TOHO CINEMAS新宿で24日に封切ったばかりの香港・中国合作映画「レイジング・ファイア」を観る。
原題「怒火」。
監督ベニー・チャン、出演ドニー・イェン、ニコラス・ツェーほか。
2020年に58歳の若さでがんのため急逝したベニー・チャン監督の遺作。
主演は、正義感に燃える香港警察の警官を演じる「イップマン」シリーズのドニー・イェンと、復讐の鬼と化した元警官を演じるニコラス・ツェー。
ひとこと、スゴイ映画。
銃撃戦、カーチェイス、爆破シーン、そして最後の主役2人の死闘。息もつかせぬ126分。
劇伴音楽も迫力があった。
舞台は香港。東九龍警察本部のチョン警部(ドニー・イェン)は、有力者のドラ息子が犯した事件のもみ消しを上司から指示されるが、どんな悪も許さないと断固として拒否。このため上司からいやがらせを受け、長年追ってきた凶悪犯逮捕の現場にチョンが率いるチームは外されてしまう。
ところが、別の捜査チームが逮捕の現場に向かうと、不気味な仮面をつけた5人のグループがあらわれ、凶悪犯ともども、捜査チームの刑事たちも次々と殺されてしまう。
仮面をつけた男たちのリーダーは、3年前に警察組織にはめられ投獄された元同僚ンゴウ(ニコラス・ツェー)で、他の4人は当時の彼の部下だった。ンゴウはチョンにとって弟子のような存在だった。しかし、裏切られたと思い込んだンゴウは、香港警察を、さらにはチョンをも敵とみなして復讐しようとし、2人は激しい攻防を繰り広げる・・・。
香港の自治と民主主義が中国政府によって蹂躙されている中で、「香港映画は死んでない!」と叫んでるような映画だった。
テーマも、権力におもねず正義を貫こうとする警官と、警察上層部の非情な切り捨てにより転落していった元警官の運命を描いていて、元警官のニコラス・ツェーは悪役なんだけど悲しみを秘めていて、まるで弾圧下にある今の香港を憂いているようにも見えた。
主演のドニーがアクション監督も兼任し、日本人映画監督の谷垣健治がスタント・コーディネーターを担当したというが、クライマックスのドニーとニコラスの一騎打ちに目が釘付け。CGじゃない、生身の人間の対決シーンは、残酷でグロテスクなようにも見えるが、むしろそれゆえに、命の大切さを教えてくれているような気がした。