善福寺公園めぐり

善福寺公園を散歩しての発見や、旅や観劇、ワインの話など

きのうのワイン+映画「クライム・キーパー 香港捜査官」「忠臣蔵外伝 四谷怪談」

スペインの赤ワイン「セレステ・クリアンサ(CELESTE CRIANZA)2020」

フランスとの国境に近いバルセロナの近郊、ペネデス地方でワインをつくり続けて140年以上というトーレスのワイン。ブドウ品種は日本の「天ぷら」の語源ともなったテンプラニーリョ100%。

ワイン名の「セレステ」はスペイン語で「天空・星空」を意味し、標高約900mの高地にあるトーレスの畑から臨む満点の星空に由来しているという。

 

ワインの友で観たのは、民放のCSで放送していた香港映画「クライム・キーパー 香港捜査官」。

1989年の作品。

原題「皇家師姐IV直擊證人」

監督ユエン・ウーピン、出演ドニー・イェン、シンシア・カーン、サイモン・ユエンJr.、マイケル・ウォンほか。

“香港レディースアクション”と呼ばれる女性が主役の「皇家師姐」シリーズ第4弾となる作品だが、当時25歳の若きドニー・イェンが本作で本格的に主演デビューを果たし、息をのむような壮絶アクション映画となった。

 

アメリカ・シアトルで、地元警察の刑事ドニー(ドニー・イェン)と香港警察の女性刑事ヤン(シンシア・カーン)は協力して国際麻薬密輸組織の捜査にあたっていた。ある日、港湾倉庫での取引現場で組織と潜入した刑事との間で銃撃戦が勃発。事件に巻き込まれた不法就労者のロク(サイモン・ユエンJr.)は、殉職した潜入刑事から証拠となる写真のフィルムを託される。

ところが、フィルムはすでに海に落としてしまう。にもかかわらず、証拠を取り戻そうと彼を追う麻薬組織と、刑事殺害の容疑者として彼を逮捕したシアトル市警。

容赦ない麻薬組織は取り調べ室にまで忍びこんできて、何とか警察署から逃げ出したロクは密航によって香港へ帰国し、ヤンとドニーも、ドニーの上司マイケル・ウォン警部(マイケル・ウォン)とともにロクを追って香港に向かうが・・・。

 

シリーズの4作目で主演は女性刑事役のシンシア・カーンだが、彼女だけでは足りないと思ったのか、ウーピン監督が発掘し、1984年の「ドラゴン酔太極拳」でデビューしたドニー・イェンが共演して、迫力あるアクション・シーンが見どころ。

何しろ当時25歳で若くてピチピチのドニー・イェン。動きは切れに切れて躍動していて技の速さがハンパない。

ドニー・イェンは中国・広州市の生まれだが、2歳のときに香港に渡り、11歳のときアメリカ・ボストンに移住。父親は香港の新聞社の特派員で、母親は著名な武術家だった。アメリカで初めて近代武術を教えたといわれる母親の下で9歳のころから武術を学び、16歳からはアメリカを離れて北京の体育学校で武術を学ぶ。武術大会で優勝したり、19歳のときには武術雑誌で最優秀武術家に選ばれたこともあったという。

1984年に映画デビューし、数々の映画に出演しているが、2008年からの「イップ・マン」シリーズで人気を不動のものにしている。

「イップ・マン」での彼の寡黙な演技と超絶アクションを観て以来のドニー・イェンファンとしては、デビューしたばかりのウブな?彼を見ることができたのがシアワセだった。

 

ついでにその前に観た映画。

民放のBSで放送していた日本映画「忠臣蔵外伝 四谷怪談」。

1994年の作品。

監督・深作欣二、出演・佐藤浩市高岡早紀、荻野目慶子、石橋蓮司渡辺えり渡瀬恒彦、田村高広ほか。

歌舞伎の「仮名手本忠臣蔵」の外伝として“お岩伝説”を取り入れた鶴屋南北作「東海道四谷怪談」を映画化。「忠臣蔵」の世界をより色濃くして、民谷伊右衛門とお岩の苦悩を浮き彫りにしている。

 

元禄14年、江戸城松の廊下で吉良上野介への刃傷に及んだ赤穂藩藩主・浅野内匠頭真田広之)は切腹赤穂藩は取り潰しとなった。堀部安兵衛渡瀬恒彦)ら浪人となった藩士には厳しい生活が待ち受けており、2カ月前に召し抱えられたばかりの民谷伊右衛門佐藤浩市)も父親譲りの琵琶を奏でての門付けにより生計を立てていた。

そんな伊右衛門は、彼を熱い視線で見守る湯女・お岩(高岡早紀)に出会い、ほどなく一緒に暮らすようになる。

やがて、いつものように鬼子母神の境内で琵琶を奏でていた伊右衛門は、打ち掛けを羽織り、笛や太鼓を鳴らす侍女たちを従えたお梅(荻野目慶子)の一行に出くわす。一行にからんできた酔っ払いを一閃のうちに倒した伊右衛門を、恍惚の声をあげ見つめるお梅。その夜、お梅の祖父・伊藤喜兵衛(石橋蓮司)が大金を持って伊右衛門の家を訪ねてくるが、喜兵衛は吉良家の家臣であった・・・。

 

ありきたりな展開で、歌舞伎のほうがよっぽど刺激的だなと思いつつ、半ば退屈して見ていたが、映画の最後の最後、ラストシーンが秀逸で、眠気が覚めた。

ネタバレになってしまって恐縮だが、赤穂浪士討ち入りのとき、伊右衛門はすでに亡霊となっていて、彼の姿は浪士たちには見えない。お岩もまた亡霊になっていて、2人して討ち入りを見届ける。2人は死んで亡霊になることによって晴れて夫婦となり、討ち入りの仲間入りをすることができたのだった。

その2人の姿にクラシックの曲が流れ、それが見事に溶け合っている。

この映画では冒頭からラストシーンまで繰り返しクラシック曲が流れ、なかなか効果的に使われていた。

曲は、カール・オルフの「カルミナ・ブラーナ」より「おお、運命の女神よ」、そしてマーラーの「交響曲第一番」第三楽章。

カルミナ・ブラーナ」の演奏はベルリン・フィルで、指揮は小沢征爾だった。