寺公園めぐり

善福寺公園を散歩しての発見や、旅や観劇、ワインの話など

ネジバナ咲く

金曜日朝の善福寺公園は曇り。低く垂れ込めた雲。風がないと蒸し暑い。

 

上池をめぐっていると、手すりの上でゴミが動いている?

よく見ると白い毛をたくさん生やした小さな虫だった。

ベッコウハゴロモの幼虫だろうか。

自分の身体から分泌するロウ物質が白い毛か糸のように見える。ゴミじゃなくて、“天女の羽衣”といわれているらしい。

 

カワセミが飛んできてロープにとまったが、そっくり返っている。

オスのブンジ(B2)くんのようだ。

そっくり返りすぎて、後ろに倒れそうになって慌てて前かがみになるのだが、またそっくり返ってオットット

そんなことを繰り返しているうちに小さめの小魚をゲット。すぐ食べちゃって飛び去っていった。

 

カイツブリが獲物をゲット。

大きめのエビのようだったが、なかなか飲み込めず難渋していたが、やっとこさゴックン。

 

上池と下池を結ぶ小川(遅野井川)のほとりにネジバナが咲いていた。

ランの仲間だが、花茎をまっすぐに伸ばして、らせん形に花をつける。まるでねじれたように咲くのでネジバナ。ネジレバナ、ネジリバナ、ねじり草(そう)とも呼ばれる。

学名のSpiranthesは、ギリシャ語のspeira(螺旋=らせん)+Anthos(花)に由来するという。

 

下池をめぐっていると、ちょうど歩いている目の高さの枝でバタバタしているものがある。

目を凝らすと、バタバタしているのはガの翅で、逃げようとするガをおさえつけてシジュウカラがついばんでいるところだった。

シジュウカラは雑食だから虫を食べたりすることは知っているが、ガ(それも大きめのガでスズメガのようだ)まで食べちゃうとは。

肉を引きちぎっているみたいで、けっこう獰猛。

半分ぐらい食べて飛び去ると、池に落ちたガはやがて絶命。南無阿弥陀仏

 

池のほとりでもネジバナが咲いていた。

1輪、2輪じゃなくて何輪も。ここはネジバナの群生地だった。

ネジバナはどこでも咲いている花ではなくて、菌従属栄養植物といって、共生してくれる菌がいるところでないと発芽できない。

ということはここはネジバナの楽園なのだろう。

別名モジズリ。

織物の一種「忍捩摺(しのぶもじずり)」に由来しているという。

忍捩摺は現在の福島県信夫地方特産の乱れ模様の摺り衣で、その忍捩摺の模様とネジバナの花のねじれが似ているというのでこう呼ばれるらしい。

百人一首に次の歌がある。

 

みちのくのしのぶもじずり誰ゆえに乱れそめにし我ならなくに

 

陸奥地方で織られる「しのぶもじずり」の摺り衣の模様のように、私の心は乱れている。それは一体誰のせい?あなたのせいですよ。

 

何とも悩ましいが、それにしてもネジバナはなぜねじれて咲くのか?

いろんな説があって、ひとつは、花茎が細いので、その細い茎にたくさん花をつけようとすると片方だけだと倒れてしまうので、物理の法則でねじれて花がくつようになった、というのがあるが、ハテ?

たしかに、松ぼっくりやひまわりの種などの並び方はらせん形になっていて、この形状は強度を保つために、また効率的に成長するのに合理的であり、植物が自然界で生存するために必然的にあらわれたもので、「生命の曲線」といわれているそうだが、ネジバナの場合もやはりそうなのか?

ほかにも、花粉を媒介してくれる虫を呼び寄せるため、花がいろんな方向に向いていると虫を呼びやすいという説もあるらしいが・・・。

きのうのワイン+映画「おばあちゃんの家」ほか

イタリア・トスカーナの赤ワイン「サンタ・クリスティーナ・ロッソ(SANTA CRISTINA ROSSO)2020」

イタリアワインの名門アンティノリが手がける赤ワイン。

サンジョヴェーゼ、カベルネ・ソーヴィニヨン、メルロ、シラーをブレンド

1946年のリリース以来、70年以上飲まれ続けているロングセラーワインという。

たしかに親しみやすい味わい。

 

ワインの友で観たのは、民放のBSで放送していた韓国映画「おばあちゃんの家」。

2002年の映画。

監督イ・ジョンヒャン、出演ミン・ギョンフン、キム・ウルブン、イ・ジョンヒャン、ユ・スンホほか。

 

