金曜日朝の善福寺公園は曇り。低く垂れ込めた雲。風がないと蒸し暑い。
上池をめぐっていると、手すりの上でゴミが動いている?
よく見ると白い毛をたくさん生やした小さな虫だった。
ベッコウハゴロモの幼虫だろうか。
自分の身体から分泌するロウ物質が白い毛か糸のように見える。ゴミじゃなくて、“天女の羽衣”といわれているらしい。
カワセミが飛んできてロープにとまったが、そっくり返っている。
オスのブンジ(B2)くんのようだ。
そっくり返りすぎて、後ろに倒れそうになって慌てて前かがみになるのだが、またそっくり返ってオットット。
そんなことを繰り返しているうちに小さめの小魚をゲット。すぐ食べちゃって飛び去っていった。
カイツブリが獲物をゲット。
大きめのエビのようだったが、なかなか飲み込めず難渋していたが、やっとこさゴックン。
上池と下池を結ぶ小川(遅野井川)のほとりにネジバナが咲いていた。
ランの仲間だが、花茎をまっすぐに伸ばして、らせん形に花をつける。まるでねじれたように咲くのでネジバナ。ネジレバナ、ネジリバナ、ねじり草(そう)とも呼ばれる。
学名のSpiranthesは、ギリシャ語のspeira(螺旋=らせん)+Anthos(花)に由来するという。
下池をめぐっていると、ちょうど歩いている目の高さの枝でバタバタしているものがある。
目を凝らすと、バタバタしているのはガの翅で、逃げようとするガをおさえつけてシジュウカラがついばんでいるところだった。
シジュウカラは雑食だから虫を食べたりすることは知っているが、ガ(それも大きめのガでスズメガのようだ)まで食べちゃうとは。
肉を引きちぎっているみたいで、けっこう獰猛。
半分ぐらい食べて飛び去ると、池に落ちたガはやがて絶命。南無阿弥陀仏。
池のほとりでもネジバナが咲いていた。
1輪、2輪じゃなくて何輪も。ここはネジバナの群生地だった。
ネジバナはどこでも咲いている花ではなくて、菌従属栄養植物といって、共生してくれる菌がいるところでないと発芽できない。
ということはここはネジバナの楽園なのだろう。
別名モジズリ。
織物の一種「忍捩摺(しのぶもじずり)」に由来しているという。
忍捩摺は現在の福島県信夫地方特産の乱れ模様の摺り衣で、その忍捩摺の模様とネジバナの花のねじれが似ているというのでこう呼ばれるらしい。
百人一首に次の歌がある。
みちのくのしのぶもじずり誰ゆえに乱れそめにし我ならなくに
陸奥地方で織られる「しのぶもじずり」の摺り衣の模様のように、私の心は乱れている。それは一体誰のせい?あなたのせいですよ。
何とも悩ましいが、それにしてもネジバナはなぜねじれて咲くのか?
いろんな説があって、ひとつは、花茎が細いので、その細い茎にたくさん花をつけようとすると片方だけだと倒れてしまうので、物理の法則でねじれて花がくつようになった、というのがあるが、ハテ?
たしかに、松ぼっくりやひまわりの種などの並び方はらせん形になっていて、この形状は強度を保つために、また効率的に成長するのに合理的であり、植物が自然界で生存するために必然的にあらわれたもので、「生命の曲線」といわれているそうだが、ネジバナの場合もやはりそうなのか?
ほかにも、花粉を媒介してくれる虫を呼び寄せるため、花がいろんな方向に向いていると虫を呼びやすいという説もあるらしいが・・・。