善福寺公園めぐり

善福寺公園を散歩しての発見や、旅や観劇、ワインの話など

きのうのワイン+映画「すばらしき世界」他

イタリア・ヴェネトの赤ワイン「コルテ・ジャーラ・ヴァルポリチェッラ(CORTE GIARA VALPOLICELLA)2021」

(写真はこのあと牛のサーロインステーキ)

コルテ・ジャーラはヴェネト州のワインのトップ生産者アレグリーニが設立したワイナリーの名前。ヴァルポリチェッラはイタリアの中でも特にワイン造りに適していると有名な土地のことだとか。

ブドウ品種はコルヴィーナ・ヴェロネーゼとロンディネッラで、主にヴェネト州で栽培されている。同州の気候・風土に適した品種なのだろう。

 

 ワインの友で観たのは、民放のBSで放送していた日本映画「すばらしき世界」。

2021年の作品。

監督、脚本・西川美和、出演・役所広司、仲野太賀、六角精児、北村有起哉、白竜、キムラ緑子長澤まさみ、安田成美、梶芽衣子橋爪功ほか。

 

作家・佐木隆三が実在の人物をモデルにつづった小説「身分帳」を原案に、舞台を原作から約35年後の現代に置き換え、人生の大半を裏社会と刑務所で過ごした男の再出発の日々を描く。

殺人を犯し13年の刑期を終えた三上(役所広司)は、目まぐるしく変化する社会からすっかり取り残され、身元引受人の弁護士・庄司(橋爪功)らの助けを借りながら自立を目指していた。しかし、職を探そうにも元殺人犯であることが壁となってうまくいかず、彼なりの真っ直ぐな気持ちが災いしてトラブルばかりを引き起こす。

一方、彼が幼いころに生き別れた母親の行方を捜していると知ったテレビプロデューサーの吉澤(長澤まさみ)は、テレビTV番組の格好のネタになるとにらむ。制作会社を辞めたばかりの元ディレクター津乃田(仲野太賀)をけしかけ、三上の日常をカメラで密着取材させるが・・・。

 

佐木隆三作の「身分帳」は1990年刊行。人生の大半を獄中で暮らした男性が主人公。出所して改めて日常社会と向かい合った男性はどう生きたか、刑務所内の個人記録である「身分帳」を精緻に構成して、鮮烈な文学作品に結実させた労作。男性は獄中で佐木の小説を読み、出所後、佐木に連絡してきて「自分をモデルに小説を書いてくれないか」と自ら申し出たという。

「身分帳」とは正式には「被収容者身分帳簿」といい、刑務所に収容された受刑者の入所態度や経歴、行動、家族関係などが詳細に記載されている。佐木隆三作の「身分帳」の主人公の場合、十犯六入、つまり前科10犯、入所回数6回にのぼり、彼のような“ベテラン受刑者”となると厚さは1mにも及ぶと映画でも紹介されていた。

小説を読んだ監督の西川は、人生の大半を刑務所ですごした男性の再出発を描いた物語の世界に惚れ込み、3年にわたるリサーチの末に舞台を現代に置き換えて脚本を執筆したという。

映画のタイトルを西川は当初「身分帳」と考えていたらしいが、配給会社から「それでは客を呼べない」とクレームがつき、西川は「すばらしき世界」としたといわれる。

 

ついでにその前に観た映画。

民放のBSで放送していたアメリカ映画「カポーティー」。

2005年の作品。

監督ベネット・ミラー、出演フィリップ・シーモア・ホフマンキャサリン・キーナー、クリフトン・コリンズ・Jr、クリス・クーパーほか。

 

1959年11月15日、カンザス州ホルカムで農家の一家が惨殺される事件が発生。「ティファニーで朝食を」で名声を高めた作家トルーマン・カポーティフィリップ・シーモア・ホフマン)は、この事件に興味を覚え、小説「冷血」の執筆を決意。現地へ飛び事件の容疑者ペリー(クリフトン・コリンズ・Jr)と面会する・・・。

 

05年度アカデミー賞で作品賞、監督賞、主演女優賞、助演女優賞、脚色賞の5部門にノミネートされ、カポーティ本人に生き写しの演技を披露したホフマンが主演男優賞を受賞した。

 

民放のBSで放送していたフランス映画「北の橋」。

1981年の作品(日本初公開は1993年)

原題「LE PONT DU NORD」

監督ジャック・リベット、出演ビュル・オジエパスカル・オジエ、ピエール・クレマンティ、ジャン=フランソワ・ステブナンほか。

 

パリの街をバイクで走る少女バチスト(パスカル・オジエ)は、刑務所から出所したばかりの閉所恐怖症のテロリスト、マリー(ビュル・オジエ)と出会う。マリーの恋人が持っていた謎の地図を手にした2人は、地図を双六(すごろく)に見立てて街中をめぐるうち、陰謀に巻き込まれていく・・・。

 

セルバンテスの小説「ドン・キホーテ」をモチーフに、パリの街の地図と符号する双六に従って進められる謎解きゲームをオールロケで織りなす映画、というのだが、さっぱりわからない。一種の強迫観念がドン・キホーテのようにマリーを襲い、バチストを巻き込んでパリの街を駆けめぐることになったのだろうか。

ただ、最初、かわいい少女だなと思っていたテロリストのマリーが、よく見るとけっこう年がいってるように見えてきて、実はマリー役のビュル・オジエと少女バチスト役のパスカル・オジエは親子と知って、びっくり。

母親のビュル・オジエは監督のジャック・リベットとともに本作の脚本も書いている。

娘のパスカル・オジエの不思議な魅力に惹きつけられた。最後の空手もなかなか様(さま)になっていた。

彼女は1958年生まれというからこの映画のとき22、3歳だったろう。しかし、1984年、26歳の誕生日を祝う前日に亡くなってしまう。おそらく12歳のころから抱えていた心雑音の状態と薬物使用によって引き起こされた心臓発作が原因、といわれている。