わがままに育てられたソウル生まれの孫と、山村で素朴な生活を送る祖母のひと夏の交流をユーモアあふれる視点で描く。

サンウ(ユ・スンホ)は母親と2人でソウルに暮らす7歳の少年。夏のある日、サンウは失業中の母が新しい仕事を見つけるまでの間、今まで会ったこともない田舎のおばあちゃん(キム・ウルブン)の家へ預けられることになる。

おばあちゃんの家はかなり辺鄙な山の中にある。隣近所もかなり離れていて、腰の曲がったおばあちゃんが一人で住んでいる。都会暮らしに慣れてしまっているサンウにとってそこでの生活はあまりにも退屈だった。

おばあちゃんは話すことも読み書きもできないため、サンウは彼女をバカにし、何かと不満をぶちまける始末。それでもおばあちゃんは、決してサンウを叱ることはなく、彼の願いを叶えてあげようと懸命だった・・・。

 

韓国・忠清北道永同でロケしたというが、忠清北道は韓国のほぼ中央に位置し、その南端にあるのが永同というところ。町にまで出かけていく交通手段は1日に何本しかないバスというような不便なところで、かなりの田舎のようだ。

そこでの登場人物は、子役のユ・スンホ以外はすべてロケ地に住む素人をキャスティングしたという。おばあちゃん役のキム・ウルブンも実際に山奥の村で農業をしていた77歳の住民で、2日間にわたって説得した結果、出演をOKしてもらえたという。

このときのことをイ・ジョンヒャン監督はマスコミとのインタビューの中でこう語っている。

「ロケ地の忠清南道永同を見て山から降りた日に、遠くを歩くキム・ウルブンハルモニを見た瞬間『あの人だ!』と思った。ハルモニが『私はできない』というのを説得して出演を承諾してもらった。ハルモニに対する思い入れが強くなって、6カ月の撮影が終了して村を去る日、村人とスタッフ全員が涙なしではいられなかった。私もハルモニと抱き合って号泣した。ハルモニが『私の生涯の中で一番幸せな時間だった』といわれてうれしかった」

監督はまた、別のところでこんなことも語っている。

映画に登場するわがままな現代っ子のサンウは「自分を含むわれわれ全員の姿」であり、どんなにわがままをいっても、すべてを惜しみなく与えてくれるおばあちゃんの姿は「自然」を投影している。

なるほど、自然は何もしないでも、そのままでいるからこそ自然なのだ。おばあちゃんは演じたのではなく、ただあるがままにいただけなのだ。それがわれわれに感動的な演技として胸に迫ってくる。

 

ついでにその前に観た映画。

民放のBSで放送していたアメリカ映画「ビューティフル・ボーイ」。

2018年の作品。

監督フェリックス・バン・ヒュルーニンゲン、出演スティーブ・カレル、ティモシー・キャラメほか。

 

成績優秀でスポーツ万能というので将来を期待されていたニック(ティモシー・キャラメ)。しかし、いつも優等生であることを求められる重圧に耐えかねた彼は、あるときふとドラッグに手を出して、いつしかその深みにはまり、泥沼地獄からなんとか抜け出そうと必死に願いながらも、更生施設への入所とそこからの脱走を繰り返していた。

フリーの音楽ライターで、ニックの父親のデヴィッド(スティーブ・カレル)は、息子が立ち直ることを信じて懸命に彼を支え続けるが・・・。

 

実話にもとづく映画で、ニック本人と父親デヴィットがそれぞれ書いた2冊の回顧録がベースとなっているという。

ニックがいろんな薬物を試して、ついに薬物中毒から抜け出せないほどにハマってしまったのはクリスタル・メスといわれる薬物だが、この薬物の成分はメタンフェタミンといって、依存性と毒性が極めて高い覚せい剤のことだ。身も心も破壊して再生するのが困難といわれるほどで、史上最悪のドラッグの1つだとか。

実はこのメタンフェタミンは日本では商品名「ヒロポン」として販売されていて、「疲労がポンと取れる」というのでヒロポンとネーミングされたといわれるが、そもそもこの薬剤を開発したのは日本の薬学者だった。

 

ヒロポンは戦争と深い結びつきがある。

覚せい剤という通り脳の覚醒を促すものであり、疲労感や眠気を吹き飛ばして集中力を高める働きがあるというので、第2次世界大戦時には連合国と枢軸国の双方の軍隊で士気向上や疲労回復を目的に使われた。

