スペインの赤ワイン「セレステ・クリアンサ(CELESTE CRIANZA)2020」
(写真はこのあと牛焼肉)
スペイン・カタルーニャでワインをつくり続けて140年以上というトーレスはスペイン各地にワイナリーを所有しているが、そのひとつ「PAGO DEL CIERO(パゴ・デロ・チェーロ)」の赤ワイン。
ワイナリー名の「PAGO DEL CIERO」とは「天空の畑」を意味し、スペイン北部カスティーリャ・イ・レオンにある標高900mの山地で育ったスペインを代表する黒ブドウ・テンプラニーリョ100%。
ワイン名の「CELESTE」は「星空」を意味し、ラベルにはワイナリーから見える星座が描かれている。
ワインの友で観たのは、民放のCSで放送していたフランス・ドイツ合作の映画「約束の宇宙(そら)」
2019年の作品。
原題「PROXIMA」
監督・脚本アリス・ウィンクール、出演エバ・グリーン、マット・ディロン、サンドラ・ヒュラーほか。音楽は坂本龍一。
シングルマザーの宇宙飛行士と7歳の娘との愛と絆を描いたドラマ。
欧州宇宙機関(ESA)で日々訓練に励むフランス人宇宙飛行士サラ(エバ・グリーン)。宇宙物理学者の夫と離婚し、7歳になる学習障害の娘ステラと2人で暮らす彼女は、「PROXIMA(プロキシマ)」と名づけられた火星着陸をめざすミッションのクルーに選ばれる。
長年の夢が実現し喜ぶサラだったが、宇宙へ旅立てば娘と約1年もの間、離れ離れになってしまう。過酷な訓練の合間に、サラはステラと「打ち上げ前に一緒にロケットを見る」という約束を交わすが・・・。
宇宙飛行士の訓練の様子がかなり詳しく描かれているが、撮影はESAの全面協力のもとドイツ、ロシア、カザフスタンにある実際の宇宙飛行士の訓練施設で行われたという。無重力の宇宙空間での船外作業を想定してプールを使った水中での訓練シーンなどはとてもリアルだ。
原題の「PROXIMA」とは、ラテン語で「最も近い」という意味だそうだが、「太陽に最も近い恒星」に「PROXIMA」があり、サラたちのクルーが参加するミッションのコードネームがこの星の名にちなんで「PROXIMA」と呼ばれている。
本作のねらいについて監督・脚本のアリス・ウィンクールは「母親でもあるスーパーヒロインを見せたかった」と語っているが、宇宙への夢と、男性優位社会における苦労の多い子育てを両立させている女性たちに対するリスペクトを描くのが本作のようだ。
映画の中でも最初、アメリカ人船長マイクはサラを女性と思って見下し、男性の代役を希望したりする。しかし、彼女の強い決意と、ひたむきに訓練する姿を見て、次第に彼女を信頼するようになっていく。
それにしても、同じ女性宇宙飛行士を主人公にした映画でも、エンターティンメント重視のアメリカ・ハリウッドと、哲学?重視のフランスとでは描き方がこんなにも違うのかと思ってしまった。
ハリウッド映画の女性宇宙飛行士といえば、「ゼロ・グラビティ」(2013年)のサンドラ・ブロックとか、古くは「エイリアン」(1079年)のシガニー・ウィーバーなどを思い出すが、いずれもCGを駆使したSFっぽい映画だった。
だが、本作の主人公は子育てしながら宇宙への夢を現実のものにしたシングルマザー。宇宙への旅はロケットの打ち上げまでで、それよりも別れた夫とか母と子の葛藤、クルー同士の軋轢などに重きが置かれ、見て楽しむというより生き方について考えさせられるような映画だった。
エンディングでは、実際に第一線で活躍している母親宇宙飛行士たちが次々と写真で登場していて、こんなにもたくさんいたのかと驚かされた。
世界ではこれまでに70人の女性宇宙飛行士が宇宙に行っていて(男性宇宙飛行士は525人、2023年3月現在)、ママさん飛行士も少なくない。
最初に飛んだママさん宇宙飛行士はアンナ・フィッシャーさん。彼女は子どもを産んだ翌年の1984年、スペースシャトルで宇宙へ行っている。
日本の野口聡一さんが2005年に宇宙に行ったときのアイリーン・コリンズ船長は2児のお母さんだった。
NASAには十数人のママさん宇宙飛行士がいるという。