ふだんは日本酒だが、肉料理のとき、たまに飲むワイン。
きのう飲んだのはアメリカ・カリフォルニアの赤ワイン「ヴィントナーズ・リザーヴ・カベルネ・ソーヴィニヨン(VINTNER’S RESERVE CABERNET SAUVIGNON)2019」
カリフォルニア屈指のワイナリー、ケンダル・ジャクソンの赤ワイン。
まろやかなタンニンと芳醇な果実味、しっかりとした酸がバランスよく混ざり合ったカベルネ・ソーヴィニヨン。
メインの料理はワインに合わせて牛のサーロインステーキ。
厚さ5㎝のかたまり肉。
厚めの鉄板で焼くと、やわらかくてジューシー。
ワインの友で観たのは、民放のBSで放送していたフランス・ノルウェー合作の映画「グランド・ジャーニー」。
2019年の作品。
原題「DONNE MOI DES AILES」
監督ニコラ・ヴァニエ、出演ジャン=ポール・ルーヴクリスチャン、メラニー・ドゥーテ、ルイ・バスケスほか。
絶滅危惧種のガンを救おうと活動する気象学者で鳥類保護活動家のクリスチャン・ムレク氏の実話にもとづく映画。
ムレク氏は渡り鳥の保護・繁殖のため活動していて、1995年、自身が開発した超軽量飛行機(ULM)で2羽のガンと飛行することに成功。本作は絶滅危惧種の渡り鳥であるガンの研究に夢中な変わり者のクリスチャン(ジャン=ポール・ルーヴ)と、その息子のトマ(ルイ・バスケス)が、ノルウェーからフランスまでULMで飛行しガンに安全なルートを教えるという父と息子の驚くべき挑戦と奇跡の旅を描いている。
渡り鳥のガンの研究をしている一風変わった気象学者で自然史博物館に勤務するクリスチャンは、繁殖地のノルウェーから越冬地であるフランスまでの安全な飛行ルートをガンに教えて、絶滅の危機から救おうと考えた。そのため卵から孵ったガンのヒナを育て、「刷り込み」効果により自分を親と思った子どものガンとともに自作のULMを使って大空を旅するという、誰もが呆れるプロジェクトに夢中になっていた。
一方、14歳の息子のトマは、父親と別れ、母とその恋人と暮していたが、夏休みの5週間を父のクリスチャンと暮すことになった。多感な時期を迎えたトマにとって、変人の父親と田舎でバカンスを過ごすのは堪え難いことだったが、やがて、渡り鳥のヒナを育てることに熱中するようになる。博物館トップの反対もあり、クリスチャンの計画が挫折しようとしたそのとき、トマは無謀にも急きょ鳥たちを連れ,ULMで空に飛び立っていった・・・。
撮影にあたってはムレク氏自身がガンの扱いやULMでの飛行についてアドバイスを行い、脚本にも参加したという。
ほぼCGなしで撮影されたという鳥たちと並んで空を飛ぶシーンは感動もの。
ついでにその前に観た舞台映像に映画。
民放のBSで放送していた「こまつ座『てんぷくトリオのコント~井上ひさしの笑いの原点~』」。
小説家で劇作家でもあった井上ひさし(2010年没)の原点である笑いを、コントに焦点を当てて描くことで日本人にとって笑いとは何かを問いかける、こまつ座30周年記念チャレンジ公演(2014年)の舞台を映像化。
お笑いトリオ「我が家」の3人が新たな「てんぷくトリオのコント」を現代によみがえらせた。脚本・監修はラサール石井、演出は青木豪。
てんぷくトリオは1960年代から70年代の始めにかけて活躍したお笑いグループで、メンバーは三波伸介、伊東四朗、戸塚睦夫の3人。三波、戸塚は亡くなったが、一番年が若かった伊東は現在もテレビや舞台で活躍している。
井上ひさしは、NHKの「ひょっこりひょうたん島」で人気が出始めたころの放送作家時代、てんぷくトリオの座付作家としてコントを書いていた。その後、劇作家、小説家として活躍することになるが、彼の原点ともいえる「てんぷくトリオのコント」と、井上ひさしと、娘でこまつ座代表の井上麻矢による「寸劇」(むろん本人ではなく井上ひさし役を山西惇、麻矢役は佐藤真弓)を合わせた舞台となっている。