日本では出撃前の特攻隊員にもヒロポンが与えられていたという。

兵士だけではなく、作業能率を上げて昼夜ぶっとおしで働かせるために軍需工場でも大量に用いられ、勤労動員された学徒たちも半強制的に飲まされたといわれる。

恐怖心を薄れさせ、正常な判断力も失わせて、命令に従順な、疲れ知らず・命知らずの人間にしてしまうのが覚せい剤ヒロポン

そんな怖い覚せい剤は現在の日本では使用禁止かというと、「限定的な医療・研究用途での使用」は許されていて、自衛隊員は特例で覚せい剤の使用が可能なのだという。

自衛隊法には「麻薬及び向精神薬取締法等の特例」という条項(自衛隊法第115条)があり、「自衛隊の部隊又は補給処で政令で定めるものは・・・麻薬又は医薬品である覚せい剤原料を譲り受け、及び所持することができる」となっている。

有事の際に必要ということなのだろうが、がんの痛みの治療にも使われている医療用麻薬ならまだしも、なぜ覚せい剤までも?と思ってしまう。

江戸の風流人が育てた?お碗のようなアジサイ

木曜日朝の善福寺公園は曇り。朝からムシムシ。

 

けさは上池、下池ともにカワセミの姿はなし。

どこかに隠れてるのかな?遅い出番かな?

 

カイツブリが1羽でポツン。

相方はいずこに?

 

枝の先にタカの仲間のツミ。オスのようだ。

羽繕いしながらキョロキョロしてるから、獲物をねらってるのか。

あんな目立つところにいたら獲物の鳥はサッサと逃げていくと思うが。

案の定、まわりに鳥の声はしない。

 

ムシヒキアブがこちらを向いている。

黒くて鋭い口吻。あれを捕らえた獲物の体に突き刺して“生き血”を吸うんだが、いかにも痛そう。

 

装飾花が小さく丸まって、しかも肉厚。お碗みたいに咲いているアジサイ

ウズアジサイといって日本固有種という。

こういう咲き方をテマリ咲きというらしいが、萼片が内側にまるまって渦を巻くように見えるのでこの名がついた。

もともとは品種改良する中でウイルスに侵されたものが「こりゃおもしろい」というので江戸時代に園芸品種として定着したのだという。

江戸の人は風流人だったんだねー。

江戸時代には(あるいは今も)「オタフクアジサイ」とも呼ばれていたとか。

 

 

フェンスとして使われている擬木から妙なものが垂れ下がっている。

ミノムシにしてはスマートだが、クロツヤミノガというガの幼虫のようだ。

幼虫の食性は各種樹木の葉、樹幹・板塀・石塔などに生える地衣類・コケ類などで、擬木をホンモノの木と間違えてコケでも生えてないかとやってきたのだろうか。

現代の「みをつくし料理帖」 富ヶ谷・七草

先日、朝日新聞夕刊(6月8日付)を読んでいたら、高田郁(かおる)作の「みをつくし料理帖」(2009年刊)についての記事が載っていて、あの小説の主人公の澪(みお)のような人が旬の野菜を中心にした日本料理店を開いているというのを知った。

みをつくし料理帖」は江戸時代の話で、作者は「口から摂るものだけが人の身体をつくる」ことを実体験で学び、「料理で人を幸せにする話を書きたい」と小説にしたという。

澪のような人がいる店とは、記事でも紹介されていたが、東京・渋谷区富ヶ谷の「七草」。

最寄り駅は京王井の頭線駒場東大前駅で、西口を出て徒歩13分。ずいぶん歩くんだなと思ったら、「近道8分」と教えてくれた。

実はこのお店、東大教養学部のキャンパスのちょうど裏手にあり、キャンパス内を通り抜けると8分で行ける。

 

何10年ぶりかで学生気分でキャンパス内を通る。

昔ほどのハデさとないが、今もタテカン(立て看板)が健在だった。

店は大通り沿いにあるのでわかりやすい。

 

席数は全14席ということだが、客数を限定しているのか、けっこう広々としていて、個室気分で料理を楽しめる。

事前予約制で、料理はおまかせの献立。1人7200円(+消費税、サービス料5%)。

むろん飲み物は別途料金。

 

まずはビール。

常陸野ネスト ホワイトエール」。

 

最初の料理はレタスのすり流し。

レタスとの組み合わせが意外だが、昔よくわが家でつくったカボチャとバターのポタージュに似ている。

そうか、現代の澪さんは、旬の野菜の味を大切にする和食に徹しつつも、和と洋を巧みに合わせたご自分の味を追求しているに違いない。

 

ビールのあとは日本酒。

飲んだのは、千葉の「甲子 吟醸」、山形の「ばくれん」、静岡の「喜久酔」、福島の「にいだしぜんしゅ」。

料理がおいしくて、ついつい酒も進んだ。酒は料理と共にあるのだから致し方ない。

特に最後の「にいだしぜんしゅ」は酒の原点のような飲み応え。

 

写真左はドライフルーツの干し杏と生麩の白和え。

白和えがとてもクリーミーでなおかつ味がしっかりしていて、絶品。よほど丁寧に水切りをして、豆腐の味を十分に引き出して滑らかにしているのだろう。

写真右は豆ご飯の笹巻き、卵焼き、空芯菜、合鴨、山科の唐辛子、新蓮根、なす、青梅のハチミツ煮?だったか。

梅の深い緑が美しかった。

 

エビの湯葉揚げ。上に乗っているのは、ハスイモ、小松菜。

深い緑の梅といい、ハスイモの切り口の美しさといい、料理は美だ。

 

オクラ、半白きゅうり。

写真では半白きゅうりの透明感が出てないので残念だが、みずみずしい味わい。

 

新牛蒡と実山椒、島ラッキョの揚げ物。

実山椒の衣で爽やかな辛み、後口さっぱり。これぞ和のスパイス。

 

ホワイトアスパラガスのムース、ホタテとキノコ(名前忘れた)。

楽しい味のコンサート。

イサキとはまぐり。

 

ベビーコーンとトウモロコシのお粥。

 

デザートは水無月

ういろうに小豆をのせて固めた和菓子だが、とてもおいしいういろう。

 

この店のシェフで店主は前沢リカさんといって、料理界ではけっこう有名な人のようだが、決して気取ることなく「きょうの梅は失敗しちゃった」とかいっていた。

料理の歳時記にのっとり、旬の野菜や乾物を中心にした料理をつくり続けていて、食材の味そのものを感じてほしいと工夫を重ねているのだとか。

食材の味そのものを感じるとは、食材を産み出す自然を感じることに違いない。

自然はまだ未知のことだらけで、新しい発見はまだこれからいくらでもあるのだから、同じように新しい味の発見もあるはずだ。

食の喜びとは、今まで知らなかった自然を発見する喜びでもあるのかもしれない。

エメラルド色のハチはサトセナガアナバチか

水曜日朝の善福寺公園は曇り。雨上がりの朝、湿度高く、蒸し暑い。木陰を歩いていると吹く風に救われる。

けさはいつもより少し遅い時間の散歩。

 

上池のカワセミは、オスのブンジ(B2)くんらしいのが遠くから飛んできた。

盛んに水浴びしている。

 

先日に続き、けさもアトジロサビカミキリ。

お尻が白い小さなカミキリ。

敵を欺くための地味さを求めて、行き着いたのはサビ色だったのか。

 

古木のウロの中に丸くて白いものが垂れ下がっている。

カマキリの卵とも違うようだし、ハテ何だろう?

帰っていろいろ調べたら、モリアオガエルの卵塊にそっくりなんだが・・・。

まさかね?

 

下池を1周して上池に戻ると、下池と上池をつなぐ小川(遅野井川)をカワセミがのぼってきて上池に飛んできた。

対岸から見たところ。

下池を根城にしていて上池の端もテリトリーにしている三郎くんだろうか?

 

きのうエメラルド色した寄生バチを見たかと思ったら、けさはエメラルドグリーンのハエ。

アシナガキンバエだろうか。

しかし、アシナガキンバエにはよく似た“ニセ”も多いというから、アシナガバエ科の一種といったほうが正確か。

名前の通り、足が細長く、体は金属光沢を持つ。肉食で、小型の昆虫をエサとする。腹部が太いのがメス、細いのがオスで、これはメスのようだ。

 

ヤマトシジミがとまっていたので近づいてよく見ると、複眼の中に黒い点のようなのがある。これが瞳孔かと思ったら、カマキリの複眼と同じ“偽瞳孔”だという。

昆虫の眼は複眼になっていて、ストローのような個眼が束になってできている。その個眼の奥まで見通せた角度の部分は黒く見えるので、瞳孔のように見える。まるでこちらをにらみつけてるみたいだが、実は昆虫の眼はほぼ全周が見えるように配置されている。