「我が家」は坪倉由幸、杉山裕之、谷田部俊の3人、これに市川しんぺー、伽代子、みのすけの役者3人が加わり、2組のトリオが交代で多種多様なコントに挑み、大いに笑わせてくれた。
劇中で語られていた、コントについての井上ひさしの次の言葉が印象的だった。
「コントはね、真面目にやってはだめ。どこかにふざけた自分がいること。芝居では100%役になりきるが、コントでは10%素の自分を残す。1割の自分が9割の役を笑っている。これがコントです」
民放のBSで放送していたアメリカ映画「アンドリューNDR114」。
1999年の作品。
原題「BICENTENNIAL MAN」
監督ニコラス・カザン、出演ロビン・ウィリアムズ、サム・ニール、エンベス・デイヴィディッツ、オリヴァー・プラットほか。
人間になることを夢見るロボットの姿を描いた作品。SF界の巨頭アイザック・アシモフの同名小説を映画化。
ある一家に購入された家事用ロボットのNDR114(ロビン・ウィリアムズ)。アンドリューと名付られ、家族の一員として生活を営むうち、次第に彼は人間への憧れを抱くようになり、人間になりたいという願望を抱くようになるが・・・。
この映画がいいたかったこと。それは、人間になりたかったロボット(アンドロイド)の健気さではない。今を生きるわれわれ人間自身への問いかけがそこにある。
人間の命は有限であり、だからこそ生きている今を大切にすべきであり、生きるにしても死ぬにしても、人間としての尊厳を持ち続けることが必要なのだ。
誠実に生きることの大切さを教えてくれる映画。
民放のBSで放送していた「マイ・ボディガード」。
2004年の作品。
原題「MAN ON FIRE」
監督トニー・スコット、出演デンゼル・ワシントン、ダコタ・ファニング、クリストファー・ウォーケンほか。
A・J・クィネルの「燃える男」を映画化。
暗殺任務に明け暮れた日々に疲弊し、生きる希望さえ失っていた元CIAの特殊工作員クリーシー(デンゼル・ワシントン)は、メキシコシティでボディガードの職を得る。実業家の娘ピタ(ダコタ・ファニング)を護衛することになった彼は、聡明な彼女と次第に心を通わせ合うようになり、生きる希望を見出していくが・・・。
演技派キャストをそろえ、見どころ十分。ただし、何もそこまでバイオレンスにしなくてもいいのにと思うのだが。
民放のBSで放送していた日本映画「大誘拐 RAINBOW KIDS」。
1991年の作品。
監督・岡本喜八、出演・北林谷栄、風間トオル、内田勝康、西川弘志、樹木希林、緒形拳ほか。
大金持ちの老女誘拐を実行した三人組の若者とそれに関わる人々を逆に手玉にとる老女の姿をユーモラスに描くブラックコメディ。
刑務所を出所した若者3人(風間トオル・内田勝康・西川弘志)は、ちっぽけな犯罪は割に合わないと悟り、更生して出直すにはまとまった金が必要であると考え、最後の大勝負として、紀州一の山林王で老婦人の柳川とし子刀自の誘拐を計画する。ところが、誘拐に成功したものの、このおばあちゃんただ者ではなかった。3人は隠れ家で身代金要求の策を練っていて、その額が5000万円だと知ったおばあちゃん、いきなり表情を変え「大柳川家の当主なんだから100億や!」と3人にいい放つ。これにより誘拐犯とおばあちゃんの立場は完全に逆転してしまい、事件の主役はいつしかおばあちゃんになっていく・・・。
原作は天藤真が1978年に発表した推理小説。82歳の老女が国家権力とテレビ局を手玉にとった痛快な大事件をユーモアたっぷりに描く。
刀自(家事を司る女性のことで、女性を尊敬または親愛の気持をこめて呼ぶ言葉でもある)役の北林谷栄は、この作品で第15回日本アカデミー賞最優秀主演女優賞を受賞。
アップの映像を見ると、さすが名女優だ。凛としていて、ときにおおらかでやさしい、美しいお顔をしていた。