 

きのう見つけたエメラルドゴキブリバチかと思ったハチは、サトセナガアナバチ(セナガアナバチ)という寄生バチの一種のようだ。

エメラルドゴキブリバチと同じセナガアナバチ科に属する近縁種。

エメラルドゴキブリバチは東南アジアやアフリカなどといった熱帯に分布しているのに対して、日本の本州以南に生息しているのがサトセナガアナバチ。

かつては本州の愛知県以南、四国、九州、対馬種子島などに分布していたというが、1960年代ぐらいから関東地方での記録が相次ぎ、2010年には東京都内でも新たに記録さている。

さらに南の奄美大島石垣島西表島には、やはり近縁のミツバセナガアナバチが生息していて、この2種はいずれもエメラルドゴキブリバチ同様、体色は金属光沢を持ったエメラルド色で、クロゴキブリ、ワモンゴキブリなど家屋性ゴキブリを毒でゾンビ化させ、卵を産みつけて幼虫のエサにするという。

 

人家に出没するゴキブリの多くは外来種で、もともと熱帯雨林に生息していた。それが人間の海上移動にともなって日本にもやって、温帯地域に適応して勢力を広げてきたきたといわれる。

ゴキブリの天敵であるセナガアナバチも、ゴキブリとともに(あるいはゴキブリを追いかけて?)日本にやってきて、熱帯のセナガアナバチと同じにゴキブリをゾンビ化する繁殖手法は変わらないまま、やはり温帯地域に適応して今日に至っているのだろう。

ゴキブリの天敵だから人間にとっては益虫ともいえるが、1匹あたりが産む卵は数10個程度で、ゴキブリの繁殖力に比べればとても歯が立たないのだとか。

ナゾのカワセミ幼鳥とエメラルドゴキブリバチ?

火曜日朝の善福寺公園は曇り。きのうと同じに朝から蒸し暑いが、風が多少あるのが救い。

きょう6月21日は夏至。1年で一番昼の時間が長い。

ということは、あす以降、冬に向かっていくことになる。

 

散歩に行く途中、民家の庭からザクロの花が顔を出していた。

 

けさの上池のカワセミは?

異変が起きていた。

きのうまでは、オスのブンジ(B2)とメスのH子が交代で1羽ずつで出てきていたのが、けさは2羽とも出てきていて、近くに寄って鳴き交わしたりしている。

交代で卵を温めていると思ったのだが、ひょっとしてヒナが生まれたのか?

それとも卵は天敵に食べられちゃったのか?

 

すると、木陰に見慣れないカワセミが1羽。

明らかに幼鳥だが、飛び立ってからだいぶたってるらしく、自分でエサを獲って食べちゃったりしている。

善福寺川で生まれたのが新天地を求めてここまで飛んできたのか?

ときどき上を気にしている。

こっちを向いたところ。脚は黒いし全体にくすんで見える。

カワセミはテリトリーを主張するから、自分の家族じゃないのがいれば追い払うはず。

この幼鳥は大丈夫か?

 

池をめぐっていると、さきほどのブンジくん。

ナゾの幼鳥があらわれたのを知ってか知らずか?

 

高い木の枝の陰で、ツミが獲物をついばんでいるところに遭遇。

メスのようだが、ガシガシと食べる姿はいかにも猛禽類

ときおり警戒してか首を上げるが、クチバシの先に赤い肉が見える。

 

下池ではカワセミの姿はなし。

見つけたのは小さな虫。

ハエトリグモの仲間か、クリクリお目メがキュート。

 

その近くで見慣れないハチらしきものを発見。

エメラルドに輝く美しい体をしているが、ゴキブリを襲って子どもを育てる寄生バチの仲間、エメラルドゴキブリバチによく似ている。

ただし、エメラルドゴキブリバチは東南アジアやアフリカなどの熱帯地域に生息していて、気温の高い時期には特に成虫の活動が活発になるというが、日本にもいつの間にかやってきていたのか?

エメラルドゴキブリバチとすれば、見た目はいかにも美しいハチだが、その生態を知れば背筋が寒くなる。

このハチのメスは毒針を持っていて、ゴキブリを見つけると毒液を注入し、ゾンビのようにゴキブリを操るようになる。

操るやり方が凄まじい。まず、ゴキブリの胸部を刺して毒により前脚を数分間マヒさせる。その間に脳を刺すとゴキブリはハチに脳を乗っ取られて、自分の意思では動けない「寡動(かどう)」という状態になるという。

これは体がマヒしているわけではないので、ハチに誘導されればハチの意のままに歩くことができる。それをいいことにハチはゴキブリの触角を引っ張って自分の巣穴まで歩かせる。

そうやって何匹ものゴキブリをゾンビ状態にして集めてきて、ゴキブリの体内に卵を産みつける。卵から孵った幼虫は、やがてゴキブリの体内を食べ尽くて外に出てくるという。

 

実は「寡動」というのは、ヒトのパーキンソン病の主な症状の1つで、エメラルドゴキブリバチが持つ毒液の成分が治療に役立つのではないかという研究がアメリカで進行中という。

パーキンソン病は脳細胞が徐々に死んでゆく神経変性疾患であり、神経伝達物質ドーパミンをつくる細胞が変性し、ドーパミンが不足してさまざまな症状があらわれるといわれているが、まだはっきりした原因はわかっておらず、根本的な治療法はない。

エメラルドゴキブリバチの毒液を成分分析したところ、これまで知られていなかった新しいタイプのペプチドが含まれていることが明らかになっているという。

ひょっとして、そのペプチドがゴキブリのドーパミン生産を妨げているかもしれず、パーキンソン病の治療に役立つ可能性があるかもしれない。

見た目美しくも実はおぞましいエメラルドゴキブリバチ。ひょっとしてヒトの難病治療に役立つかもしれない。

 

その後、家に帰っていろいろ調べてみたら、やはりエメラルドゴキブリバチは日本には生息していないようだ。近縁種に少し小さめのセナガアナバチがいて、こちらは日本に生息している。

エメラルドゴキブリバチと同じようにゴキブリを毒でゾンビ化させ、卵を産みつけるというから、大きさが違うだけで、似たような種類なのかもしれない。

 

ハチを見つけたのはヒノキの古木。

裏にまわると、木の洞の中からヘビが顔を出していて、やがて逃げていった。

エメラルドゴキブリバチも怖いけど、こっちもゾーッ。

 

ヒメオウギスイセンが咲き出した。

 

いつもは早朝はつぼみのままのアサザの花が咲いていた。

気温が高いためか、夏至と聞いてうれしくなったのか。

紅ほっぺのアオリンガ

月曜日朝の善福寺公園は曇り。朝から蒸し暑い。

 

上池をめぐっていると、池のほとりにカメムシの卵らしいもの。

ちょうど1ダース、12個ある。

キマダラカメムシあるいはクサギカメムシの卵だろうか。

 

そのすぐそばにハチの巣状の白いかたまり。

孵化したあとかな?

 

けさのカワセミは、まず上池にブンジ(B2)くん。

 

ほっぺたに紅(べに)をさしたような小さなガ。

花びらにでも擬態しているのか。

ベニモンアオリンガのようだ。

漢字で書くと「紅紋青実蛾」。

むしろ「紅ほっぺ青実蛾」と命名したいな。

 

下池にまわると、枝にカワセミのメスのサクラらしいのがとまっているんだが、なぜか口を開けたまま。

鳴いているのか、単に締まりがないだけか。

 

けさもきのうと同じようなところにツミのオス。

きのうと同じで、羽繕いしながらひとっところにずーっといた。

ときどきキョロキョロしてたから、ついでに獲物も探しているのかも。

小鳥さん、気をつけてー。

 

ムシヒキアブが獲物(ハエのようだ)を捕らえていた。

獲物を捕らえると前脚でがっしりと抑え込み、鋭い口吻を突き刺して相手の体液を吸う。

そうやって虫を間引くのでムシヒキアブ?

昆虫界の最強ハンターともいわれている。

 

小さなコガネムシかカナブンか?

コガネムシとカナブンとでは頭の形と背中の三角形に違いがあり、カナブンの頭は四角く、背中に大きな三角形があるのが特徴。

とすると、こちらはマメコガネかな?

片脚あげているのは、あいさつじゃなくて警戒あるいは威嚇しているらしい。

 

地面に羽を広げてとまっているのはウメエダシャクか。

ときおり翅をぱたつかせている。

水を吸っているのか、余命短いのか。

 

近所のマンションの植栽のクチナシの花が咲いていた。

きのうはつぼみだったが、この暑さで一夜にして開花したのか。

善福寺公園クチナシはまだまだ先のようだが。